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| 2002年07月19日(金) ■ |
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| 2002年7月19日。 |
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東海林さだお著「キャベツの丸かじり」(文春文庫)の解説(阿川佐和子さんによるもの)より抜粋。
【(エッセイの連載が)終わるということは、本人が疲れるという場合もあるが、読者が飽きるという要素も大きい。それを、著者(東海林さだお氏)は力尽き果てず、読者をちっとも飽きさせないわけだから、東海林さんのしつこさは偉大である。 そりゃたまに、「今回はそれほどおもしろくないな」と思うことだってある。しかし、そうなればそうなったで、次回への期待が膨らむし、実際、期待通りになるのだ。食べものだって、毎回毎食、おいしい特上のものばかりだと、いいかげんに飽きるけれど、ときどき地味なものを食べておくと、次においしいものを食べたときの感動は計り知れない。と、これは私の食べものに対する考え方だが、東海林さんはそこらへんの緩急のセンスが飛び抜けていらっしゃる。まるで幕の内弁当の魅力だ。】
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あくまでも伝聞なのですが、かのサザンオールスターズの桑田圭祐さんが、レコード会社を移籍した後に、前のレコード会社が「バラード・ベスト」を出してヒットさせたことをすごく憤っていたそうです。 「俺たちは、CDの中でバラードをいかに心に響くように聴かせるかをとても大事にしているし、一つ一つの曲を印象付けるために、デキのいいバラードをあえてアルバムに入れないでお蔵入りにすることもある。実は、感動的なバラードを作ることよりも、それを際立たせるようなサラッと聞き流せるような曲やちょっと遊んでるような曲をつくるほうが、難しいんだよ。それを移籍したからって、美味しいとこ取りしやがって!」 というようなことを周囲に洩らされた、とか。 サザンのバラードは、まさに珠玉の作品集だったのですが、確かに、ずっとバラードばかりのアルバムというのは、聴いていて、飽きてしまう部分があると思います。こういう、「緩急をつける」ということを意識してやっているからこそ、サザンオールスターズは、日本を代表するバンドとして君臨し続けられているのかもしれません。
東海林さだおさんの食べものエッセイも本当に長い間連載され続けているのですが、「つまらない」わけではないけれど、淡々としていて、盛り上がりに欠ける回があるのは、事実だと思います。 それにしても「それほどおもしろくない」と解説に書いてしまう阿川さんも勇気があるなあ、と感心してしまいますが。 でも、毎回全力投球の剛球投手が、相手が球に慣れてくると意外とあっさり打たれてしまうように、文章というのもあまりに毎回直球勝負だと、飽きられてしまうのが早いのかもしれませんね。 緩急をつけるということは、人間関係においてもいい刺激になりますし、 文章を書く上でも、重要なテクニックだと思います。
「活字中毒。」も、読んでくださっている方が「今日のは、ちょっと手抜き?」と思われるような日は、実は「見せ球」なんですよ。 剛速球をより速くみせるための。 えっ?その剛速球はいつ投げるつもりなんだ!って? う〜ん、そのうち必ず…
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