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2004年02月14日(土)
哀しき小市民のイチゴショートケーキ

「損より素敵なショーはない」(パチンコ必勝本2004・3月5日号、ゲッツ板谷著)より。

【……が、損をするということは、ホントに損なことなのだろうか?

(中略)

 書店に行き、特に売れている様子はないが何故か気になった本を手にし、それを買う。そして、家に帰って読んでみると大抵ガッカリする。が、そんなことを繰り返しているうちに、あまり評判にはなっていないが、自分に合った、その後の人生を変えてくれるような一冊と出会う。
 
 誰かがケーキを買ってくる。皆、我先にとイチゴやメロンが乗った見てくれが派手なモノに手を伸ばす。で、一見何の事もないようなケーキが残る。ところが、それを食べてみると外見が地味な分、実はパティシエが最も味に自信を持っているケーキで、もの凄くウマかった。】

〜〜〜〜〜〜〜

 「あまり差がなさそうなものの中での選択基準」というのは、けっこう人それぞれですよね。
 例えば、「マクドナルドのハンバーガーと高級フランス料理のどちらかを選べ」というような状況であれば、そのときの経済状況や腹具合などで、明確に決められる場合が多いのではないでしょうか。
 でも、友人の差し入れのケーキが10種類目の前にあって、好きなのを選んでいい、という状況だったらどうでしょうか?
 あるいは、コンビニでどれか一種類弁当を買って帰ろうと思うとき、何を基準に選びますか?
 弁当コーナーに「定番モノ」と「新商品」が並んでいた場合、どちらに手が伸びるでしょうか。

 僕は基本的に優柔不断な人間なので、こういうときには、けっこう考えてしまいます。ただし、僕の場合は、積極的に、ケーキだったら地味なデザインのやつを取りますし、弁当も「定番モノ」を選ぶことが多いです。
 それこそ「またそれにするの?」って言われるくらいに。

 同じ位の値段で豪華なデザインのケーキとシンプルなショートケーキがあった場合、たぶん、豪華なケーキを選択する人のほうが多いと思うのです。
 でも、僕の場合はゲッツさんと同じように「これだけの値段がして、こんなにデザインがシンプルだということは、よっぽど味が良いに違いない」なんて思い込んでしまいますし、同じ500円の鶏唐揚げ弁当と牛焼肉弁当とでは、「同じ値段なら、肉の値段が安い分、唐揚げ弁当のほうが、美味しいか肉の質が良いに違いない」なんて、自分で判断してしまいます。
 そして、「みんな見かけに騙されちゃって…」などと、ひとりで満足しているのですよね。

 おそらく世間のロングセラーの中には、「美味しいから」という面もある一方、僕のような「派手好き、新製品好きより、ちょっと賢い選択をしているつもりの人」に支えられているものもあるんだろうなあ。
 「堅実な選択」「そんな普通のでいいの?」と周りに言われながら、本人は「これが正解なんだよ!」と内心満足しながら、イチゴショートケーキを食べているのです。
 よく考えてみれば、それしきのことでそこまで深刻に考える必要もないんですけどね。

 ああ、哀しき小市民の選択基準…