ニューヨーク俳優修行日記
目次未来

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2001年11月30日(金)




劇団演出家の勤める某演劇学校でムーブメントのクラスを見学。
これでほぼ一ヶ月見学している。
いろいろな人が様々な理由で俳優になりたがる。
クラスの中にはそんなに自分に閉じこもっていて
芝居なんて出来るのかねと言った感じの奴もいる。
不思議なのは全員が同じ事をする瞬間には
個性がより浮かび上がってくること。
そんなに突っ張らなくても滲み出てくることはあるわけだ。
演技の先生いわく、教師は何も教える必要はなく
ただ生徒が自分の持っているものに気付く手助けをするだけである
とのこと。まあ、今まで作ってきた壁を取って裸になるという
面倒なことをするわけだ。

今朝は派遣会社の面接にも行った。
3人のリクルーターが入れ替わりで部屋にやって来て
似たような質問をし、最後にアメリカ人が来て英語で面接。
これが3社目の面接だったので、以前よりリラックス。
でも、基本的に人見知りするからやっぱり疲れる。
俳優のくせに人前に出るのは苦手。困ったものだ。
しかし、自分の事を俳優なんて書くと照れちゃうね。
まあ、どうでもいいんだけど。

お昼は友人と4人で食事。
久々にうちの奥さん以外の人と食事。
やっぱりたまにはこうしないと駄目だ。
しかし、香港人3人組だったので疲れる。
日本語を習いたいという香港人の女の子と顔合わせ。
交換に広東語を教えてもらう予定。
かわいい子である。
まあ、この程度の特典がないと語学勉強にも身が入らない。
週一で会うことに合意。

金曜日なのに遊びに行く金もなし。
何とかせねば。

今週は結局一度もオーディションなし。









2001年11月29日(木)




朝からどんよりとしている。
でも、とても暖かいので気持ちのいい天気だ。
これがずっと続くといいのに。

今日は午前中から午後にかけて稽古。
まだ、第二回目だから、台本を片手に動き回る。
未だに思いついた事をすぐに実行できない自分がもどかしい。
評価は人に任せて、やれることをとことんやる。
これが出来ないと、稽古も楽しくない。
失敗は成功のもと。
もっと自信を持つべし。

最初のアメリカ兵が死んだらしい。
地下鉄で隣の人の新聞にデカデカと載っていた。
何をいまさらといった感じもするけど、当人の両親にしてみれば
大変なことだろう。ただ、同じ事はアフガンでも起きている。
僕らに何ができるのか。
できることを精一杯やる。
できるだけ幸せになる。
9月11日のような事件を目の当たりすると
いろいろなことが薄っぺらに見える気がする。
でも、その薄っぺらの重ね着が僕らの生活なんだけど。

又三良はデートらしい。
まめだよな。








2001年11月28日(水)




昨夜のポー。
ロバート・ウィルソンを観るのはこれで4回目。
凄いとは思うけど、そんなに彼の事を好きなわけでもない。
これも一つの教育だと思って観に行く部分もある。

今回の作品は英語とドイツ語で英語の字幕付。
しかも、台詞はポーの詩が混じっていたりして
途中で読むのを断念する。
とにかくビジュアルがとても綺麗で豪華。
僕はとにかく役者さんの手の美しさに感心。
手にも色々な表情がある。

内容を理解したとは言えないが
3時間、飽きずに観ていた。
よく芸術作品について解る、解らないという人がいるけど
面白ければそれでいいと僕は思う。
作品を見て、何か感じるところがあればOK。

それでも、舞台で物語が持つ力は大きい。
その点、ウィルソンやバウシュは凄いと思う。
一見ばらばらなシーン達でも彼ら自身というフィルターを通して
世界が成立している。まるで誰かの頭の中を覗いているみたいだ。
そして、それを芸術として認めさせる所まで上っていった実力も凄い。

今まで暇だったのに、なぜか2つの舞台の企画が持ち上がり
時間的にやれるかどうか微妙なところ。
器用なほうではないので、2つ以上の事を同時に出来ない。
が、稽古が始まったおかげで元気だ。
やったるでーエナジーが体にあふれてる。いいことだ。

企画の一つは日本人の俳優を集めて北村想の"寿歌:ホギウタ"。
NYにいる日本人。
何故、今NYでホギウタなのか?

もうひとつは村上春樹の短編を舞台にする企画。
村上企画の方は僕自身がこの2年ぐらいずっと考えていたものだけど
一緒にやろうという人が出現して、これからどうなることか。

ほぼ日刊いとい新聞で清水ミチコの日記を読む。
このサイトに結構はまっている。

休み明けのせいか全くオーディションなし。
なんだか自分だけが取り残されたような気分。
きっと、僕の知らないところでは皆いろんな仕事をして
いっぱいお金をもらっているに違いない。
被害者妄想。

2001年11月27日(火)




昨夜、稽古。
ついに台本をもらう。
ここまでがウチの劇団は長い。
今年の5月から週一回の稽古で即興を繰り返し
演出家が少しずつアイデアをまとめて来た。
過去2作は公演の一ヶ月ぐらい前までエンディングが未定だったが
今回はなんと最後まで台本がある。
もちろん、さらなる変更があるので安心は出来ない。

日本では、劇団主催者が劇作家兼演出であることが多いけど
こちらでは大抵の場合、演出家とは別に劇作家がいる。
だから、台本も稽古開始の段階では既にあるし
戯曲創作はそれ自体としてジャンルとして存在している。
とてもシステマティックである。 大学院まである。

こちらでは日本のように劇団制ではなく
公演のたびにメンバーを集めることが多い。
俳優たちは"Back Stage"という新聞を読んで、写真と履歴を送る。
新聞にはその週の舞台/映画のオーディション情報が掲載されている。
僕も読んでいる。

もちろん、劇団として活動しているところもある。
映画俳優として有名なウイリアム・デフォーは今でも
Wooster Groupという劇団で定期的に公演している。
この劇団はSohoに劇場を持っているし
ヨーロッパにもよくツアーに行く。
以前はうちの稽古場が近くだったので
何度か彼を見かけたことがある。実物は結構小さい。

有名人といえば、先週のレストレの時
客の中にハーベイ・カイテルがいた。
有名人遭遇はNYに住むことのおまけの一つ。
みんな結構有名人馴れしている。
サイン下さいと叫ぶ自分をクールに抑える。

今日は昼間、会社から派遣会社での仕事を探す。
NYも不景気だ。

夜はロバート・ウィルソンの芝居を観る。
音楽はルー・リード。
確か、二度目のコラボレーションだ。
テーマはポー。
あの江戸川乱歩の元祖。
楽しみ。












2001年11月26日(月)




長い週末が終わり、今は会社。
4日間も休みがあると"休暇だな"と体感できる。
旅行に行けるともっといいけど、僅かにあったお金は
TVとカウチに化けてしまったので自宅療養。

土日ものんびりと過ごす。
知り合いの役者の人と道でばったり会う。
お泊りで遊びに言った子供を迎えに行く途中との事。
わけもなく感心。

高校、大学のころはこれが終われば勉強しなくて済むと
呑気なことを考えていた。しかし、あれはほんの始まりだったのだ、
といまさらながら痛感。このダラケタ生活を改善すべく、ある決心をする。日々之精進ですね。

そういえば、この週末、"帰って来た桃尻娘"を読み始める。
でも、文体についていけず、ちょっと消化不良。
作者は確か橋本功(何か違う気もするけど)。

今日から稽古が始まる。
また、忙しくなりそう。というか、稽古の間は精神的に落ち着かない。
しかも、うちの劇団は3ヶ月も稽古期間があるので
ある程度ペース配分をしないと息切れしてしまう。
でも、あくまで全力投球を誓う。(ほんとかよ)

ふう、一気に日記を書き終える。








2001年11月23日(金)




"Un flic"を観る。
アラン・ドロン主演。渋い映画。
表面に出てこないことでより明らかになる感情。
明らかにハリウッドとは違うフランス映画な感じが良い。

夜はまたまた彼女の同僚と食事。
チャイナタウンにてとんでもない量の中華を食べる。
でも、元上司のおごりだったので、有難く頂く。

元上司たちはリモコンにはまっている。
タミヤがどうの双葉がどうのという話をして、
挙句には今度いつ日本に帰るのかと聞かれる。
さらにその後、一緒にやらないかとのお誘い。
金がかかってしょうがないので丁寧に断る。

今日も広東語漬け。
でも、分かるのは一万分の一ぐらい。
以前にレッスンを取ったけど、
広東語は難しい。

今日も会社は休み。
まだ金曜日なのが信じられない。

レストレは情けないことに断念。
ちと恥ずかしい。





2001年11月22日(木)




感謝祭当日。

別に何をするでもなく、借りてきたビデオを見て日中を過ごす。

Big Sleep(大いなる眠り)
Family plot
Un flic

"Big"はハンフリー・ボガード主演、ハワード・ホークス監督。
とにかくかっこいい。共演のローレン・べコールもきれい。
Film Noirには日本のやくざ映画の義理人情が出てると思う。

午後、セントラルパークに散歩に行く。
落ち葉がたくさんで、まるでリチャード・ギアの映画のようだと
笑ってしまう。

夜は七面鳥ではなく、中華風のなべを奥さんの友人と食べる。
僕以外は全員広東語で会話するから、とても疲れる。
ちょっとふて腐れ気味ながらも、後半、8人から4人と
人数が減ったので割と楽しく過ごす。

何故日本人は杓子定規な教育をされるにもかかわらず
クリエイティブな仕事ができるのか?
などという話をする。
なぜかね。

平和な一日。




2001年11月21日(水)




昨夜は何とか2日目のレストレ終了。
久しぶりに脳みそフリーズ状態を経験。
その場を逃げ出して、泣きたいぐらい頭が機能しなかった。
まあ、色々覚えることが多い。
もともと客商売は得意じゃないけど、
たかだかウェイターをするだけで、自分のこれまでの人生を
振り返ってしまった。

今まで一生懸命にこの不条理な世界で傷つかないように、
深手を負わないように自分なりのシステムを作り上げてきたのに、
そんなものは当然のように役に立たない世界。
如何に自分が役立たずであるかがよく分かる。
こういう風にがつんと殴られると、
じゃあ、俺は一体何ができるのだろうって真剣に考えちゃうね。
たかがウェイター、されどウェイターな夜。
ブルーハーツが聴きたくなる。

さらに追い討ちをかけるように、今朝は歯医者の定期点検。
$280ドル。保険が利かないから、きつい。
次はもっと安いところを探す。

明日は感謝祭(サンクスギビング)。
何となくホリデイ気分である。
実際、多くの人が金曜日を休みを取って、
ちょっとした休暇とする。
しかし、僕は金曜と日曜がレストレ第3,4日にあたるので
面白くもないメニューと格闘する予定。

来週からは新作公演の稽古が始まるから、
少しずつイメージについて考える。
今回は探偵役。タフで格好良く格好悪くなりたいものだ。
稽古前の心地よい不安感と緊張感。

一体どうして芝居をするのか?
昨夜、汚いメニューを拭きつつ、レストランの挨拶のことを考えながら
ふっと思いついた。うまく嘘がつけないから、リアルでいたいから、
芝居をする。思いついた後、うわー臭いと反省。

今日は久しぶりにジムに行ってワークアウト(予定)。
そしてヨガのクラスに行く予定。

オーディションなし。










2001年11月20日(火)




話題のハリーポッターを観る。
この映画は絶対に本を読んでから観た方が楽しめる。
かく云う僕は、去年の夏に空港で暇潰しに買った第一作に
見事にはまり第四作まで一気に読破した。
童話という事になっているけど、大人も十分楽しめる。
ディテールがとても良い。

DVD付のTVを買う。AIWAの20インチ。価格は399ドル。
これは高いのか安いのか?
VCD(ビデオCD)とCDも再生できる。
VCDは香港でとても人気があって、日本の連ドラはすべてこれで見た。
1セット(12全話)が千円ぐらい。中国語の字幕付。
不法コピーもある。以前、途中で台風警報のテロップが流れてた。
義理の父が日本の連ドラの大ファンなので
帰省するたびの大量にもらってくる。
とにかく彼は笑えるぐらいドラマに詳しい。
何がそんなに魅力なのかね?
僕自身は以前はぜんぜん観なかったけど、
この2,3年で結構観た。文句を言いながらも、はまる自分が恥ずかしい。

昨日は5時過ぎにオーディションの連絡があり、
慌てて会場へ行く。いつものように2分で終わる。
待ち時間30分。

さて、今日はこれからレストレ第2日目。
ドリンクメニューとソースのクイズ。
まあ、今週は木曜日がサンクスギビングだから少し暇らしくほっとする。
この日は日本の正月みたいなもので家族が揃って過ごすのが慣習。
こちらに家族のいない僕は適当に過ごす予定。








2001年11月19日(月)




昨夜からウェイタートレーニングが始まる。
4日間のお試し期間の第一日目である。
この4日をパスするとやっと見習いウェイターになれる。
といっても給料としてもらうチップはトップウェイターの4分の1。
アメリカのレストランではほとんどの場合、ウェイターは安い時間給プラス
その日のチップが給料となる。
つまり、レストランが忙しければより多くのお金になるわけだ。
このレストランでは25%から始まって、仕事を覚えるにつれ
40,50,60%と上がっていく。その間、仕事覚えが悪ければ、さよならだ。
はっきり言ってとっても不安。

こんな風にまとめて何かを暗記するなんで久しぶりだ。
しかも、クイズまである。
大体、レストランで働くのも3年ぶりぐらいだし、とにかく疲れた。
でも明日までにまだ色々覚えないといけない現実。世の中甘くない。
ちなみにウェイターやバーテンには俳優がたくさん。
時間に融通が利くし、いい所なら一晩で100ドル以上になるから。
某レストランではトップウェイターは一晩200ドルから300ドルとの事。

土曜日に”The Square”を観る。
ラッシュチケット(開演30分前に販売される格安チケット)だったので40ドルのところを15ドルで観る。アメリカにおけるアジア系移民の経験を16人の劇作家がそれぞれ与えられた年代(1920,40,60、2000)とテーマ(運命、変化など)を基にある公園(Square)を舞台として短編を書き、それを一つにまとめたものだ。

舞台を観てなくことは余りないけど、この作品は役者との距離がとても近く、何度かぐっと来た。僕は移民ではないけど、それなりの期間こちらに住んでいるので共感することも多かった。
やっぱり、小さな劇場はいい。

さらに押井守の”アヴァロン”を観る。
"功殻機動隊"からは全く違う作品で、作家としてとても貪欲だなーと感心。
でも、作品としては前作のほうが好き。
まだ観たことない人はぜひ一度。功殻機動隊(漢字が間違っているかも)

今日もオーディションはなし。でも、ある演出家から、ワークショップ公演をするから、予定を教えてくれとの事。彼女とは以前に1度芝居をしている。
こう云った形で公演に呼んでもらえるととっても嬉しい。
金にはならないけど、何とか時間を空けて出演したい。







2001年11月17日(土)




昨夜は”雨に唄えば”を観た。
もう何回も観ているけど、今回はやはり次回公演のために観る。
いやー、何度観てもいいね。ジーン・ケリーの存在感、スタイル
観ているだけで元気が出てくる。思わず、ジーンと泣いてしまった。
フレッドも良いけど、ジーンもかっこいい。体が切れまくりだ。
スタンレー・ドーネン監督もすごい。幸せな気分で床に就く。

今朝は先月から見学させてもらっているムーブメントのクラスに行く。
毎週2回、それぞれ一年生と2年生のクラスを見学している。
役者のための動きのクラスだから、ダンスとは違う。
生徒たちは自分の体を知る、ニュートラルな場所を探すわけだけど、
参加しないで見ているだけだと結構恥ずかしい。
なんだか危ないセミナーのようである。
自分もこんな事しとったんかい、と思うと顔が熱くなってしまう。
いずれは自分も教えるつもりだけど、こんなことで大丈夫なのか。
まだまだ先は長そうだ。

演劇学校だからといってかわいいもしくはかっこいい人ばかりではない。
年齢も下は18歳ぐらいから上は40歳ぐらいまでまちまち。
中には失礼ながら”どうして”と思ってしまう人もいる。
これは決して見た目ということではない。
別に学校出たからといって全員がプロを目指すわけではないから
仕方ないけど。ある意味では自己啓発セミナーかもしれない。
生徒の1人に凄く内にこもった感じの人がいる。こういう奴が授業を通して弾けると面白いだろうなあ。

電車に乗りながら、松田優作のことを考える。
激しさのある役者になりたい。

今日もオーディションはなし。






2001年11月16日(金)




以前にオーディションに行った劇団の芝居を見る。この劇団はとても評判がよく、マルチメディアな作品を作るということだったので楽しみにしていたけど、いまいちだった。金はかかっているんだけどねえ。図々しくもこれでヨーロッパツアーにいけるなら、俺たちも行けると思ってしまった。

舞台でしか出来ないものって一体何なのだろうか?うーーん。
誰かぶっ飛ぶような舞台を作ってくれー。
ライブでやるメディアはなかなか難しい。役者の調子も変わるし、技術的な事故もあるし。

それでも懲りずに今夜は”The Square"(Public劇場)という舞台を観に行こうか迷っている。この作品は複数の作家にアジア系アメリカ人に関する短編を依頼して、それをまとめて上演する形になっている。僕も一応アジア系アメリカ人なので、お勉強をかねて観たいけど、チケットが高い。観劇代も結構馬鹿にならない額になる。ちなみにこの舞台は$40。ブロードウェイなんて90ドル。

今日もオーディション無し。はっきり言って無い日のほうが多いけど。
暇な派遣の仕事で一日をつぶす。時間の無駄。人生の無駄使い。
それでもお金なしには暮らせない。





2001年11月15日(木)




午前中、病院に行く。一時間も待たされて、医者と話したのは僅かに2分ぐらい。これで100ドルも払うのかと思うと腹が立つ。しかも、これからしばらく週に3回通わなければならないのに、そのたびに235ドルかかるとのこと。もちろん、健康保険でカバーされるけど、それにしてもこの値段はない。構造的に何処か狂っているんじゃないかと疑ってしまう。

ちなみにこちらでは健康保険は高いから入っていないという人も結構いる。

昼間、レストランでウェイターをするために、その説明会に行く。今回で面接は3回目。かなり有名なレストランだけど、気の遠くなるようなトレーニング期間に合格しないと採用されない。どんな結果になるかいまから不安。

夜はビデオでジュリア・ロバーツの”American Sweethearts”とヒッチコックの”Foreign Correspondent”を観る。”Ameri...”のほうは結構下らない中にも分かりやすいハリウッド批判があって笑えた。まあ、作品としては良く出来ているわけではないけど、これは別にそれでよし。ヒッチコックの映画は60年前のものとは思えないほど、面白い。所々にはっとするようなアングルがあって、ただただ関心。

僕は毎月結構な数の映画を観る。いまは映画のチケットが10ドルになったのでビデオが多いけど、田舎に住んでいたときは昼間観ると$3.50だったから、英語の勉強がてら、同じ映画を何回も観た。最近は余り面白い映画がないから、寂しい限りだ。
いまは次の舞台の資料もかねて、Film Noirをたくさん観ている。主に40年代から50年代にかけて作られた映画だけれど、その多くがスタイリッシュでかっこいい。時間のある人はぜひ見てみてください。
お勧めといえば、ここ最近で一番つぼに来たのは”シュレック”と云うアニメ。これ、笑えます。エディー・マーフィがとても良いので吹き替えではなく、字幕版が薦め。

今日はオーディション無し。


2001年11月14日(水)




飛行機事故はどうも事故らしいとのことで、少し安心する。ただ、昨日の稽古で怖い話を聞いた。キャストの一人の母親が実はあのフライトに乗る予定だったという話。たまたま、必要な書類が揃わずに予定を延期したため、当日は空港に行かなかったとのことだった。こう云った”もし...”という話は結構ある。僕自身、9月11日の前後に同じビルにある病院での身体検査を受けていたかもしれなかった。まあ、ちょっとぞっとする。人生は綱渡り。

今日のオーディションは某ビール会社。ただの観光客という設定でせりふもなく写真を撮られる役。2分で終了する。このCMは全国で流れるとのことなので仕事が取れればとってもいいお金になるだろうなー。でも、このタイプの仕事は見た目が全てなので、ほとんど運。オーディション会場ではたくさんの日本人俳優と会った。誰がどの仕事を獲った、とか、どこのエージェントから電話があったとかのありふれた会話。

エージェントというのは日本でいう芸能事務所のようなもの。ただ、こちらの場合は多くの俳優がフリーランスでエージェントと仕事をする。そうすることでいろいろなところから仕事をもらえるから。契約してしまうと、そのエージェントからのオーディションしか行けなくなってしまう。もちろん、エージェントもピンきりで、いいエージェントであれば、専属になったほうが絶対にお得。

運動不足が自分で感じられるようになってきた。そろそろやばいので、今日こそはワークアウトをすると誓う。今年は気合を入れて体を鍛えないとかなりやばいことになりそうだ。

先週、Pina Bauchを観た。なんともいえない良さがある。ダンサーはやっぱりすごい。あんなふうに動きたいものです。何につけても体は資本。



2001年11月13日(火)




ニューヨークでまた飛行機が墜落した。
今のところ、テロかどうかは確認できず、マスコミは事実の確認に追われているようだ。このニュースは知り合いの演出家の教えるクラスを見学する途中で妻からの電話で知った。その少し前に警察が道を閉鎖していたのでまた何かあったのかなと思ったところにその電話があった。アメリカン航空のドミニカ行きだったらしい。テロではないことを切実に願っている。
こんな事件があっても日常生活は間断なく営まれていく。今日の授業ではこのご時世にどのような決意をもって役者になるのかという話題になった。何故、いま演劇なのか?僕らに何が出来るのか?突き詰めて考えると、少しぞっとする。たぶんこれはこれからさっきもずっと考えつづけていくと思う。

今日はこれから、3月にやった芝居を芸術見本市で上演するための稽古。これは全国の劇場主やツアーのエージェントが集まる会議で、僕たちは自分たちの作品の短縮版(15分)を上演して、誰かが雇ってくれるのを待つわけです。まさに見本市。アートのお買い物です。


2001年11月10日(土)




奇妙な縁で始まったこのコーナー。
ニューヨークに住んでいる私、YOSHIがニューヨーク俳優修行という大仰なタイトルで日記を書くことになりました。その日に行ったオーディション、舞台の稽古、NYにすむ日本人俳優の生態など折に触れて書いていこうと思っています。

まずは軽く自分について紹介。
30歳。男。非喫煙者。お酒は少々。在米?年(思えば遠くへ来ました)。
又三良との関係:友達の友達。ある日、友人から連絡があり、NYを案内することに。音楽、映画、Performing Arts好き。

人に向けて書く日記というのも変な感じだけど、出来る限り感じたことを正直に書いていくつもりなので、よろしく。

今日のオーディション。
某クレジットカードのコマーシャル。たった一行のせりふを言うのに、一時間も待たされた。待つのも仕事のうちと自分を慰めつつ帰宅。







      

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