ある夕方、我々、オレ、うっちゃんとひろちゃんの三人でいつものホームグランドHに行った。オレとひろちゃんはなんとかバスを確保しアブれずに済んだ。

　しかし問題はうっちゃんだった。オレと同じ事をしても掛からなかった。どうしてなのかは解らない。彼女は相当のブランクがあるからだろうか？謎だった。

　このままではいけないと思い、我々はある水路でナマズを釣りテンションを上げていこう、そして笑顔で帰ろうではないか、と皆で計画した。しかしこの計画はバスだけじゃ物足りんではないかというオレ的思考で皆を丸め上げただけだった。車は俺が出してるのをいいことに半ゴリ押し状態の計画だった。

　うっちゃんはもういい・・・ってしょげた顔をしていたがそんなことは眼中には入らなかった。

　車内にて、ナマズは釣れるよと、ひろちゃんの空を切る呟きに流され一路、とある水路へと車を走らせた。

　しかしそこでも釣れなかった。なんて奴は釣り運が無いのだろうか。驚きだった。いかん。このままでは。最後の望みをかけてある河口付近の水路へ移動することとなった。うっちゃんの顔は闇夜のせいか紫色に見えた。

　この水路は夜は狙ったためしがない。アテにならないオレ的勘。しかし奇跡は起こるものだ。次から次へとジッターバグに当たって来る！俺が叫んだ。

　「うっちゃんよ！そこに撃ーっ！！」
　びゅう・・ドボッ！ジッターのステップダンスが闇夜に響く。
　かぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽか・・・
ゴッボ！！
　「巻けーーーーーーーーーーーーっ！！！」
　鈍い奴にゃこれぐらい強いのが調度良い。うっちゃんの竿は弓なりに曲がっている。
　炸裂。歓喜。狂乱。全てはあっという間の出来事だった。そして見事うっちゃんはナマズをゲットすることに成功した。体長４０センチと小ぶりだが、なかなかのファイトをしていた。

　それから更にナマズのアタックは続き小ぶりのをもう一匹ゲットした。オレはというと５０センチのを一匹揚げた。ひろちゃんは・・・０匹・・・。死んだ顔をしている。夕方、彼はこう言った。「ナマズは釣れるよ・・・。」　

　釣り歴、短い女狐に真横でコテンパンにやられた気持ちは恐ろしくて想像もつかなかった。オレはあえて考えず車の運転に集中した。

久しぶりの更新だ。今回は嗜好を変えてチームの行動パターンを書いていこうと思う。

　まず、オレが自分の発見した新しい釣り場を視察（もしくは玉砕という。）し、良い場所があればチャンコに報告。そしてそこでどんなに良い結果を得ても文句の一つが帰って来るが、そこは俺の強引極まりない説得で奴を丸め込む。第一関門終了と。

　お次はヒロちゃん、経験が浅いので情報を良いように少し加味すれば奴はすっ飛んでくる。チャンコも少しは見習って欲しいものだ。第二関門終了と。

　そして釣り場に向かう。車は勿論俺が出す。オレの隣には大抵チャンコが座る。そしてその釣り場について文句を並べる。

　チャンコ「おいおい、誰だ？こんな場所に連れてきたバカは。」
　オレ「バカは無いだろ。オレが折角、体を使って見つけてきたのに。」
　チャンコ「俺はな目の前に魚が見えていて、かつ常に釣れ釣れの状態じゃなければやる気が出ん。」
　オレ「おい、ヒロちゃん、この腐れ下道をどう思うよ。」
　ヒロちゃん「あー・・・、なー・・・、釣れりゃいいんじゃないの。今日もバコバコっといこうや。」

　オレ絶句。人事だと思っていつも話を３割弱しか聞いてないこの男もチャンコ同様仕方の無い男なのだ。こんなことで凹んでいてはつりはできん。何はともあれ実釣だ。

　釣り場の一番乗りは、オレではなくチャンコが我先に飛び込んで行く。おいおい、大人げねぇな、あれだけ文句を言っておいて一番興奮しているは紛れもなく奴なのだ。ため息をつきながらも、とにかく釣りだけはする。何せ釣りクラブだから。
　釣りをする時だけはチャンコ以外は基本的に口数が少ない。オレとヒロちゃんは必死にせめる。そして納竿。

　車内にて、まずよく釣れたパターンから・・・
　チャンコ「ぶっはー。」タバコを旨そうに吹かす。「お前もたまには役に立つもんだ。少し株が上がったな。」
　オレ「だろ？俺の言う通りにすれば、まあ、当然ってとこかな。なあ、ヒロちゃん。」

　ヒロちゃんは薄笑いを浮かべて外で釣っている人達を見て一言。「あいつら釣れてんのか？」とても冷ややかに言い放つ。

　チャンコ「ていうか、ヒロちゃん、自分でポイント探したらどうだね。人のふんどしで相撲をとっちゃいけないよ。」
　オレ「ていうか、おめぇもそうだろ！」
　てな具合で、皆しょうがない悪態を付きながら、飯屋どこに行くかで、更に一層もめ、帰路する。

　次に釣れなかった時・・・
　チャンコ「オイ！！てめぇ！どうしてくれよう、この結果！！全くお前の紹介するポイントはロクでもないトコばかりだ！！あーー！オレの貴重な休日がー！」
　オレ「・・・あー？あー・・・なんでだろーね。前は良く釣れていたのにね。それとね、お前も良く考えてみろ。釣り場なんて刻一刻と変化してんだ。長年釣してたら解るだろ。しょうがねぇよ。」
　ヒロちゃん「まあ、また釣れるよ。」

　チャンコ「むうー！お前らそれでもいいのか？お前らは負け犬だ。誰が上か、誰が馬の糞かわからせてやる！！」
これはチャンコの決まり文句だ。
　オレ「別に要らんよ。まあ、熱くなるな。血栓が飛ぶぞー。このチーム内、早死に率NO１のお前を心配して言ってやってんだ。有り難く思え。」
　
　チャンコは相変らずブチギレ、
　オレは力無く笑ったまま、
　ヒロちゃんは目が充血して生気を失ったまま帰路するパターンだ。本当にどうしようもないチームだ。・・・だもんで、この濃いチームに乗り込んでくる覚悟のある奴、求む！ていうか、誰かチームに入っておくれ・・。そしてチャンコ、ヒロちゃんのお守りをたのんます・・・。

マグロ