状況の変化というか - 2012年03月26日(月) 結局私達は関係を持つに至った。 本来ならお互いどちらも家庭がある以上、朝まで一緒にいるなんてことは叶わないし 願うことすら許されないと思っていたのに。 たまたま状況的にそれが叶うタイミングだったこともある。 けれども何よりも、其のひとが朝まで一緒にいることを望んでくれたことが本当に嬉しかった。 其のひとの腕の中で浅い眠りと覚醒とを行き来する、 そんなことが現実になるなんて、と 息が苦しい程に抱きすくめられながら、永遠に朝が来ないことを本気で願った。 勿論、朝はいつもと変わらずやってきて、私達はそれぞれの日常に戻ったのだけど。 しかしその後、あれほど返ってきていたメールが返ってこなくなり。 一回ヤッて終わりだったか、と悲しく思うと同時に 覚悟していたことだったので、もうふっ切ろうと決めたのだった。 この2週間。 辛かったり強気になったり、浮き沈みの激しかった2週間。 風邪をひいたことも相俟って、とうとう1日だけだが仕事を休むに至った。 こんなことで仕事に影響するとは、と誰よりも自分に激しく怒りを覚えたり。 好きなだけで良かったのだからと気持ちを肯定してみたり、否定してみたり。 大変不安定だった2週間。 けれどもその間も、其のひとと職場では顔を合わせていた訳で。 顔を合わせれば反応は全く以前と変わりがなかったのである。 「終わり」を匂わせたメールの後には少し戸惑った反応があったけれど でもそれだけ。 「今後も好きでいていいか」と聞いたメールにも返信は無く。 返信の無いことと職場での態度から考えれば、自ずと答えは 「以前の上司と部下の関係に戻そう」ということなんだろうなと考えた。 そんな中、先日職場の送別会が行われ。 今回は特に異動になった人が多かったので 送別会自体は大いに盛り上がったのだった。 直属の上司とは最初から席が隣だったので、長々と話したり 指導して頂いた先生にこれまでのお礼や、今後のことなどを話しつつ。 其のひとにもタイミングを見計らってお礼を言わなければ、と思った。 部下としての礼儀と、そして 「ありがとうございました」と笑顔で関係を元に戻そうと決意していたから。 たまたま完全に二人きりになれる場所とタイミングを見つけたので 意を決して口を開こうとした瞬間、 其のひとに抱きすくめられて、キスをした。 私の好意は迷惑なんかじゃなくてむしろ嬉しいということや 不安になんかならなくていい、と其のひとは言って。 そして何度かキスをしたあと、其のひとは私に初めて「好きだよ」と言った。 不覚にも泣きそうになったので、思わず「嘘だ。」と言ってしまった。 「何で」と言いながら其のひとは笑って、また私を抱き締めた。 その力強さに、私の当初の決意なんて吹き飛んでしまった。 「あなたが好きです」と伝えたら、其のひとはまた笑って、キスをした。 誰にも気付かれてはいけない、とても短い時間だったけれど 其のひとの気持ちを聞くことができてしまった。 同時に、もう後戻りができなくなってしまった。 其のひとの腕の中という幸せな牢獄に閉じ込められてしまったのだから。 皆と談笑しながら無邪気に笑う其のひとを見て ずっとその少年のような笑顔を見ていたいと思った。 その後も移動の最中に、密かに指を絡ませたり たまたま流れで膝枕をすることになって長いこと其のひとの体温を感じていたり 幸せな夜だった。 けれどもこの関係が許されるものではないことには変わりがない。 日の目を見てはいけない関係であることも。 それらを全て踏まえた上でも、それでも。 私達は正直に恋をする。 つなぎとめているのは、互いを好きという気持ちだけ。 だから私はこれからも何度でも其のひとに伝えるのだろう。 「あなたが好きです」と。 -
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