猪面冠者日記
今さらだが当分不定期更新

2016年04月24日(日) スポットライト/世紀のスクープ

伏見ミリオン座1 9:50〜12:05 128分

 休日を有効活用すべく、今日も朝イチの回へ。ところでこの頃もう日差しだけなら立派に初夏だね。もちろん昼間に外出の際は日傘を持っていってるけど、そのうち汗拭きタオルやペットボトルもいるようになるかも。

 聖職者による児童信者への性的虐待と、それに対するカトリック組織ぐるみでの隠蔽。それらを暴こうとするジャーナリストたち。こういう映画だと主人公は被害者だったり、あるいは彼らを支える民生委員や弁護士だったりすることが多いんだが、この映画が真ん中に据えるのは、スポットライトチームの仕事人っぷりである。聖職者の異動記録、警察の通報記録、裁判の記録。事件の匂いのしないこれらの無機質な情報を、彼らは丹念に拾い上げ、直感に基づいてそれが意味するものを見い出していく。

 やがてそれらが事件の動かぬ証拠となるわけだが、そこまで辿り着く展開がとにかく濃い。全ての場面、全てのセリフが物語の幹に直結しており、軽い遊びや間が一切ない。ちょうどERとかホワイトハウスのようだ。この調子で128分ぶっとおし。こういう中身の九割が役者のセリフと演技でできているような映画だと逆に構図が一本調子になりそうなんだけど、そんなこともない辺りがいかにもあちらの大作である。

 被害者側よりスポットライトチームの側から描いたのは大正解だったろう。加害者でもなく被害者でもない人間が想定外の現実に出くわした時、どれだけ理知をもって対応できるか。性的虐待の残酷さとはまた別の意味で「人をためす」作品である。加害者側の、被害者側には決して見せない、中庸な立場の相手だからこそ見せる酷薄な素顔もまた嫌な意味で見ものだった。

 被害者側の描写は最小限だったとはいえ、映画は彼らの痛みもきちんと描いている。ラストでオフィスの電話が鳴り続けるシーンでは思わず泣いた。それから、この映画を見て、まだ先日のアカデミー賞授賞式の録画を残している人は、是非作品賞での製作陣のスピーチを見て欲しい。一応下記引用。
「被害者の声を届ける映画です。受賞を機にその声が合唱となり、バチカンまで響き渡ることを願います。子どもたちを守り、信仰を取り戻す時です。ありがとう」
「勇敢に闘った記者たちに感謝します。世界に変化をもたらし、調査報道の必要性を示してくれました」

 しかし同じような題材ながら、「オレンジと太陽」のヒロインは、教会や信者からひどい妨害をされてたのに(調査に行ったオーストラリアの滞在先で銃撃までされたんだぞ)、ボストングローブの皆さんは特にそういった目にあったりしていない。一個人と大会社のサラリーマンの差?

 パンフレットを買って、そのままお昼ごはんに西原珈琲店へ。町山智宏の寄稿による後日談は大いに読み応えあり。しかし、週刊文春編集長の寄稿なんぞがあるのは、悪い冗談だな。

 さて今日は午後から甥っ子ちゃんが遊びに来て、私と母と甥っ子ちゃんの三人で母の実家へ出かけるので、早めに帰宅。したんだけど、甥っ子ちゃんが家で昼寝に入ってしまったようで、なかなか到着せず。結局家を出たのは三時すぎ。まあおかげで、HDDの整理したけどさ。今日の真田丸とアイスレジェンドを録画できるだけの容量を確保。

 幼児を連れての旅は、ひどくゆっくり。道中、母が買っていったモスバーガーのポテトを食べさせたりなど。着いたら着いたで(向こうにはお昼頃行くと伝えてあったので、申し訳なかった。まあ遅れることはメールで逐一母が知らせたけど)、あちらではおばちゃんが饅頭やら用意してくれていて、なんかもう夕食いらないな(笑)。結婚して女の子を生んだ従妹にお祝い金を渡したり、お喋りしたりして7時頃帰宅。帰りの市バスは、ぎりぎり乗り損ねた。まあ、甥っ子ちゃん一緒じゃ走れんしね。結局三人でタクシーで帰った。ぐったり。



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