福良雀の日記

2002年12月29日(日) ウラじゃない日記

タイトル通りです。
やっとで年末気分にさせていただいたのでその事をちょっと書こうかと思います。

オモテ日記にちらっと書きましたが、本日友人が退院して、我が家に尋ねてくださった。
この友人はカレコレ15年以上は付き合っている。(本当はもっとだけど、きちんと付き合い歴を書くと年齢がばれるんで)
バカみたいなことも、変な企画も彼女と、他に何人かのメンバーでやって来た。

彼女をTと仮に書かせていただきます。

Tはマイペースで「つるむ」事を嫌う子でした。
付き合いより、自分がしたいと思うことしか参加しない子で、物事をはっきり言う子。そう言うのが一貫して徹底していたので、仲間の中でも
「Tはそう言う子」と言う感じで付き合いたい時に付き合ってと言うのを
うまくやって来た。私は小心モンなのである程度周りの様子を伺うところが
実はあったりするんですが、実際は彼女よりなトコロが多い方なので、
何やらちょっと違った存在で気に入っている。

Tが私をどう思ってるかは存じませんがね??(笑)

Tが病気と知ったのは11月に入ってから。本人からいきなり電話を貰い
「貸したハリポタ(小説)を取りに行きたい」と言うものだった。

本来、借りたものなんだから私が出向くのが礼儀だが取りに行くから
と言うので「わかった」と、言って自宅で待っていた。

久しぶりに見た彼女は大きいマスクに顔を隠し顔色も悪くてどこか悪くしてる事は明らかだった。
「ごめん。どっか悪かったんか??言ってくれれば良かったのに・・・。
ところでどうしたの??」

その顔色を伺ってTに聞いてみると

「ああ、Y子(15年以上続いてる友人の一人)約束守ってくれとるんか・・・。ちょっと長引きそうやで、もう秘密にしてもらうのも限界だろうな・・・」

彼女の物言いに何か含むものを感じてちょっと緊張しつつ次の言葉を待った。

「ガンで手術するんやさ」

久しぶりに血の気が引きました。

今から2年ほど前のやっぱり年末、Tのお母さんがガンで亡くなりました。
葬式に行ってはじめて彼女のお母さんの病名を知りました。
彼女が後から言ってくれたには「誰か一人にでも母さんの病気の事を話したら母さんにばれちゃうような気がして」と言う事だった。

でもTのお父さんがお葬式で話していたには亡くなる4日前に自分がガンである事。これから父さん一人でやっていくんだから(Tは他所に嫁いでいた)銀行とか保険とか書類のある所を教えてくれた事などを語ったそうです。

そんなお葬式の事を思い出し、頭の中がぐるぐるして何か訳のわからん事を言いそうになっている自分に気付く。とにかく一言。

「いつ?」とだけ聞いた

「明日」

危うく彼女の前で泣く所でした。

泣くな、泣くな、ぜってぇ泣くな。

「体、厭ってくれな」とだけ言って、別れた。

あの日の自分を本気で殴り倒したい。人生経験の無い、のほほんな人間な自分を本気で憎みました。

その後、やはり15年来の友人でMから連絡を貰い、お互い持ってるTの情報を交わして「子宮ガン」である事がわかった。

ダンナが居て、まだ幼い子供も2人居て、お母さんをガンで亡くした実夫がいる。
そんな彼女が私に病名を告げたときに、自分が発する言葉の重みを自分がもう一度感じたその思いを推し量ると本当にやり切れなかったです。

手術が済んで、投薬が始まり何週間が過ぎた頃、お見舞いに私を含め3人で行った。
バンダナで隠しているけど、抗がん剤で髪がなくなっている事が一目でわかり、少し痩せた彼女が笑顔で迎えてくれた。

くだらない、どうでもいい話をして帰って来た。

本を貸してくれというからお勧めを紙袋2つ分持って行った。

何か役に立てることが無いものかと考えて意外に思いつかない事がびっくりした。

その彼女が再発の恐れを抱えながら、退院した。
自宅に戻って、家庭内の仕事をこなしていた。

ちょっと前に会って来て実際顔色を見て正直、ほっとした。

家に図々しく招いてもらい、話をする。
くだらない話の合間に彼女がもらした。

「今までわりと自分の時間とか趣味の時間とか取れたらな、もっとそう言う時間が大事に出来たらなと思っていたけど、今回こうやって病気になって自分の中で何を今するべきか考えたら、必要の無いものはどんどん自分の中で捨てて最後に選択した物が子供だったよ。」

生きる事への方法を考えると共にあと少しの命になった時自分は何をするべきか考えたら子供に何がしてやれるか、それを思ったと言うことだった。

15年来の友人と集まってTの為に何が出来るか話した事があった。

その時にやっぱり同じ母親の立場のMが

「Tの不安てさ、きっと病気に対する事とかこれ以上ひどくならないで欲しいとか思うんだろうケド、一番気にかける事ってきっと子供の将来だろうね。自分がもし居なくなって子供とダンナだけになった時を思うとすごく気に病むと思うよ。」

そんな事を話してくれる友人の不安がTの正直な叫びなんだろうな、と思うと本当に泣きたくなりました。
でも泣いて済む事ならいくらでも泣いて絶対感知して欲しいと祈るのにな・・・・。

これからのTの健康を祈る事はもちろんだけど、何かあった時もっと、力になれる為に心のあり様が少しでも解れる事を祈っております。

そんな年齢になりました・・・・。そんな事を思って今年を振り返ったら
なんだか年の瀬である事に実感が持てました・・・。

そう言う日記でした。

(この長文を誰も読まないと思うんで思う存分優しくない日記な上に
よがった文面です。)


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