即興詩置き場。

2004年11月21日(日) 百日紅



百日紅


さるすべりすべり落ちるあの
寝姿の
視線に匂う
密約の
触感の
柔肌
(とは使い古された)
僅かな湿り気の
伴う
触れる
瞬間の
うなじの
過敏な
さるすべりすべり落ちるあの
抱擁の
直前の
視線の
行く先は

窓の外、暗い くらい くらい
底のない
夢もない
(とは使い古された)
逢瀬の
(とは使い古された)
さるすべりすべり落ちるあの
放尿にも似た
落下する
放物線
なぞり
墜ちる
満ちる
ことのない
さるすべりすべり落ちるあの
解放という名の
汚染
失禁
秘密の
(とは使い古された)
二人の
約束
すべり落ちるあの





2004年11月10日(水) 霜降る月の霜。踏み拉かれる前の、あなたへ



霜降る月の霜。踏み拉かれる前の、あなたへ



約束されたことは、なかった
ただ一度も、なかった
噛み合わない歯車が磨耗を呼び
嬉々として
それを食い潰した
約束されたことは、なかった

約束されたことは、なかった
なだらかな丘陵の、麓に生えるたおやかな草
波のようにうねる、安寧という名のまぼろし
それらはすべて、なかった
それらはすべて、なかったのだ

約束されたことは、なかった
あなたと交わしたすべての言葉は、なかった
あなたの纏う
あの、さやけきささやきにも似た
あの、微細に揺れる産毛にも似た
あの、艶めく1ミリの仕草にも似た
わずかな、本当にわずかな気配すら、なかったのだ

あなた、と呼べるものは、なかった
約束されたことは、なかった
呼ぶものも、呼ばれるものも、何も、何も、約束されたことは、
なかった






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