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2005年08月04日(木) 風味絶佳。

■闘わねばなあ、と、思う。ふがいない今の自分とも、許せない他者とも、改革すべきシステムとも。
 このところの自分の心の揺れを振り返って、強く、強く、そう思う。
 もちろん、人生をひいて見る個人の生活に没入することもできるだろう。生きていくための収入さえ安定していれば。でもなあ、それじゃあ物足りない、生き足らない自分だってことは、よく知っているから……。

■山田詠美さんの「風味絶佳」にいたく感動して、早くも読み返している。読み返したら、もう一度読み返したい。すべては男と女の「愛」に帰してあるのだが、それだけでは終わらない。そこに、人間の根源的な生きる意味、人間の死すべき運命が知らしめるものが、巧みに埋め込まれている。食って、寝て、異性を求めて、セックスして。息を吸って、吐いて、止めて。喜んで、怒って、哀しんで、楽しんで。もう、あれこれあれこれが、美しい日本語で、語られる。まだ8月だけれど、これが今年のわたしのナンバー1小説になるだろうと予感する。

■今、わたしは、わたしにとっての「風味絶佳」の男がいる。我が人生を惑わせ我が人生を彩る人。どんなに惑いが深くっても、無駄な時間を如何ほどに過ごそうと、鮮やかな彩りに喜ぶ瞬間は捨てられない。わずかな至福の一瞬が待っているという期待感のために、どれだけ涙を流してもよいと思う。


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