DEAD OR BASEBALL!

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Vol.35 2002年プロ野球12球団戦力診断 横浜編
2002年01月31日(木)

 アフガニスタン復興会議で、日本のNGO組織が出席を拒否されるという問題から始まった問題は、田中外相の更迭という形をとって終結に向かっている。誰がウソをつき国会を空転どころか退廃させたかということは、国民の目には明らかで、それにフタをするような今回の事態収拾はちゃんちゃら可笑しいと言う他無いが、この”事件”をジックリ見ると、現在のプロ野球運営が実際に抱えていながらフタをしている問題に実に酷似している。まあ、この件はいずれ時間があったら改めて書こう。簡単に言えば、既得権益にしがみついている一部の「お上」の勝手に、多くの国民(野球ファン)が振り回されているということだ。

 戦力診断の3回目は、森政権2年目の横浜。

<投手分析>
先発・・・三浦、バワーズ、川村、福盛、野村、谷口、タ−マン、グスマン、吉見
右中継ぎ・・・木塚、中野渡、神田、米
左中継ぎ・・・森中、河原、稲嶺、竹下
抑え・・・斎藤

 先発で確実に計算出来る投手は三浦ただ1人。この手薄な先発陣から小宮山が抜けたのは、実際問題かなりの痛手である。しかし、現在の横浜には次代を担う金の卵が豊富に控えている。彼等を抜擢する時期が1年早まったと思えば、そう悲観する必要も無いと見る。その筆頭には、右の谷口と左の吉見を挙げる。谷口は去年3勝で殻を破っただろうと思うので、今年は1年ローテーションを守れるかが勝負になる。吉見は投球術には定評があるが、球筋が素直すぎるのが去年の期待を裏切った原因。しかし指先の感覚が鋭い大型左腕はそれだけで貴重。今年は巻き返してもおかしくない。

 しかし、実際の3本柱は三浦・バワーズ・川村の3人。この3人がどれだけの貯金を作れるかにかかっていると言っていい。特にバワーズには期待出来る。去年は3勝13敗と借金を大量に作ってしまったが、これは殆ど打線の援護が無かった為で、投球内容自体は充分に合格点が与えられるもの。長身から握りつぶすように放たれるストレートの角度と威力は素晴らしいものがある。川村は、兎にも角にもストレートの威力を取り戻す事が大事。年々ヒジが下がっているように見え、それがストレートの伸び、カーブ・チェンジアップのブレーキ、フォークのキレと全てに悪影響を及ぼしている。99年に17勝を挙げた右腕の復権は、覇権の為には絶対に不可欠。福盛と野村は、週イチ〜谷間でどれだけ稼げるか。福盛はそろそろローテーションで安定してほしい。ターマンとグスマンの二人は未知数。投げさせてみないと分からない。

 先発に比べて、リリーフは安定している。駒が豊富で、役割分担もキッチリしている。7回以降は計算が立つが、唯一の不安は2年間で115試合登板の木塚と去年63試合登板の中野渡の勤続疲労か。抑えは斎藤が見事にこなしたが、本音はやはり先発固定。神田は150キロ近いストレートと強烈にベースを切り取るスライダーが持ち味の本格派で、斎藤にタイプが似ている。神田が抑えをこなせれば、台所事情は一気に楽になるのだが。

<野手診断>
1(遊)石井琢
2(中)金城
3(左)鈴木尚
4(三)グラン
5(一)石井浩
6(右)佐伯
7(二)小川(種田)
8(捕)相川(中村)

控え
捕手・・・小田嶋
内野手・・・石井義、内川、七野、万永
外野手・・・井上、古木、中根、田中一、ロドリゲス

 敢えて新外国人のグランを4番サードに入れたが、実際はやってみないと分からない怖さがある。もしグランがダメな場合は、石井義や古木をサードで使っても面白いか。石井浩も年齢的にフルで使うのは厳しく、その際には佐伯をファースト、ライトには中根、種田、田中一といった辺りを組み入れていくだろう。細かい駒は豊富な為、バリエーション豊かな打線が組めるのは強みと言えば強み。

 1、2番には問題無いだろう。石井琢は安定した数字を残せるし、金城は去年数字は落ちたが打線の繋ぎ方は段々呑み込めてきている。去年4番の鈴木尚は、従来のように3番固定の方が持ち味が出るだろう。絶不調の前半から最終的に.315まで打率を上げてくる辺り、やはり只者ではあるまい。中軸は新外国人+石井浩次第。去年.302の佐伯もムラッっぽいところがあって磐石では無いか。小川は7番辺りに置くと打線に怖さが出る。下位打線のポイントゲッターとしてはまだ貴重な存在。捕手は、当面は併用でいくだろう。打撃の相川、守備の中村、将来性の小田嶋。森監督の起用法に注目だ。

 期待の若手は、やはり石井義と古木になる。石井義の打撃センス、古木の長打力は甲乙付けがたく将来性が高い。新外国人が総崩れになれば、今年中のレギュラ−奪取は充分に考えられる。

<総合分析>
 実は、去年のシーズンで最も1軍と2軍の入れ替えが激しかったのが横浜である。森監督も、必死にチームの戦力になる人材を探し、磨いていたのだろう。選手を探して、使い、ノウハウを植え付けるという試行錯誤を繰り返しながら、最終的にAクラスをキープしてくる辺りは流石に森監督と言ったところか。

 2年目の今年は、一気に勝負をかけてくるだろう。打線の厚みに若干の不安要素は残るが、もし新外国人+石井浩がハマれば、一気に頂点を窺えるだけの戦力は持っている。若手も豊富に横須賀で力を蓄えているだけに、新旧交代機の狭間にいることは事実だが、それだけに面白さもある。今年は、森監督が真の名将になれるかどうかを試されるシーズンになるだろう。


Vol.34 2002年プロ野球12球団戦力診断 読売編
2002年01月30日(水)

 ストーブリーグも佳境を迎え、いよいよ各球団の様相が出揃ってきましたが、皆さんは「ストーブリーグ」という言葉の由来を知ってますか? この国では、オフシーズンのFAや契約交渉等の話題のことを全てひっくるめて「ストーブリーグ」と言っていますが、本来の意味は、冬場に野球好きが集まってストーブで暖を取りながら過ぎ去ったシーズンのことをあれこれと回想するという意味から来ているのです。間違っても、球団の株問題で揉めたり新リーグ結成などという戯言を使ってオーナーが恫喝することではないので、悪しからず。

 戦力診断の2回目、いってみましょう。今回は読売編。

<投手分析>
先発・・・上原、入来、工藤、河原、桑田、ワズディン、小野、高橋尚、三浦
右中継ぎ・・・條辺、武田、谷、田畑、アルモンテ
左中継ぎ・・・前田、柏田、河本
抑え・・・岡島

 冷静に見ても、相当にヤバい投手陣と言っていい。去年のV逸は完全に投手陣が崩壊したことが原因だが、今年もその危機感は拭えそうも無い。

 先発は上原と入来の二人が軸になりそうだが、磐石の信頼は置けない。特に上原は1年目の20勝フィーバー以来めっきり下半身が弱くなり、コントロール・球威共に先細りしている。必然的にフォークに頼る配球が目立つが、1年目にあれだけ勝てたのはインハイのストレートに絶対のコントロールと安定した球威があった為。だから、その目線から落とすフォークが有効に働いたのである。徹底的に走り込んで、下半身強化に務めれば軸になりうる素材だが、ここ2年の投球を見る限り多くは望めそうに無い。大学時代には素晴らしいスライダーを投げていたのに、フォークに味をしめて以来ほとんど投げなくなっているのも気になる。

 入来は去年以上の数字を期待するには酷、工藤・桑田も年齢的に上がり目は無く大車輪の活躍は期待薄、ワズディンは未知数、高橋尚もぬるま湯にドップリ浸かり大勝ちは望めない。そこでカギになると見るのが、河原、小野、三浦の3人。河原は体が弱過ぎる為に1年フル回転は無理だが、谷間でいい仕事をすれば台所事情が楽になる。小野は万馬券のような選手だが、持っている球威とカーブは充分に1軍レベル。プレッシャーに縛られない起用法を首脳陣が考えるべき。三浦は去年中継ぎで結果を残しているが、長いイニングの中でメリハリをつけながら投球を組み立てた方が持ち味が出ると思うので、先発に入れてみた。

 リリーフも信頼には乏しい。抑え以外なら何でもこなせる前田の加入はプラスになると見るが、それ以外で信頼出来る選手がどれだけいるか。去年高校卒2年目でブレイクした條辺は疲労残りが心配。担ぎ投げに近いフォームなので、故障も心配になる。武田・田畑は好不調の波が激しく厳しい。柏田・河本は左の特性が無ければベンチ入りも厳しく、せいぜいワンポイント。日本一を果たした00年に活躍した木村・南辺りがベンチに入らないと、質・量共にかなり薄い陣容だ。

 抑えは一応去年27SPの岡島を据えたが、投球回数と披安打数が同数で絶対の信頼は置けない。アルモンテを残留させたということは、それだけのものがあるのだろう。もしかすると抑えの座を岡島から奪うかも知れない。

<野手分析>
1(右)高橋由
2(遊)二岡(元木)
3(左)清水
4(中)松井
5(一)清原
6(三)江藤
7(二)仁志
8(捕)阿部
9(投)

控え
捕手・・・加藤、村田、吉永
内野手・・・宮崎、川中、福井、川相、大須賀
外野手・・・後藤、堀田、斎藤

 繋がりに乏しいと言われながらも、重量打線は健在である。その重量打線にどれだけのメリハリを出せるかということでこのようなオーダーを組んでみた。

 そもそも現在の読売にリードオフマンタイプの選手はいない。強いて言うなら宮崎や斎藤で、森(横浜)や野村(前阪神)のような監督なら好んで抜擢したくなるような俊足選手だが、恐らく原は使いたくない選手だろう。しかし、出塁に貪欲さが無い仁志の1番には大いに不満がある。あんなに出塁率が悪く、三振も多く、盗塁成功率も悪い打者はトップバッターとしては失格。そこで高橋由を切り込み隊長に持ってきた。彼のようなヒットマンを先頭に持ってきた方が打線に波が出来ると思うし、通算盗塁数は少ないが足も相当に速い。走る意識に目覚めれば、去年の井口(ダイエー)のように「走れる大型野手」としてもう一皮剥ける気がする。

 2番には嫌らしさを考えれば元木の方がいいのだろうが、守備力で言えば二岡の方が上。サード江藤の守備力に不安があることを考えれば二岡の守備力は捨て難い。ここは状況に応じて使い分けていくべきか。高橋由の後釜としての3番には清水を指名。1年間フルで使い通せば3割20本は打てる力があるが、ここまでは左投手の時にスタメンから外されたりして扱いが不遇だった。鋭角にバットを出していくことに関しては球界でもトップクラスのフルスインガーで、落ちる球全盛の今において清水の打棒は絶対に欠かせない。左投手も無理なくこなせるセンスはある。

 クリーンナップはケガさえ無ければ一定の数字は残せるだろう。ただ、江藤も清原も故障が多く、その手当ては万全では無い。大須賀の抜擢があれば面白いが、そこまでの決断が果たしてベンチに出来るだろうか。仁志はこのくらいの打順の方が持ち味は出る。むしろ彼のウリは年々上手くなっているセカンド守備。阿部は2年目ということで甘えは出来ない。配球のコツは掴んだろうから、何とか投手陣を引っ張っていけるか。打撃も去年のような打率だと少々厳しいかも知れない。最低でも.250は打てる筈。

<総合分析>
 全ては投手陣の踏ん張り次第。去年の大阪近鉄のような野球をしようとしても、安定した勝率は残せない。キーマンは上原と三浦と見るが、そこに1枚でも2枚でも新興勢力が食いこまないと苦しい。中継ぎなら鴨志田は即戦力で使えておかしくない。抜擢の価値あり。

 後は原新監督の采配。選手への愛情が深いのは伝わってくるが、人の良さだけでは采配は振るえない。時にその情がマイナスに作用しないとも限らない。鬼になった若大将も見てみたい気がする。


Vol.33 2002年プロ野球12球団戦力診断 ヤクルト編
2002年01月29日(火)

 キャンプインまであと3日、プロ野球の始動がいよいよ目の前になった。色々とゴタゴタが続いているプロ野球界だが、試合となれば話は別。存分に熱い闘いでファンに野球の凄みを見せつけてもらいたい。取り敢えず、今回からは12球団の戦力分析を暫くしてみようと思う。各球団のファンの方は気を悪くすることもあるかも知れませんが、そこは小生の独断と偏見と思って流して頂ければ幸いです。

 早速いってみましょう。第1回は、昨年度日本一に敬意を表してヤクルトから。

<投手分析>
先発・・・藤井、前田、入来、ホッジス、石川、石井、山部、五十嵐貴、鎌田
右中継ぎ・・・五十嵐亮、萩原、河端、本間、高橋一、宮出
左中継ぎ・・・山本、松田、ニューマン
抑え・・・高津

 石井一久が前言を翻してメジャー移籍を果たしたのは確かに痛手である。しかし、古田のことだからそれに変わる作品を仕立て上げることも充分に想像可能。その筆頭候補と踏んでいるのが自由枠獲得の石川。青学大時代の酷使による疲労残りが心配だが、先発で間隔をしっかり空けて投げさせれば、コンスタントに勝ち星を上積み可能な投手。魔球スクリューを使いこなす投球術には定評があり、体調万全なら大崩れすることは無いと見る。

 むしろ、前年に結果を残した投手の先細りが心配。藤井に関しては心配無いだろうが、入来は巨人へのリベンジを果たしたことによるモチベーション低下、前田はインコースを見せ球にしてタテの変化で勝負するパターンの露呈と、マイナス材料も存在する。特に前田は去年後半に息切れしていることからも貯金を望むのは酷かも知れない。

 そうなると、やはり先発陣がもう一つ物足りないか。特に右の先発で計算出来そうなのは2年目のホッジスだけ。彼は去年あまり投げていないし、角度のある荒れたストレートを軸にツーシームやカッターでノラリクラリと凌ぐ投球は今年も通用するだろう。が、鎌田や五十嵐貴の台頭が無いと厳しさは残る。そうなれば、左右を度外視して石井や山部といった辺りの抜擢も不可欠。特に石井の先発固定は面白いと思う。右打者の懐をエグるストレートの威力は一級品。

 全般的に高齢化が進むリリーフだが、軸はやはり五十嵐亮と山本だろう。特に五十嵐亮は数字程にパッとしなかった去年のような活躍だと苦しい。ビュンビュン飛ばして高津へのセットアップ役を完全に務めれば、他球団にとって恐ろしい方程式が完成する。その抑えの高津だが、球威の衰えは隠せないにしても、年を重ねる毎にストライクゾーンの使い方に渋さが出てきて、シンカーに全盛期程の凄みが消えた今もセーブ王を獲得する辺りは流石。古田とのバッテリーなら、恐らく12球団でトップの投球術を持ったバッテリーで、まだ抑えに関しては心配いらない。

 リストには敢えて新人3人を入れた。彼らが揃って活躍するようなら、ヤクルトの台所事情はかなり楽になる。ある意味でキーマンだ。

<野手分析>
1(中)真中(飯田)
2(遊)宮本
3(右)稲葉
4(一)ペタジーニ
5(捕)古田
6(三)岩村
7(左)ラミレス
8(二)三木(土橋、志田、ツギオ)
9(投)

控え
捕手・・・福川、青柳、小野
内野手・・・池山、城石、衣川
外野手・・・佐藤真、副島、代田、ユウイチ

 去年と殆ど変わらない顔触れだが、それだけ安定感があるメンバーだということである。長い目で見ると、高齢化が進み将来の備えには不安があるが、こと今シーズンだけの話ならそこまで不安は無い。怖いのはケガだけだ。

 8番セカンドを三木にしたのは、やはり先を見据えてのこと。土橋も年齢的にフル出場は厳しだろうし、ここぞという場面での代打なら、これ程に恐ろしい打者も見当たるまい。池山や度会といったところの調子と見合わせながら、土橋は切り札になってほしい。池山共々、まだまだヤクルトには必要な選手だ。

 福川は古田の後釜としてはかなり面白い捕手。打撃はまだまだプロのレベルについていけるか心配だが、インサイドワークの巧さは本物。ある程度1軍の実戦で鍛えていくべき人材で、少なくともベンチには置いていてほしい素材。守備面だけなら間違い無く即戦力で、去年の小野のように古田が抜けた途端に守備面がガタガタということは無くなる。その為には、ある程度使っていくこと。

 ラミレスに2年目の怖さはあるが、去年の前半戦で苦しんだ外角変化球攻めを、中盤戦からはしっかり克服してきている点で心配無いと見る。適応力が高く、守備にも不安は無い。右肩上がりにしてシーズンを終えた去年の成績に信頼が持てる。今年も神宮の杜には歓喜の『アイーン!』が炸裂するだろう(笑)。

<総合分析>
 今年も充分に優勝が狙える戦力である。優勝の翌年は4位という悪しきジンクスがあるが、それを打ち破るだけの地力は持っている。その為にはある程度は投手陣の再編を進めていく必要があるだろう。古田頼みな部分が多いことは否めないが、その古田がどれだけの「作品」を仕上げることが出来るかに連覇はかかっているかも知れない。逆に言えば、投手陣次第では一気に戦力が崩壊することも考えられる。

 打撃に関しては、何も言うことは無い。今年もペタジーニを中心とした打線は一定の成果を残せるだろう。怖いのは、やはりケガだけ。特に稲葉は故障が多いだけに1年フルで使えるか。

 最後に一つ。伊藤智仁の復活は是非とも見たい! あの美しい投球フォーム、芸術的にベースをかすめ取る高速スライダーの輝きをもう一度! 待ってるぞ、伊藤!



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