甘い煙
頭出し|巻戻し|早送り
彼氏は、好きとかそういうことを言葉にも文字にもしない人だ。 しない、というか、できない、というか。 好き好き言っても“はいはい”“ありがとう”ばかりなので、いいかげん淋しくなってくる。
はぁ。なんで言葉が欲しいんだろう。 彼の態度で、想ってくれているのはわかってるのに。 遠距離だからじゃない。それは関係ない。 近距離でも、こうだった。 なんなのよもう自分!
荒れてます。
私が思いきったことをできないように、彼も言うことができないのはわかるんだ。 恥ずかしいからって、2年半経ってやっと友達につきあってることを打ち明けることができたくらいだし。 言えるもんならきっと言いたいんだろう。 言えれば私の機嫌も良くなるし、ゴネられることも悲しまれることもないし。
わかるんだよ。 わかるつもり。少なくとも汲み取れてはいるつもり。
でもダメだ。 淋しいものはさみしいし、悲しいものはかなしいんだよ。
言えないものは言えないんだよ、って、彼も私にちくちく言われるたびに思ってるのかな。
女友達よりも、男友達の方が多い方だった。 過去形。
今は、というかこのところ新しくできる友達は、だいたいが女性。 今まで、女友達よりも男友達の方がつきあいやすさを感じることが多かったけれど、最近はだんだんその気持ちの段差がなくなってきた。
たぶん私は、女の子があんまり得意じゃなかったんだと思う。 一緒にトイレに行くとか、何をするにも「〜していい?」って友達に許可を取ってからするとか、そういうところが。 その台詞に込められたおうかがいのたて具合とか、個人的な好き嫌いももちろん関係していたけれど、「しちゃダメ」って言ったらしないの?するでしょ?とかいう、意地悪なことを時々考えたりしていた。 っていって、私も結局その輪の中に居たんだけどさ。 そうやって一部反発をおぼえながらも、人は好きなので。みんないる中でひとりは淋しいし。
でも、女の子じゃなくて、女性と仲良しになることが増えた。年齢のせいでもあり、環境のせいでもある。 これからそれが自然なことになっていくんだろう。 女性は、つきあいやすい。 女の子ばかりの輪にいた頃みたいに、妙にベタベタしたつきあいを求められなくなったし、同じ目線の高さ、もしくはもっと上を見ている人がたくさんいる。 前からつきあいの続いている女友達は、やっぱりそういう意味で“女性”な素敵な子たちばかりだ。
あ、今月、パーマをかけに行く。 でも季一さん熱はすっかり冷めてしまった。はぁ。 遠距離の彼氏のことを考えたりしつつ、やっぱり距離は大切なのね、と今更ながらわかった気がしたここ数日。
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