diary/column “mayuge の視点
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燃えよ俺

 今年のNHK大河ドラマは『新撰組!』である。

 実はまだ一回も観ていないのだけれど、三谷幸喜脚本ということでちょっと気にはなっていた。そこで今、電車の移動時間などを利用して、新撰組にまつわる話を読んでいる。司馬遼太郎の『燃えよ剣』(新潮社版)だ。

 剣のために生き、剣のために死ぬ。新撰組副長・土方歳三を主人公にした、激しくも切ない、男たちの物語。今さら僕がここでいうまでもないことだが、さすがに巨匠の作である。みずみずしく描かれる人物像、緻密な取材に裏付けられた情景描写。幕末日本の空気をありありと感じさせるリアリティがある。軽妙なテンポですらすらと読ませるので、こちらも維新期の時代変容のスピードさながらにページを繰る。下巻も、もうすぐ読み終わりそうである。

 それにしても僕は知らなかった。新撰組ってこういう組織だったのか。もちろん、土方だけでなく、近藤勇、沖田総司あたりは、名前だけは知っていた。大学受験で日本史選択だったし、「蛤御門の変」とか「鳥羽・伏見の戦い」なんてワードを解答用紙に記入したこともあったかもしれない。でも中味を理解していなかった。やはり興味が理解を生み、認識を変える。本はいい。

 幕末期の日本では、尊王とか討幕とか攘夷とか、種々の思想が入り乱れていた。ペリーの浦賀来航のあとは、二百年以上続いた「徳川バブル」がはじけて、グチャグチャの状態になっていったわけだ。

 そのなかで土方は、とにかく人を斬る。近藤が「歳、どうする」と聞けば、「斬る以外にあるまい」なんて答えたりするのだ。コワっ。もし僕がその時代に今の年齢で存在していたら、間違いなく斬られていただろう。軟弱者だからな。おそらく時代も僕を必要としなかっただろう。では現代ではどうか。

 あまり変わらない気も、する。

2004年01月29日(木)

人体の不思議展

 先日、東京国際フォーラムで開催中の「人体の不思議展」に行ってきた。

 実は先週末にも会場まで足を運んだのだが、あまりに混んでいて、見るのをあきらめたのだった。しかたなく平日に出直す。すいているという話の午後6時ごろに再び訪ねてみると、やっぱり混んでいた。なんだよ、すごい人気だな。それでもせっかくなので中へ。

 女性が多い。しかも若い子の割合が高い気がする。たいていのものを「キショい」か「かわいい」、どちらかの形容詞で片付けてしまいそうなギャル系のコなんかもいたりする。意外だ。カップルや男女のグループもけっこういる。もっとこう、解剖フェチっぽいお兄さんが一人で来ていたりするのかと思ったが、そういうことではないらしい。

 展示物はとにかく「人体」。ショーケースのなかには、スライスされた脳や、開けっぴろげの腹腔内から飛び出さんとする内臓類なんかが並ぶ。皮膚をはがされた人が何体もマネキンのように立っていたりもする。みなオチンチンも丸出しである。

 表面が「ろう」のような質感なのでにわかには信じがたいのだが、これらはすべて「本物」。死んだ人から提供された臓器や、体そのものが、腐敗防止の特殊な処理を施され展示されているのだ。なんでもこの技術、ホルマリンとは違って臭いがせず、臓器も収縮ししない最先端のものなんだとか。

 たしかに臭くない。むしろ僕の斜め後ろに立って子宮を観察しているサラリーマン風のオヤジのほうが臭い。

 なかに入っている人体の部位によって、ショーケースの人だかりに差が出る。やはり脳は横綱格の人気だ。胃、肝臓あたりも集客力がある。肺も負けてはいない。だが、じん臓、すい臓はやはりマイナー感が否めない。同じようにがんばった内蔵なのに、ちょっとかわいそうだった。

 ショッキングだったのは、「胎児」。大きさの違う数体の動かぬ赤ん坊が、目を閉じて横になっている。ひと月ごとに大きくなっていく様子がわかるようになっているのだ。

 後からやってきた若い女の子が、連れの子にあっけらかんと言う。「ねえねえ、2ヶ月めから3ヵ月めの間に、チョーでかくなってない?」。そうだね。君もつくるときは計画的にね。それは言わないでおいた。

 最後に「脳の重さ体感コーナー!」でずっしりとした脳を手のひらに載せてから会場を出る。卒倒しないように集中して見たので、腹が減ってきた。なに食べようかな。まさかモツ、レバー、タン、白子ってわけにはいかないよな。いまさんざん臓物見てきたばかりだし。

2004年01月25日(日)

日記的前フリ事件

 きのう訳あって霞ヶ関へ行った。

 霞ヶ関かあ。思い起こせば会社員時代、銀座での接待帰りにタクシーでよく通過した場所だ。

 「お客さあん、高速乗っちゃってもいいですかねえ?」

 そうだ。都心環状線の入り口があったっけ。確か運ちゃんたちの通称は「カスミ」だったよな。

 「ええもう、そのまま三号を用賀までビュッと行っちゃってください」

 今の僕にはありえない話だ。

 その霞ヶ関に、この日は地下鉄でやってきた。車で通ったことはあっても歩くのは初めてだった。

 駅前にそびえるは、裁判所のビル。裁判所なんて場所に足を踏み入れたのは、三十歳にして初めてだ。

 そういや大学時代、法学部の友人がレポートのためかなにかで行くって言ってたな。あんときの僕は、「あっしとは関わりのねえことでござんす」なんて思ってたけど、来ちゃったよ、とうとう。

 といっても僕が何かしでかしたわけではないのだ。いま通っている講座の課題のために、傍聴に来たのだ。

 お目当ては、「東京地方裁判所刑事2部平成15年合わ275等」という案件。なんとも小難しい名前だ。館内の掲示板によると地裁第104号法廷で開かれるとのこと。罪名は「準強姦」、被告人氏名は「和田真一郎」。それはいわゆる「スーフリ裁判」だった。

 傍聴券の配布はパソコン抽選。指定された場所に行くと、そこで偶然にも大学時代の先輩に会う。ちょっと変わった人で、東スポの記者になった人だった。都の西北つながりの二人が、都のセイヨク裁判で再会するとは。トホホ。

 集まっている人は90人ほど。先輩によれば70人程度は入れるとか。で、いざ抽選。外れた。外れるほうが難しいってのに……。でも先輩が雇っていた「並び屋」さんの分を分けてもらい、なんとか法廷へ。

 肝心の裁判傍聴記は、また今度改めて書くとするが、ただ、印象に残った人を3人挙げておこう。

]妥槌鏐陲諒杆鄂
 かなりご年配のおばあちゃん。尋問が右へ左へ、上へ下へ飛ぶ。昔は「振り回す女」だったと見た。

∈Iのおネエちゃん速記官
 常に発言者を放心状態の目で見据えたまま、手はモソモソと動いている。その口は片時も閉じることがなかった。

裁判長
 途中、おばあちゃん弁護士を猛烈に急かし、午後5時きっかりの閉廷に持ち込んだ。これぞお役所仕事。天晴。

2004年01月22日(木)

【企画書】養われたい女たち

(課題「企画のタネ」企画書)

○企画タイトル

だって女の子だもん!と開き直る
「養われたい女たち」

○企画意図

どんなにきれいで仕事ができても、30代で独身、子供を生まない女性は「負け犬」。それに対して、結婚して子持ちの女性は「勝ち犬」……。そんな大胆なカテゴライズを打ち出した酒井順子氏のエッセイ『負け犬の遠吠え』が話題となっている。

なるほど、男女雇用機会均等法の施行以降、時代をリードしてきた「キャリア志向女性」たちの心理にも今後変化の兆しが現れるのではないか。「キャリアを目指してみたけどやっぱり大変。なんか疲れちゃった」「そういえば仕事しか残っていないな」。

一方、心理学者小倉千加子氏が『結婚の条件』のなかで取り上げる、現代女性が結婚に求める要素は「3C」。

「Comfortable」=快適な=十分な給料、
 「Communicative」=理解しあえる=相手は自分と同じかそれ以上の階層、
 「Cooperative」=協調的=夫が家事をやってくれる
ということ。

これは、ひと昔前に我々フツーの男たちを悩ませた「3高」よりも厳しい要求。

あわせて考えると、「『3C男』をゲットしていち早く結婚」を掲げる女性が再び主流となりそうな予感。これはつまり、今後は「養ってほしい女」が増えてくるということではないか?

ちょっと待った! これは独身男性陣にとっては大問題。うっかり「セレブかぶれ女房」に捕まって、奴隷のように働き疲弊していく前に、「敵」の心理を知っておかなければならない。

そこで、現代女性の結婚観が今どのような状況にあるのかについて、男の目で考えてみたい。


○内容

「勝ち犬」と「負け犬」、およびその予備軍たち(20代女性)に対して、結婚に関する大々的な意識調査・実態調査を行い、それぞれの考え方や行動傾向を徹底分析する。その上で「養ってほしい女像」を浮かび上がらせ、養えない男性陣に警鐘を鳴らす。また、「養ってほしい女」と結婚してしまった既婚男性の声にも迫る。

○見出し案

アンケート結果報告! 「これがわたしたちの本音」

(質問例)
何歳まで働きたい? 婚適齢期は何歳だと思う? 子供は生みたい? 結婚相手に望む条件は? etc.

ヒートアップ討論! 負け犬vs勝ち犬「遠吠えバトルトーク」

「負け犬予備軍」に聞く 「センパイの二の舞はイヤ!」

覆面座談会 「こうしてボクは『勝ち犬』に捕まった」

男性陣注目!「ココが危ない!『養ってサイン』の見極め方」

コラム「女性タレントの早婚現象はパンピーに波及するか?」


○想定読者

【メインターゲット】 20代〜30代・男性サラリーマン

【サブターゲット】  30代・未婚・OL

最近「そろそろ年貢納めちゃおうかな」と考えている男性。

それで女性たちが結婚についてどう考えているのか気になってしかたがない男性。

お気楽な女性社員を見て「どうせオマエら定年まで働く気なんてねえんだろっ」と憤る男性。

職場で「負け犬」先輩女性社員を毎日目にする男性。

タイトルを見て「これってワタシのこと?」と思ってしまった「負け犬」女性。


○掲載予定誌

週刊「SPA!」
※ウェディングシーズン(6月)にあわせて展開

以上

2004年01月19日(月)

発見、韓国不思議の酒

 バンクーバーにはたくさんのアジア人が住んでいる。

 中国、韓国、フィリピン、マレーシア、イランなどなど。もちろん日本人もそれなりにいる。カナダ自体がそもそも移民の国だし、各国から移民してきた人たちがそれぞれ大きなコミュニティーをつくって暮らしている。

 となると当然、各国のお国料理を食べさせる店ができる。なかでもハマったのがコリアンだった。白いご飯が食べられるのは、日本食かコリアンぐらいだというのもあった。

 日本で韓国料理というと、すぐに焼肉という発想になるが、向こうで知ったのは、それ以外の料理がまた絶品だということ。

 またコリアン行きたいな。そんな思いがあったので、連れと赤坂へ乗り込んだ。ヘムルパジョン、チャプチェ、懐かしかった。

 そこでもう一つ発見があった。それは韓国のどぶろく、「マッコリ」だ。白濁したその様子は、ヤクルト飲料のよう。口に含むと、これがたしかにヨーグルトのような味がする。「マッコリは足にくる」といわれるほど強い酒らしいのだが、ほとんどアルコールは感じない。進む。ガンガン飲めてしまうのだ。

 「小」のほうを頼んだのだが、それでも五百ミリリットルはある。ペットボトルを想像してもらえばわかりやすいが、結構な量である。気がつけば、それを一人で「完飲」してしまった。

 直後の千鳥足と翌日の頭痛は覚悟していた。しかし。まったく「後遺症」はない。翌朝など、いつもよりスッキリ目覚めたくらいだ。

 やばい。見つけちゃったカモ……。


2004年01月18日(日)

古き良き時代よ、永遠なれ

「♪I was born to love you
  With every single beat of my heart
  Yes, I was born to take care of you
  Every single day of my life…」

 フレディ・マーキュリーの抜けるような歌声が耳に残るフジ月9の新番組、『プライド』がスタート。このドラマ、アイスホッケーが取り上げられているということで、さっそく初回を見てみた。

 実は最近、僕は「ホッケー好き」を気取っている。以前滞在したカナダではアイスホッケーが盛んで、僕も2度ほど体験ホッケー教室に参加したりもしたものだ。そんなこともあって、木村拓哉がリンクを颯爽と滑っている様には「なかなかやるじゃん」などと思い、市川染五郎の屁っぴり腰を見れば「おいおいそうじゃねえだろう」などとエラそうに口走っているわけである。

 さてさて初回の感想。思ったのはまず、月9枠にふさわしくキャスティングが豪華だということ。加えて大多亮プロデュース、野島伸司脚本ということで、フジとしては絶対にコケられないだろうなということ。そのわりには「どうなの、コレ?」という印象であったこと。あくまで若者の恋愛&友情ドラマとして見るべきであること(ホッケー物語ではない)。相変わらず木村拓哉はドラマのなかでも「木村拓哉」であるということ。そして23歳の竹内結子はとてもまぶしかったということ。

 もう一つ気になったのは木村演じる里中ハルが言ったセリフ、「古き良き時代の女」。遊び好きではなさそう。固そう。彼氏がいたら浮気なんてしなさそう。でも情がありそう。気持ちがやさしそう。恋愛では不器用そう……。想像するにそんな女性なのかと思う。そうではない女性が多くはびこる昨今、なんとも含蓄のあるコンセプトだ。実はこれ、「我が意を得たり」だったりして。

 今後のキーワードとして注目である。

2004年01月15日(木)

【企画書】デザイナーズマンション

(課題『TOKYO★1週間』フレッシャーズ特集企画)

◇企画タイトル

憧れの暮らしがキミのものになる!
「家賃7万円からのデザイナーズマンション探し」

◇提案理由

 フレッシャーズたちがまず直面する問題、それは住環境の整備。学校、職場は決定済み、そんな彼らにとって、これから始まる「憧れの東京生活」を充実させる最重要ポイントは「どんな家に住んで、どんな暮らしをするか」ということ。
 ただし彼らにとって住まいとは今やファッションの一部。家だって自分流のセンスを発揮して選びたい。となると狙いはやっぱり、話題の「デザイナーズマンション」。高嶺の花と諦める人も多いが、探せばある(かも)! 
 そこで、そんな彼らの「こだわりの家探し」にフォーカスを当て、そのポイントとハウトゥーを紹介する。

◇内容

エリア選定基礎知識
 東京近郊を数エリアに分類し、各地域の特徴、地元東京人からの評価などを紹介。

ex.)学生向け格安物件の宝庫「中野・吉祥寺エリア」、都心に近いのに“千葉扱い”な新進の下町「城東エリア」、高感度新人は芸能人ともお隣さん「目黒エリア」、緑とカフェがいっぱい「世田谷エリア」など

超オススメ厳選物件20!!
 『TOKYO★1週間』がオススメする格安デザイナーズマンション物件20件(仮)を写真と間取り図入りで紹介。

ex.)「日の出荘」¥70,000〜(目黒区平町/都立大学駅徒歩9分)、「SUMICA」¥73,000〜(大田区北千束/洗足駅徒歩4分)、「ハウス アム バンホフ」¥73,000〜(世田谷区南烏山/千歳烏山駅徒歩3分)、「rayons」¥85,000〜(目黒区碑文谷/西小山駅徒歩8分)、「SPAIRAL」¥96,000〜(新宿区早稲田鶴巻町/早稲田駅徒歩7分)など

(囲み)「頼れる不動産屋さんはココだ!」
 デザイナーズマンション物件を多く取り扱う不動産業者数軒を紹介。あわせて優良物件探しのコツを伝授してもらう。

◇立案者コメント

 新生活準備という内容のため、なるべく早め、3月初旬での展開が望ましいかと思われます(これでも遅いかもしれませんが……)。

以上

2004年01月14日(水)

【企画書】フレッシャーズ家電

(課題『TOKYO★1週間』フレッシャーズ企画)

◇企画タイトル

あの製品、どれだけつかえる?
「フレッシャーズ家電 その実力を大検証!!」

◇提案理由

 各メーカーが打ち出す、新生活者向けの電化製品シリーズ。今までの白物家電とは違って、ちょっと気の利いたデザインだったりする。価格も比較的抑えめで、ひとり暮らしを意識した品揃えだったりもする……。
 しかしここで思うのは、「実際に電化製品としてはどうなのよ?」という点。そこで代表的なフレッシャーズ家電シリーズを取り上げて、各製品の機能とコストバリューを比較・検証する。
 あわせて、フレッシャーズの新生活に重宝する「この春注目の家電新製品」も紹介。

◇内容

代表的な3ブランド、『it’s』(サンヨー)、『無印良品』(良品計画)、『will』(パナソニック)をピックアップ。

各ブランドに共通するアイテムで、ひとり暮らし白物家電の「三種の神器」とも呼べる「洗濯機」「冷蔵庫」「電子レンジ」について、うれしい機能いらない機能、デザイン、サイズ、定価と実勢価格、ランニングコスト、メンテナンスのしやすさ環境への配慮などを徹底的に比較検証する。

各検証項目で点数をつけレーダーチャートで表示。その上で各製品に「A」「A+」「B」などの総合評価を下す。

その他にも「こんなのもあったらいいな」という製品の紹介も。掃除機、コーヒーメーカー、浄水器、FAX機、テレビ、ミニコンポ、DVDプレイヤーなど、ひとり暮らしで便利なアイテムのうち注目すべき新製品をピックアップ。

◇立案者コメント

 比較という内容のため、広告クライアントとの兼ね合いもあるかと思いますが、買う側としてはそれなりに有益な情報なのではないかと思いました。内容的にはやや主婦向けっぽいところが出てきてしまうため、フレッシャーズ本人ではなく「母親世代」が手に取るかもしれません。

2004年01月13日(火)

【企画書】アテネ五輪&メジャーリーグ

(課題:『TOKYO★1週間』連載企画)

◇企画タイトル

目指せ! そろって金メダル!
ヤワラちゃん★ヨシくんの「めおとアテネ道(みち)」

◇提案理由

交換日記ネタでもう一案。こちらでは、女子柔道谷亮子(旧姓田村)選手とオリックス谷佳知(よしとも)選手のカップルにフォーカス。
2人の「ド派手婚」は記憶に新しく、今後アテネ五輪へ向けさらなる注目が集まると予想される。
「ヤワラちゃん」の国民的人気は捨てがたし。

◇内容

結婚式中継と同様、「見たくないけど見てみたい」のは、その後の夫婦生活。国民的アスリート夫婦は日々何を考え、アテネ五輪へ向かうのか。その過程をドキュメンタリー風に。
もちろん「のろけまくり」でもそれなりに面白い(ハズ)。
五輪までの残り日数が少ないため、一度に両者のエッセイを併載する。
毎回アテネ五輪へのカウントダウンを入れる(「あと○○日……」)。

◇立案者コメント

 練習メニューにまで触れたりするような「体育会系」に転ぶか、はたまた三谷幸喜さんの連載エッセイ「ありふれた生活」(朝日新聞)のようにホノボノしたほうへ転ぶか、予想がつきません。




(課題:『TOKYO★1週間』連載企画)

◇企画タイトル

松井美緒の「NY★セレブライフ!」
または
リトル松井夫人がつづる 「パパはルーキー!」

◇提案理由

メジャーリーグNYメッツ入りしたリトル松井こと松井稼頭央選手は、昨年のゴジラ松井選手のように注目されること必至。
ただし本人の話題は各メディアで毎日取り上げられることも必至。
そこで元タレントの美緒夫人に注目。
生活の場は日本人が憧れるあの「ニューヨーク」。
報道によれば、松井選手のメジャーでの年棒は8億円を超えるとか。
さらに契約の条件として、松井選手本人とは別に家族専属の通訳がつくという話。
これはつまり、「超セレブな生活」という話。
そこで、「人のぜいたくは腹が立っても見てしまう」という心理につけこみ、夫人の優雅なニューヨークライフを垣間見られるコラムを連載。

◇内容

キャピキャピのおのろけトークで展開。
「有名ブランドお買いもの報告」「高級レストランでの美食報告」「セントラルパークでの公園デビュー報告」など、毎回テーマを変えてセレブな生活をあますところなく伝える。
ただしご本人(美緒夫人)が控えめな方の場合、「ガンバレ! 新人のパパ」という方向へシフト。この場合、海外で暮らすヤング日本人妻の「さわやかライフエッセイ」的な性格づけに。

◇立案者コメント

 サッカーのベッカム選手は、ビクトリア夫人が少々「おてんば」でも特にとがめだてはしていないようです。果たして松井稼頭央選手は許してくれるでしょうか。

2004年01月12日(月)

一杯の支那そば

 「いらっしゃい!」

 威勢のいい声が小さな店内に響く。都内でラーメン店『たま家』を営む阿部正博さん(33)がその声の主だ。

 「横浜家系」の人気店で修行をし、のれん分けを許されて一年半になる。そんな阿部さんも、この商売を始めるまでにはいくつかの仕事を渡り歩いた。だが最後に辞表を提出したとき、彼はある決意をしていたそうだ。腹のなかにあったのは、資金を貯めて商売を始めるということ。それがラーメン屋だった。

 原点は小学六年にさかのぼる。近所に、その後ラーメンブームの火付け役となる店ができた。友達に誘われて食べにいった。その味は子供心にも衝撃的だったという。

 決意の辞表のあと、運送業者で働き始める。トラックの窓から話題のラーメン店を見つければ、片っ端からのれんをくぐる毎日。週七日、一年間で数百食を試した。一方で開業フェアなどのイベントにも精力的に顔を出す。昔から「勉強は大嫌い」だったという阿部さんは、「このとき初めて猛勉強をした」と笑う。

 彼を支えたのは「恩師」たちの教えだった。高校生のときにファミリーレストランでアルバイト。初めての仕事だった。「すごくいい人だった」というその店の店長は、ただ作業を教えるのではなく、お客さんをどうしたら喜ばせられるかということを大切にする人だった。

 専門学校時代には「唯一心を開ける」教師に出会った。その人から教わったのは、「人としての生きかた」。恩師たちから教わったのは、「こころ」の部分だった。

 この商売で最も気をつけていることは何かという問いに、一呼吸おいて答える。

 「信用と味、ですね」

 何十回も足を運んでくれるお客さんは裏切れない。いつ来ても開いている。いつでもうまいラーメンがある。そんな店でありたい。

 恩師たちの言葉を胸に、彼は一杯六百円のあたたかいラーメンを今日もつくり続ける。

2004年01月11日(日)

うしと僕のただならぬ関係

 吉野家がいま、大変なことになっている。

 ご存知のとおりその原因はBSE、いわゆる狂牛病だ。昨年末、米国産牛肉に初めてのBSE感染が認められ、日本は実質的な禁輸措置に踏み切った。このため、メイン商品「牛丼」の材料となる牛肉の大部分を米国産に頼る吉野家は、営業の見直しを迫られることになったのだ。

 僕はこの問題に心を痛めている一人だ。なぜなら、僕と吉野家は「ただならぬ関係」なのである。

 思えば大学一年生のとき。あれはアメフトの練習帰りであった。「生卵をかけて食うとうまいよ」。一緒に行った友人に、そう薦められた僕は、見よう見まねで卵を溶き、肉の上から回すようにして流し込んだ。その友人は、その後テレ朝に行った吉川君だ。92年の夏のことを、僕は今でもよく覚えている。

 僕はゆっくりと箸を口へ運んだ。混ざりきらなかった卵の白身が糸を引くようについてくる。口に含む。噛む。

 「むむむ!?」

 衝撃が走った。甘い。そして濃い。タレに加え、溶き卵によって通常の状態よりもやや水気を多く含んだ牛肉は、ジューシーこの上なし。続く玉ねぎの歯ごたえ。まるで計算されたかのような煮込み具合だ。卵黄はそれらをやわらかくコートし、カスタードクリームのようなまろやかさと、独特の濃い味わいを加えている。

 「むむむむむ」

 お持ち帰りで食べたときのボソボソと味気ないという印象はその瞬間に消し去られた。それは鮮烈なデビューであった。

 以来、僕は好んで吉野家の牛丼を食べ続けてきた。もちろん「松屋」も試したし、「なか卯」へも行った。でも「違う」んだよなあ。僕の味覚をつかさどる脳細胞には、あのとき吉野家の味が刻み込まれてしまったようだ。


 「ただならぬ関係」はこれだけではない。

 僕はかつて広告会社の営業マンをしていたのだが、実は新入社員のときに担当した最初のクライアントが、他でもない吉野家ディー・アンド・シーだったのだ。新人の僕は、連日吉野家の宣伝担当部署に通ったものだ。牛丼CMの撮影現場では、やっぱり牛丼が振る舞われたっけ。思えば、最初に僕を「ちゃん付け」で呼んでくれたお得意さんが吉野家さんだった。

 その後、異動で担当クライアントが変更になっても、牛丼を食べる僕の食生活は変わらなかった。ひどいときは週に五回。ウシウシ・サカナ・ウシ・カレー・ウシウシのような状態であった。このままいくと角が生えてくるんじゃないかと、本気で心配したものだ。

 店での滞留時間はいつも極めて短い。入店して食べて出るまで、約五分。毎日不思議と忙しい若手社員の生活のなかでは、実に「助かる」食事なのである。食べ終わった後、毎回確実に満足感が得られるという事実もまた、僕の足をして再びオレンジ色の看板に向かわしめたのであった。

 吉野家といえば、「カスタマイズ注文」が必ず話題にのぼる。ツユダクは、「いろはのい」といっていいだろう。しかし僕にいわせれば、ツユダクはまだまだシロウト。それを聞くと「フフフ」などとほくそ笑んでしまう。誰しもそうして大人になっていくのだ。ネギダクと聞けば「おっ」ということになる。どれどれとばかりに、注文者の面構えをそれとなくチェックしてみたりする。ツユヌキやネギヌキクラスになると「むむー」と唸ってしまう。かなりハイレベルである。ただ、僕はそれらを経て再び「カスタマイズなし」の境地に辿り着いた。いわば悟りである。

 こうなると吉野家に対して「身内意識」のようなものが生まれてくる。女子高生のグループや若いカップルが来店しているのを目にすれば客層の拡大に喜び、サッカー日本代表の小野伸二が年末に帰国したとき、まっさきに吉野家にいったと聞けば、「うんうん、そうだろう、そうだろう」と我がことのように目を細めてしまうのである。

 その吉野家が、いま危機を迎えている。これはなんとも心配である。駅前の吉野家で今年の「うし初め」をしながら、この問題の一日も早い収束を願わずにはいられない丑(うし)年生まれの僕なのであった。

2004年01月08日(木)

セルジオな越後

 サッカーの世界に、セルジオ越後というオヤジがいる。僕はこのオヤジがけっこう好きである。

 セルジオというだけあって生まれはブラジル。日系二世だ。ブラジルでのプロ経験もあるらしい。現在は評論家として日本代表戦の解説などをしている。

 このオヤジ、さすがに本場仕込み、指摘するポイントがわかりやすい。僕は「エライ人」を(僭越ながら)評価するときに、話がわかりやすいかどうかを判断基準にしているのだが、セルジオ解説は実に明快だ。

 Jリーグあがりの半分芸能人のような輩だと、やたらと専門用語を振りかざして自分の戦術理解レベルの高さをひけらかそうとする嫌いがあるもの。「俺は選手としては有名じゃなかったけど、お前らよりこんなに知ってんだゾ」といった感じなのだ。

 セルジオさんは違う。いたってシンプルに話す。ブラジルというバックグラウンドのおかげか、四の五のいう必要はない。だから核心だけを突ける。もちろん、今の日本にはまだ理解と普及が必要な段階だということもわかっていて、意識的に素人にもわかるように話している。アタマもいいのだろう。

 また、たやすくまわりと同調しないスタンスもいい。他のマスコミにチヤホヤされている、ややテング気味の選手をつかまえてコツンとやるかと思えば、視聴率や新聞の売上げにつながらないような選手を取り立てて、その地道な努力を称えたりする。

 言うなれば越後さんは、辛口だけど根はやさしい、ちょっとへそ曲がりのご隠居さんといった感じ。僕は、この「セルジオなんだけど越後な感じ」が好きなのだ。町内会に一人はいてほしいタイプなのである。

 ちなみにセルジオさん、日刊スポーツでコラムも書いている。タイトルは「ちゃんとサッカーしなさい」。このセンスもけっこうイケている。

2004年01月04日(日)

大いに問題だ

 年末のある日、待ち合わせのため新宿西口に立った。救世軍の社会鍋、初ゆめ宝くじの売店、靴磨きのおじさん。西口は変わらない。長距離バスの発着場があるせいか、なんだか石川啄木の歌を思い出させる雰囲気がある。帰るべき特定の田舎を持たない僕も、少しばかり郷愁のおこぼれにあずかる気分だ。

 そんななかで一人の男性に目がとまった。首から小さなプラカードを提げて、足早に通り過ぎる人たちに向かい何やら大きな声をかけている。手に持っているのは雑誌のようだ。すぐにピンときた。

 ホームレスの人たちによる販売で話題の、『ビッグイシュー日本版』である。新聞などの報道で聞き知ってはいたが、実際に目にしたのは初めて。いったいどのくらいの人が買っていくものなんだろうかという純粋な興味から、やや離れたところに立ってしばらく様子を見守った。

 するとどうだろう。たかだか五分ほどの間に四組もの人が立ち止まり、二言三言話をしてはその雑誌を買っていった。売れ行きは好調のようである。

 僕も一冊買い求めた。ハチマキ姿のその男性、「商品」の説明もしてくれる。イギリスで始まったホームレスの自立を支援する事業であること、世界の二十数カ国で行われていること、アジアでは日本が初めてであること、一冊200円のうち110円が彼ら販売員の実入りになること。加えて彼はいう。

 「皆さん、『ほどこし』の意味で買ってくださいます。でもこの雑誌自体が読み応えのあるものになっていかないとダメなんです。だから雑誌の内容についてどんどん意見を言ってください」

 立派な営業マンの言葉である。

 その場所を後にするとき、彼は僕に深くお辞儀をした。僕は仕事もせず屋根の下の暖かいふとんで安眠をむさぼっているようなヤツなのに。これは大いに問題(ビッグイシュー)である。

2004年01月01日(木)

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