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2003年09月17日(水)
「みんなで遊園地!」って、あんまり楽しくないかも…

「トゲトゲの気持」(阿川佐和子著・中央公論新社)のエッセイ「当世遊園地事情」より。

(阿川さんが昔からの友人と女性2人で最近遊園地に行ったときのエピソード)

【選んだアトラクションの乗り場に着くと、
「一つのボックスに二人ずつお座りください」
 係員の指示に従い、ボックスに足を入れる。と、座った座席は縦に細長く、シーソー版のようにまたぐ格好になる。しかも前後に境がない。ここに二人が前後ピッタリ密着した状態で、両足を広げて座れと言うのか。
「なんだか不気味」
 安全ベルトを締めると二人の身体がさらに接近する。
「ちょっと、そんなにくっつかないでよ」
「しょうがないじゃない。触っちゃうんだから」
 照れると笑いが止まらなくなる。しかし、発車する前から興奮しているのは私たちぐらいで、他の若者乗客は、さして気にしている様子がない。いかにもデートらしき男女のカップルも、平然とした顔で密着している。
 ギャーヒーと、急降下急カーブに悲鳴を上げたのち、地上にもどってまたもや驚いた。見渡せば、どの乗り物も前後ラヴシート状態なのである。】

〜〜〜〜〜〜〜

 いや、30代、未婚、もちろん子供無しの僕にとっては、遊園地という場所は、最近すっかり縁がなくなってしまった場所ではあるのですが。
 これを読んでいて、今から10年くらい前、大学の部活で遊園地に行ったとき、とても辛い気持ちになったことを思い出しました。
 そのときは、部活のメンバー20人くらいで、けっこう大きな遊園地に行ったのです。都会っ子なら露知らず、僕たちはウブで硬派を自認していましたから、行動は、基本的に男女別でした。
 でも、そのころから遊園地ってやつは、すっかりカップル仕様になっていたんですよね。
 アトラクションは、みんな2人単位のシートになっており、運悪く3人で行った日には、ひとりはあぶれてしまいます。後ろの席にひとりポツンと座っているのは、すごく居心地が悪かったです。
 男2人、女1人でジェットコースター!というような状況でも、結局男2里が並んで座って…というふうになっていました。もちろん、男1人に女2人だと、女2人が並んで…ということに。
 まあ、今から考えたら、勿体無いオバケが集団で登場しそうな話なのですが、みんなの目があるから、特定の人とイチャイチャするわけにもいかないし、「大勢で行く遊園地っていうのも、なんだか面白くないなあ…」と心から思ったものでした。

 遊園地が「みんなの遊び場」から「カップルのデートスポット」に特化してしまったのは、今から考えると、バブルの頃からでしょうか…
 家族連れは、ディズニーランドのような大型テーマパークに行くようになってしまい(逆に、行かざるをえないようになったのかも)、絶叫マシーンの過激さが、遊園地の生き残りの鍵になってしまっています。

 それにしても、最近のカップル用遊園地のアトラクションでの密着度って、確かにすごいですよね。
 お前ら人前でそんなにベタベタするな!って八つ当たりしたくなるくらい。
 別に、ジェットコースター上で密着しなくても、後から2人で密着すればいいのにねえ。

 あれに男2人で乗るのは、別の意味で勇気が要りそうな気がします。