ニューヨーク俳優修行日記
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2001年12月28日(金)




ほぼ日でガンジーさんのコーナーを読んだ。
娘さんからの最後のメールが掲載されていて
読みながらぐっと来てしまった。
死はいつも僕らの周りにある。
そして、最近は年々それがはっきりと感じられる。
自分自身というよりは両親のことを考えるとちょっとぞっとする。
でも、それは確実に近づいている。
うーん、と考え込んでしまいますな。

稽古もないので平和な一日。
昨夜はスピーチの練習。
今回の舞台は珍しく、台詞が結構ある。
当然ながら英語で、しかも1940年代の独特のしゃべり。

日本語を喋る時には自然に出来ることが、英語になると
まったく解らなくなる。どこにアクセントを置くのか、とか
イントネーションとかを何度も繰り返しながらしっくり来る場所を探す。
ただ、自分にはしっくり来るようでも、ネイティブが聞くとおかしい事が
多いので、年明けには特訓が控えているだろう。

日本語の訛りはアメリカ人には聞き取りにくい。
そして、日本語英語の発音は大体の場合、本来のものとは違っている。
何度恥ずかしい思いをしたことか。
日本語英語では料理人のことをコックというが、
これは正確にはクックである。
一度、知り合いと話していてコックといってしまい、その場で
それはクックであると修正された。
コックとはつまり、あれの事である。男性自身ですね。
なかなかかわいい子だったのに映画館で大声で話していたので
すごく恥ずかしかった。

ismの処女に関する対談を読む。
大変そうだ。
自分も遅かったので、当時を思い出してしまった。
でも、別に処女だからって特に気にすることもないと思う。
僕は全然気にしない。(だからなんだって気もするけど。)

寒い中を一時間ぐらいかけて徒歩で出社。
平和な一日。










2001年12月27日(木)




指輪物語を劇団のメンバーと観に行く。
映画は予習をして行ったお陰かとても楽しめた。
3部作の第一作目である。
スターウォーズよりも断然良い。
もともとは小説だったので、本を読んだ人はどう感じるか解らないけど
僕は割と簡単にその世界へ入って行けた。
ロールプレイングゲームの原型のようなお話。
男の子の成長物語。
数々の困難を乗り越え成長していく主人公。
孤独に向き合う力。
信じる力。
仲間。自己犠牲。

自分自身が随分長い間、いろいろなことをぐだぐだ考えているので
とても共感しやすい。
真実の道は厳しいのです。
WHO SAID IT'S EASY?

一緒に行った女性陣にはいまいちだったよう。
これは男の子の話なのだろうか?

劇団員と稽古場の外で会うのは珍しい。
通常、アメリカ人の俳優は日本の劇団のように稽古の後で
いつも一緒に飯を食うようなことはあんまりない。
まあ、劇団という形態で活動しないからということもあるけど。
それでもたまには一緒に遊ぶこともあると思う。

しかし、うちの劇団ではそれがほとんどない。
最初はみんな仲が悪いのかとも思ったけど、そんなこともなく
ただ単に外ではあまり会わない。
だから、あまりメンバーの私生活も知らない。
お陰で私生活の問題を稽古場に持ち込むことなく
長期間にわたって団体を維持できるわけだ。
でも、時々ちょっと寂しいけど。
人間関係がこじれて辞めたくなるよりはましである。

孤独について考える。
何かを本当に突き詰めようと思えば、避けては通れない道。
皆と仲良くやっていたんでは駄目なのかねえ。
1人で井戸におりて戦うほかはないようです。

宮沢章夫の日記をずっと読んでいる。
この人はかなり過激でお勧めです。










2001年12月26日(水)




クリスマスは友人と焼肉としゃぶしゃぶ。
楽しい夕食だった。

しかし、全然ロマティックではない。
まあ、付き合いが長くなってくるとこんなものでしょうか?
この2日間は僕はひたすら映画を観ていた。
ビデオを3本に映画館へ一度。
今日はこれから指輪物語を観に行く。

最近は映画を観ても、すごいと思う作品はあんまりない。
僕にとってのいい作品の条件は何か?
もちろん、良い台本、良い俳優、良い監督は必要条件。
テクニカルな部分のサポートもあったほうがいいに決まっている。
でも、僕にとって一番大事なのは作品に嘘がないこと。
別にいわゆるリアルじゃなくてもいいけど、作り手が作品に忠実で
観る側に媚びるような嘘をつかないこと。

まあ、これは自分が舞台に上がるときも同じ。
出来る限り嘘はつかないでいたい。
そうやって考えると、これは人生一般に言えるのかな。
でも、嘘をつかない人生はいばらの道だろうな。

こんなことをぼんやり考えながら、休日を過ごしていたら、
10日間もある稽古休憩期間も既に半分ぐらいがなくなり
だんだんと焦ってきた。










2001年12月24日(月)




メリークリスマス。

今日はいよいよクリスマスイブ。
NYでクリスマスというと有名なのはロックフェラーセンターの
巨大クリスマスツリー。毎年、有名人のコンサートなどで
盛り上がっている。紀伊国屋書店のすぐ前にある。

僕にとっては、この時期になると路上に登場するクリスマスツリー売り場。
12月になると小さな公園や歩道の角に簡単な売り場が登場する。
いつも使う地下鉄の駅のすぐ前にも売り場があるので
路上に出るたびにツリーの匂いが漂ってくる。
これはなかなか気持ち良いです。
でも、この人たちは普段は何をしているのだろうか?

そして、プレゼント。
今年は相方はTVを買ったのでどうやらそれがプレゼントらしい。
僕はフランク・ロイド・ライトのデザインが載った名刺入れと
ボールペンをプレゼント。全然ロマンティックじゃない。

きっと、今頃、日本ではたくさんのカップルが
いろんなドラマを繰り広げていることでしょう。
アメリカではデートがなくて困るのはニューイヤーズイブ。
この日は大抵年越しパーティーで、カウントダウンでキスをする。

僕はといえばなんと間抜けなことに今日も会社。
半日だけだけど、会社に来ることを先週はすっかり忘れてた。
真面目に働けよ、おい。

土曜日にアメリカに来たばかりの頃にいた大学で
かわいいなと思っていた女の子とばったりと出会った。
彼女とは2年前にも偶然会った。
取り留めのない話をして、今度芝居を見に行くといって
彼女は去っていった。

僕はよく路上で知り合いに会う。
歩きながらきょろきょろしているせいもあるけれど、
それにしてもよく会う。
3年程前には日本の大学でお世話になって先生に
ブロードウェイの芝居を観に行ってばったり会ったし、
中学の同級生と正月にこちらのスーパーであったこともある。

ちょっとした才能ではないかとひそかに思っている。

メリークリスマス。






2001年12月21日(金)




昨日で年内の稽古はとりあえず終了。
今までやった部分をざっと流したけど、
それなりの形になってきている。
でも、個人的には宿題が山積み。

なんせ、英語でしかもノワールの型にはまったスピーチをするから
台詞が全然聞き取れないらしい。
スピーチレッスンを取る金もないので休みの間に特訓するべし。

今回は主演とは言わないけど、かなりいい役である。
実際、役を貰った時にはちょっとびっくり。
なんせ、フィルムノワールの探偵役だ。
ほとんどのシーンに出ているし、踊りもあったりする。
まあ、その割には台詞は少ないけど、無駄なことを言わない男
ということでよしとする。
それでも以前に比べると随分多い。
クリスマスまではちょっとのんびりしてそのあとは特訓するべし。

今日、件の演出家から台本をもらう。
とてもキュートな話。
ただし、ほぼ2人芝居なので1月に出来るかどうかは?だ。
誰か体を貸してくれ。
彼女は劇作家でもある。
というよりは劇作家が自分の作品も演出している。
独特な作風で、行間にとても味がある話を書く。
でも、やっぱり今回はパスかね?

さて、今日からクリスマス休暇。
大抵の人は月曜日も休みで連休となる。
こちらのクリスマスは日本よりはもっと家族的。
どちらかといえばお正月に似ている。

メリークリスマス。





2001年12月19日(水)




風邪だ。
おかげで昨日はダンスを観れずに自宅療養。
昨夜からしょうが汁と蜂蜜の入った紅茶を飲んでいる。
風邪に効きます。
これは台湾風のカフェに行くとメニューによくある。
店で飲むほどおいしくないが自家製もなかなかいける。
しょうがのスライスを煎じて、牛乳を足して紅茶と蜂蜜を入れる。
割と簡単に出来て、飲むと体がほかほかしてくる。

ところで台湾式のカフェはとても楽しいです。
いろんな種類の紅茶やシェイクがある。
そして、軽食もなかなか美味。
香港ではそこら中にあったし、NYにもチャイナタウンに幾つかと
イーストビレッジにもある。
きっと、日本でも新宿当たりにありそうな気がする。
誰か知っていたら教えてください。

風邪を理由に部屋でテレビを見たり、本を読んだりする。
ダシール・ハメットの作品集。
この人はマルタの鷹を書いた作家で
とってもハードボイルド。探偵物が好きな人にはお勧め。

昨日は久しぶりにマネージャーに電話。
あまりにオーディションがないのでどうなっているのか聞いたところ
僕が日本に帰っていると思っていたとの事。
もっと早く連絡すりゃ良かった。

しかし、人に物を頼むって言うのは嫌だね。
何だか自分の存在が彼ら無しにはあり得ないような気がしてきて
気が滅入る。実際、マネージャー抜きでは仕事はほとんど取れないから
自分で自分が卑屈になっているのがわかる。
手に職をつけたいよ。

とグチグチ考えていたら、知り合いから芝居に出ないかとのお誘い。
捨てる神あれば、拾う神あり。(ちょっと違う気もするけど)
スケジュールを確認してぜひやりたい。









2001年12月18日(火)




稽古をしていると嫌な事もあるなんてここに書いたら、
その日にいきなりドラマがやってきた。
女優の1人と演出が軽く衝突。
以前から幾つか伏線があったようで彼女はかなり感情的だった。
こういうのに直面すると集団で創作するのは本当に面倒だ、と思う。
PC一台ととやる気があればかなり色々な事が出来る世の中で、
どうして10人もの人間が一つ場所に集まって同じ物を創るのか?
何故、劇団なのか?

僕は演劇というメディアのライブ感覚、その一回性に
やはり惹かれていると思う。 一時間なり、2時間なりの時間を観客と
共有しながら、経験していくこと。全てを知っていながらもなおかつ
何かが起きるかもという期待。
まあ、色々あるけれど、自分としても未だにどうして演劇なのか
よく分からないのが正直なところかも。

稽古疲れか少々風邪気味。
眉間の一点から自分の顔が内側に吸い込まれていくかのような
奇妙な感覚。 気を付けないととんでもなく無愛想な顔になっている。
大声を出したり、体を動かしたりするけど、どんどん吸い込まれていく。
何だか目が鉛になったみたいだ。

今日はBAMにウイリアム・フォーサイスを観に行く予定だけど、
どうやら風邪でキャンセルかな。


2001年12月17日(月)




土日と稽古でへばる。

土曜日はNYに遊びに来た友人と夕食。
フィラデルフィアからトランペットのレッスンを受けに来た彼氏と
一緒に来たその女性とは、ほぼ一年ぶりぐらいに会った。

彼女とは2年間クラスメートだった。
一時すごく惹かれていた時期もあったけど、結局友達のままで今に至る。
彼氏とも一年間クラスメートだった。
2人とも友人ではあるけれど、僕は彼女との方が断然仲がいい。
うまく言えないけどこれは何だか変な感じ。
でも、その夜は楽しくピザなどを食べた。
稽古のあとだったせいか、結構ハイだった。

稽古ではだんだんと作品の形が見えてきた。
創っては捨て、創っては捨ての作業が繰り返される。
役者は稽古場でやれることをやるわけだけど、
演出家の苦労は大変だろう。稽古の後、ビデオを見て振り付けを決め、
さらに台本を書き足していく。一応、最後まで台本があるものの
中には2,3行のト書きしかない部分もあるからまだまだこれから。
5月から少しずつ積み上げてきたものが形になりつつあるのは
気分がいい。

色々嫌な事気になる事もあるけど、こうして何もない状態から
少しずつ形が出来てくるのを見てしまうとやめられないのかな。
もっともっと改良の余地あり。
劇団内の人間関係が良好である続けることを祈る。
これがないとうまく行かない。

フレンチ・コネクションを観る。
ジーン・ハックマンしぶ過ぎ。
彼は現在、3本の主演作品が公開されていて
NY TIMESで特集が組まれていた。
現在71歳。びっくりだ。
とても面白い記事だったので、思わずDVDを借りてしまった。
初めてDVDをレンタルしたけど、いいね。
いろいろと現場のドキュメンタリーがあってお得。
映画好きの僕にとってはウキウキする。

今日もこれから稽古。

















2001年12月15日(土)




友人からの連絡。
演劇学校の同級生がデンマークからあそびにきた。

友人の俳優からテレビの初仕事獲得の連絡。

友人からの連絡いつでも嬉しい。

2001年12月14日(金)




ついに現物のグリーンカードが届いた。
米国永住権。
書類上は10月に香港に行った時点で許可は下りていたけれど、
カードの現物は昨日まで持っていなかった。
これでアメリカのどこでも働けるし、出入国も随分と簡単になる。
ただし、一年の半分はアメリカに居なければカードは無効になる。
それでも、あらかじめ書類を提出すれば、長期の海外滞在も可能。
ここまでが長かった。
とはいえ、実際の手続きをしたのは僕の相方であり、
僕はたまたま彼女のと結婚していたからカードをもらえたわけだ。
2年間の間、彼女は対応の悪い弁護士と気長に手続きを進めてきた。
感謝、感謝。
これからが本当の意味での正念場だ。
何をするのか。

そんなわけで昨日はお祝いで外食。
ステーキ。
はっきり言ってアメリカのステーキはおいしくない。
いや、たぶん美味しい所もあるのかもしれないけど、
少なくとも僕が行ったレストランではあまりおいしかったことはない。
うまいけどべらぼうに高くて肉が小さいことはあった。

今回はイーストビレッジにある日本食レストランで夕食。
僕はリブアイ、彼女はフィレステーキ。
おいしかった。久しぶりにおいしいステーキ。
22ドルはとってもお手頃だと思う。
前菜2つと日本酒、デザートで総額115ドル。
僕らにとってはかなり高い食事だったけど、
その価値はあったかな。
日本じゃ狂牛病騒ぎでそれどころじゃないかもね。

そう言えば吉野屋がマンハッタンにオープンするらしい。
うれしい限りです。あとはマージャンして夜を明かせば、完璧。
香港の早打ちマージャンは疲れそうだよな。

そんなこんなで今日は金曜日。
まったく。
見学に行っている演劇学校は今日から冬休みだ。
随分長い休みでうらやましい。
劇団の稽古は来週から休み。
年明けは3日から稽古だ。
めげずに頑張るぞと。

宮台真治のポップカルチャーをトイレで読み始める。
とても短い対談集で結構面白い。




















2001年12月12日(水)




久しぶりにのんびりとした夜。
BOOKOFFに行って本をまとめ買い。
8冊買ってしめて9ドル60セント。安い。
文学部唯野教授が一ドルだったので思わず買う。
永倉万治の東京恋愛事情、藤沢周平、あとはノンフィクション。
東京恋愛事情は昨日から読み出して今朝読了。
いとうせいこうがあとがきを書いていて結構面白い。
そう言えばいとうせいこうの全文掲載も一ドルだった。

店で流れていた音楽が気に入ったので店員に聞くと
Brilliant Greenというバンドだった。
何ともスカスカな音と女性ヴォーカルがいい。
今度CDを買ってみよう。

夕食を食べながら、途中から見始めたフレッド・アステアの映画が面白く
結局最後まで見てしまった。この人は天才だ。
彼が踊るのを見ているだけで楽しくなれる。
ジーン・ケリーもいいけど、やっぱり彼の方が洒落ている。
最近ご無沙汰していたタップのクラスに行きたくなる。

5年程前からタップのレッスンをとるようになった。
これがなかなか楽しくて毎週2回ぐらい行っていた時期もあった。
でも、全然行かないときもあるから万年ビギナーだ。
Broadway Dance Center,Stepsあたりが有名なダンススクール。
どちらも留学生を受け入れるから結構日本人が多い。
一回のレッスンは11-13ドル程度。
10回分まとめて買うと一回おまけがつくシステムは大体どこでも
同じのようだ。

最近は時間が合わないのでDance Spaceでモダンをとっている。
身体訓練の一部だと思っているけど続けていると楽しくなってくる。
今ではどうして両親は僕が幼い頃にバレエを習わせなかったのか
とぼやいている。ピアノやバレエを子供の頃に習っていれば...。
今頃、すごく嫌いになっていたと思うけど。
ガキの頃、ピアノを習っている友人を見て、けっと思った事を思い出す。
ピアノは今では習いたいことリストの上位にある。

今朝は早起きしてユニオンスクエアの市場で買い物をする。
貝柱とかぼちゃを買う。しめて11ドル60セント。
夕食は貝柱のバター炒めときゅうりとトマトのサラダに決定。












2001年12月11日(火)




昨日も夜は稽古。
それにしてもこの劇団の稽古時間は長い。
現時点で一週間に20時間(週4日)。
本番が近くなると週5日だ。
ギャラは稽古中はなく、本番3週間はは全部で600ドルぐらい。
オリジナルの作品を作るから時間がかかるのは仕方がないけど
体がなれるまではちょっとつらい。

はっきり言って公演が終わる3月の生活は稽古中心。
たまに遊びに行っても、次の日が稽古だったりすると落ち着かない。
まあ、好きでやってるから文句も言えないが何とか俳優業で
食べれるようにならないと長続きしないよな。
劇団員の中には9時5時で働いている人もいる。
ものすごいエネルギーだ。中には別の公演を掛け持ってる人も居る。

このハードなスケジュールに文句を言いながらも続けているのは
皆がこの劇団が何処かに行きそうな気がするからだろう。
この2,3年が節目になりそう。

ぼやきはここまで。
このところフェイ・ウォンにはまっている。
彼女の声は聞いているととても落ち着く。
もちろん歌詞は全然わからないわけだけどそれでもとてもいい。
香港ポップにはまるとは不思議な感じ。
あと、最近はスガシカオも好きだ。
どうも以前と比べてポップなものが好きになってきたよう。

そう言えば、読書も10月はさくらももこのエッセイを読みまくっていた。
読みやすいもの聴きやすいものへと嗜好が変わっているのか?
まるで年をとっているようだ。
最近は本屋にも行ってないので、村上春樹の古いエッセイを読んでいる。
今年はBOOK OFFのおかげで随分日本語の本を読んでいる。
一冊一ドルだから面白そうなものはかたっぱから買ってしまう。
感謝、感謝である。

ニューヨークでは大抵の日本のものが金さえあれば手に入る。
日本食、本、CD、日本人もいっぱい居るし。
この2,3年は風俗の宣伝もものすごい。
ランパブからピアノバーまで何でもある。
こちらの駐在員がよく行くらしい。
最も9月11日以降はどこも売り上げが落ちているらしい。
いずれにせよ貧乏人には縁がない。











2001年12月10日(月)




土日は稽古。
稽古をしていると極稀に何かを解ったような気がする事がある。
自分の中にある想いと台本がうまく重なったり
音楽と波長が合ったりする瞬間。
こういう瞬間は自分が凄く自由になった気がする。
恐いものなし、どんっと来いと。
でも、それはいつもほんの一瞬で、大抵の場合は次の台詞を忘れたり
間違えたりしてがーっと現実に引き戻される。
俳優になるのなんてやめようかと思うとこういう時間が訪れる。
おかげでここまで来てしまった。
ふっと、そんなことを考えた週末。
とりあえずは技術の向上を目指す。
できるだけ長くその状態が続くように。

金曜日に、急に歌が唄いたくなり昔のレッスンテープを出してきて
歌のレッスン。学校にいる時は好きでもなかったレッスンだけど
今はなぜか声を出すのが楽しい。
カラオケ好きの気持ちがわかる。
声を出すことで体の中の堆積物が少しずつ排出されていく。
何だか瞑想をしているみたい。

この感覚は真面目に体を鍛えている時の感じにも似てる。
ひたすら公園を歩いているときや柔軟や筋トレをしている時
不思議なぐらい気持ちが落ち着く。
一つの事に集中することで気持ちがフリーになるみたいだ。
あまりじっとして物を考えられない性分のよう。

感謝祭からクリスマス前は一年で一番のショッピングシーズンなので
TVを見ても、地下鉄に乗っても買い物客やバーゲンの話題ばかり。
僕もそろそろプレゼントを何にするか考えないといけない。
これはなかなか頭の痛い問題だ。
こういう瞬間につくづく自分はクリエイティブじゃないなあと思う。
何か良いプレゼントはないかね。










2001年12月07日(金)




昨日はこの日記を書いて芝居を観に行く間にマッサージへ行った。
色気のあるのじゃなくて本当のマッサージ。
30分21ドル。それプラス3ドルのチップ。
これは高いのか安いのか?まあ、お手頃だと思う。
以前は全然縁のなかったマッサージだけど
この2年ぐらいはちょくちょく行く。
10月に香港に行った時も3回ぐらいフットマッサージへ行った。

僕の場合、マッサージも好きだけどその間のうたた寝が大好きである。
昨日もどうにも眠くて思わず足が向いちまった。金も無いのに。
おかげで芝居の間に寝ることは無かった。

さて、昨夜のお芝居。
ブルックリン大学の演劇科を卒業した日本人と
彼のアメリカ人の同級生が始めた劇団のSampler Showcase。
まあ、お試しコースのようなもので15-20分程度の短編を
4本程度上演する企画。

日本人の彼は自作自演。もちろん英語で。すごいです。
継続は力です。ただ作品自体はまだよく練れていないのと
必要以上に長いので見ていて疲れたけど。
でも、来年一緒に芝居をするのが楽しみ。
僕自身は自分で台本を書いたことはない。
でも、何とか僕の大好きな短編小説を舞台にしてみたいとは思う。

今日は朝からクラスの見学。
学校が始まって2ヶ月ほど経ち
僕が見学しているクラスの生徒たちもだいぶ落ち着いた感じ。
ムーブメントのクラスなんで台詞は無いけど
様々なエクソサイズを見ていても楽しめるようになる。
つまり、一年生の生徒たちも授業の間、考えすぎることなく
その一瞬一瞬を楽しめるようになってきたのかな。
今日は僕自身も2年生のクラスに参加する。
妙なプレッシャーも無く楽しいけど疲れた。
実際に自分でもクラスを教えてみたいなあと思えるようになった。

それと今日はこのコーナーを読んだ人からメールが届く。
しかも、オーストラリアの人から。
世界は確実につながっている。
えらいぞ、インターネット。
うれしい。
いや、別に催促してるわけじゃないけど。
でも、なんかうれしい。











2001年12月06日(木)




めげずにバイトを探している。
良さそうなレストランがあったので電話をして面接を決める。
夜は雰囲気を見にそのレストランへ行き、そのまま食事。
味はまあまあ。でもとても混んでいたのでいいお金になりそう。
どうなることか。

食事の後、日本からの知り合いと飲みに行く。
めったに飲まないのに、土曜日から既に2度目の飲み会。
楽しいけど、金が無い。
メンバーは男6人に女が1人。
こうなるとセクハラ発言が大噴出。
お姉様は慣れているから様子結構楽しんでいる。
下らない駄洒落と下ネタで盛り上がる。
それと先輩の役者の人の話を聞いて頑張ろうと奮発。

この人はかの有名なアクターズ・スタジオのメンバーである。
あと日本の演劇学校のはなしなども少し。
いつかちゃんとした学校を作ってみたいものだ。
2軒目のバーのあと帰宅。

日本の国立大学には演劇科が無いけれど
こちらの州立大学のほとんどに演劇科がある。
だから、アメリカがえらくて日本が悪いというわけじゃないけど
学ぶところも多いはず。

年末にかけて飲み会ムードが漂ってきた。
飲み会はやっぱり6人ぐらいまでが一番楽しいような気がする。
まあ、大勢の宴会も楽しいけど、少人数でじっくり飲む方が
僕には向いている。一対一は結構疲れる。

今朝は朝から稽古。
自分的にはよく出来た稽古。
結構自分の外へ外へと出て行けたと思う。
しかし、まだ第2週目。これからがまだ長い。
徐々に役を作っていければいいけど。

それにしても大体を維持するのは難しい。
あることが言いたくてこう言えば、その人はああ取るし
あいつは好きだけど、こいつは嫌いだし。
でもこいつもやっぱり良い所あるし。
難しい。

夜は再び観劇。今回は知り合いの劇団。
面白いことを祈っている。
そうじゃないと終わった後に顔を合わせにくいから。








2001年12月05日(水)




BAMでCharles Meeの"BIG LOVE"を観る。
最近は涙腺が弱いのか、この作品もとてもよかった。
内容自体というよりは役者の存在感に感動したというべきか。
寓話的な感じと、現実の暴力的な力がうまいくミックスしていたと思う。

この劇作家はBECKや小山田さながら色々なテキストから
引用して作品を作るらしい。
今までの作品はギリシャ古典を基にしたものが多いらしく
今回の作品ももともとはギリシャ。
この全くオリジナルでないものから出てくる強烈な個性。いいなあ。
DJ劇作家。
自分の作品もWEB上で公開しているとの事。
できれば、奥さんを連れてもう一度行きたいぐらい。

この人は"First Love”、”True Love”という作品も書いている。
この3作全部が今年はニューヨークで上演されている。

今朝は免許取得の為に筆記テストを受ける。
ほんの20分ほどで終わり、仮免許をもらう。
日本のことを考えると信じられないぐらい簡単だ。
この後、自動車学校で5時間の講習を受け
路上に通れば免許を獲得できる。
こんなに簡単でいいのかね。
結構長いことアメリカに居るけど今まで免許を取らなかったのは
NYでは全く必要がないから。
でも、ドライブに行きたいから免許をとれ
未だに免許も持ってないなんて信じられないと
妻に言われ取得を決心した。って、決心するほどでもないけど。

昨日からスタニフスラスキーの"Create a character"を読んでいる。
実は今まで一度も読んだことがないので
これを機に3部作を全部読破する予定。
ちょうど、自分的にも役者として方向性がはっきりしないので
読みながらいろいろ考える。









2001年12月04日(火)




時間ばかりが過ぎてゆく。
20代の頃よりも時の流れが確実に速くなっている。
不公平だよな。
昨日も稽古が終わって家に帰れば既に11時。
軽く飯食って、TVをぼーっと30分ぐらい観る。

アメリカのTV番組にはSITCOM, シチュエーションコメディーという
ジャンルがある。日本でもフレンズなんかでお馴染みか。
大体は30分ぐらいで内容はまあ色々。
フレンズのような友人もの。夫婦もの。会社ものなど。
何も考えたくないときにボーっと観ることがある。

最近はDrew Carrie(綴り?)をちょくちょく観る。
これはオフィスで働くDrewを中心として幼馴染や同僚との
日常が描かれている。毎回、些細なことをめぐり事件が起こる。
以前はこの手のものは一切見なかったけど、なぜか最近は見る。
知らないうちにアメリカ化されているのか、ジョークも結構笑える。
恐るべしテレビである。

雅子様ご出産のニュースで大騒ぎの日本だけど
ニューヨークでは一回TVで見ただけ。
こちらでは相変わらず、アフガン。
昨日はなんとアメリカ人男性がタリバンにいたというお話。
この人がどう裁かれるのか興味津々である。
イスラエルも何だかとんでもない事になっているし
年末に向けてどうなっていくのか。

今朝は久しぶりにセントラルパークへ。
現在、記録的な暖冬のため、気持ちのいい朝。
しかし、みんなよく走る。
週末なんかだととんでもない数の人が走ってる。

一般的にアメリカ人は健康キチガイである。
しかし、太っている人はとんでもなく肥満だし
街行く人の半分ぐらいはぽっちゃり目。
それゆえの執着か。
まあ、食事の度にコーラ飲んでりゃ太るよな。
もう少しまともなもの食えよといいたくなる。
おかげでこちらではまずい牛乳しか買えない。
4.5%北海道牛乳なんてこちらでは売れない。
人々は脂肪率にとっても敏感なのだ。スキムとか2%とかが多い。
あー、うまい牛乳が飲みたい。
そういえば、僕が小さい頃、実家では酪農をやっていたらしく
うちの両親は牛乳にはちょっとうるさい。

夜は再び、ブルックリンで観劇予定。

街はすっかりクリスマスだ。









2001年12月03日(月)




土曜の稽古は一日ダンスだった。
おかげでくたくた。
にもかかわらず、知り合いの家で次の芝居のための
顔合わせの夕食。
会場は演出家の彼女のアパートで演出家の彼が腕を振るった料理。
彼女はメジャーな会社でバリバリ働くキャリアウーマン。
大の日本好きで東京で働いたこともある。
アパートもアッパーウエストにある1BRで購入済。
新しいキッチンを買うこと、部屋の内装、家具の購入
なんだか自分とは違う世界でびっくりする。
顔合わせのはずが3人の役者のうち1人が来れず
まあ、だらだらとした飲み会となる。
共演するもう一人の男性は渡辺いっけいに似ている。

演出家の彼はこの7月に10年勤めた会社を辞め
それと同じぐらいの間付き合っていた彼女とも別れ
創作活動に専念したいと宣言した。
その割にはのんびりしているから
本当に大丈夫か少々不安ではある。

結局、5時から始まって1時まで居た。
日本語と英語で会話だったけれど
やっぱり日本語だと下らない冗談が多くて楽しい。
こういう気楽な集まりだと人としゃべることで
自分の体が軽くなっていくのが感じられる。
8時間も何を話していたのやら。

アメリカ人には結構な数の日本好きが居る。
この彼女もその1人。彼女はカナダ人だけど。
ただ、年配の人は三島か谷崎、もしくは黒澤、小津好き。
若い世代も上記同様、もしくはアニメ。
なかなか、現代の日本に詳しい人には会わない。
多くのアメリカ人にとって日本はまだまだ遠い極東の国みたいだ。
でも最近は村上春樹が結構売れていて読んでる人も随分知っている。
映画も最近の黒沢清、是枝、三池監督などの作品が紹介されている。
これは人事だけど、嬉しい。
全然関係ないけど、アジ専といわれる人もいる。
この人たちはアジア人とばかりデートをする。
知り合いにも前の奥さんが日本人で今の彼女も日本人という人が居る。
何がそんなにいいのかね。もちろん、僕も好きだけど。

日曜日は一日うちで過ごす。
ファイトクラブを見る。
2度目だけど、面白かった。
スカッとする映画だけど、じゃあ、実行に移そうとすると
これはなかなか難しい。でも、諦めずにやるしかないのだろうな。
継続は力なり。

さて、今日は夜は稽古で昼間は仕事。

あなたが本当にやりたい事は何ですか?
What do you really want to do?

I mean, really.

継続は力かな。

















      

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