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嫌いな食べ物「キュウリ」


2004年02月27日(金) NOTITLE.

例えば其れが、虚で虚を見るのなら其れ等を私は虚でしか見ない。例えば其れが、真で虚を見るのなら、其れ等を私は罵倒致する。私の指先と瞳から、爪先と舌先から、作り出される物はこの世界ではどれも虚偽と呼ばれる物である。私も其の全てを、私が作り出す全ての物を馬鹿にしているが、だが其の全てにおける全てが、私が作り出した何がしかで有る事は紛れも無い事実であって、其の虚である作り物が完全に私を象る虚であるかと言えばそうでは無い。私は其れを知っているし、多分私以外のあらゆる人間が、其れについて言葉や文章や音に表さずとも知っているに違いない。貴方の其の言葉は真かと聞かれれば、完全に全てを捧げて真だと言える筈も無いのは事実で、また、嘘を言った所で全てを投げ打って嘘だとも言えはしまい。真には虚の心情が水底で絡み、居には真の心情が水底に絡み、また、真であるか虚であるかすら分からぬ心情や他の類すらも其の水底には、まるで何時か其れを引き揚げ束子で擦った所で完全に落ちることの無いあの水藻の様に、深くお互いが絡み付いてもう其れが一体どの根から来た藻であるか、すら分からぬのと、作り物の実態は何ら変わりが無い。拠ってこれから作り出す私の何らかの虚或いは真も、もう作り終わった其れ等も、全て私であって私で無い。只私はそうやって、何らかの自分なのか自分で無いのかすら分からぬ物をこうして作り続けて、何をするのかと言えば只管に私というものを切り刻んで実験しているのに過ぎない。私が下らない事を作り出す時も、真面目に何かを創作する時も、私の快楽には其処には無く、切り刻んだ其の皮膚の内側から私の内臓を取り出し、色を見、私の一部を知ることだけをしているのだと言って構わないと思う。私はきっと死ぬまで私を見る。そしてきっと死ぬまで理解など出来ない。だが自分の細胞の一つすら知らずに、肉が崩れて何時の間にやら精神というあやふやな其れが、煙草の煙の様に溶けてしまうのを私は望まない。それなら只管に私の細胞の一部の其れを知ろうとし、もしかすると最期まで細胞の一つすら知ることが出来ずとも、知ろうとする為に切り刻んだ私の皮膚から流れ落ちた固まった血を、今際の際にやっと振り返る方を私は望む。


私以外の人のどれだけが如何いった理由で死に向かっているのだろうか。

今私は一番其れが知りたい。


2004年02月24日(火) 少年1(懐古)

教室の窓に、腰掛けて、ひとりのしょうねんがそうしてただじっと、白い髪を夕日に煌かせて、いた。
目の前に広がるのは。
机、鉛筆、筆箱、プリント、出し忘れのレポート…
そんな類。
その中で少年は一人、静かに腰掛けていた。
後ろに広大な夕日を背負って。

そのとき、ひゅう、と風が泣いた。

髪が乱れて世界を隠す。

からから…
鉛筆が一本、机から落ちるのを見ることが適わなかった。

そうして少年はたった一人、
窓辺に座ったまま、
小さく小さくこう呟くの、で、す。


「いったいあれのいったい何が、落ちていった?」
「僕は何にも見てないから聞いてないから。」



「そうして何にも……知らないんだぜ」


さくま