世界お遍路 千夜一夜旅日記

2003年02月08日(土) 映画の感想・・徒歩について

「チベットの女 イシの生涯」

時代的には、チベットが中国(今の清朝ではない)の支配前から文化大革命を経て現代まで・・ということになる。
ヒロインのイシは、美しい声の持ち主で、なおかつ美貌、荘園領主のいわゆる「お妾」さんとなる。親の借金のカタ、ということだが、日本の歌舞伎などにもあるこういうセチュエーション暗さ、湿っぽさはない。
丁度「チベット旅行記」(河口え海)を読んでいて「性風俗の卑猥」(これは河口から見て)がめんめんと書いてあったので、なるほど「おおらか」と違和感はなかった。
そこにギャッツオという無頼の若者登場。彼女を略奪する。(この辺はあの「卒業」を思い出した・・謝飛監督はこれ、意識しているね)彼女は彼の妻となるが、根が無頼の夫。しょっちゅう放浪でかえってこない。彼女はまたお妾になる、そして、男の子を産む。
やがて中国の侵入、領主の亡命(子は連れ去られた)、夫の家出(これまた彼女との間に生まれた女の子を連れて)。彼女は全て失った。やがて母の死、娘からギャッツオが荒れているとの手紙をもらい会いに行く。
その旅は1000キロの道(それもヒマラヤの見える所)を辿って進むきつい旅だ。行き倒れた彼女を助けてくれたのは、昔の幼なじみでお坊さんとなった彼女の初恋の相手サムジュだった。彼は途中まで、一緒旅をして彼女を助けるが、途中で瞑想するために山に籠もった。そして、彼女には、行って夫を救いなさい・・と。
この話は、全て今はラサに住むイシとギャッツオの回想、北京から来た孫娘に語って聞かせるという形で進む。最後はギャッツオが死に、イシも後を追って・・二人は鳥葬によって弔われる。
ストーリーにはそう惹かれない。(でも、チベットにとってはすごい時代だったんだけど)仏を信じる心(他力本願的な)と、「すべての衆生に幸せを」と時々いわれる祈りの言葉がすごくよかったが・・・
何より、チベットの山々の圧倒的な美しさ、すんだ空気感、イシの美しい歌声・・これらに引き寄せられる。山の姿を見たとき ためいき、だった。
中国も、チベット人によるチベット映画(監督は中国の大御所だけど)がつくられるようになったんだ、また多分、私はチベットの山を見てため息をもらしたように北京や上海で同じ見方をする人がいるのだろうと思うと、「隔世の感」。私は初めて中国に行った83年、この映画の舞台となったラサは未解放に近かった。こっそり入ったアメリカ人が処刑されたとか、ホテルのドミトリーでは噂で伝わっていた。
それが、映画の舞台・・だ、よ。
ただこれは、漢人支配が定着したと言うことでもある。抵抗しつづけたチベット人たちであるが、骨のあるヤツはみんな亡命しちまった。
チベット人は差別され、いいポジションは今やみんな漢人だと聞いている。
私は「セブンイヤーズインチベット」のラストシーン、チベットに侵攻した共産軍をポタラ宮のラーマ7?世は曼陀羅の砂絵を描いて最大限の歓迎をしたのに、軍人たちはそれを踏みにじった・・この野蛮な行為、怒りを持って忘れない。
(まるで、私はチベット人のような^^;)
景色を見るだけでも、満足できる・・★3つ!!


「裸足の1500マイル」
これは、オーストラリアで行われた「混血アボリジニ教化政策」を描いたノンフィクションが原作である。
この政策は1931年から何と70年まで続けられた。
要するに白人とアボリジニ(英語で半はブッシュ・ネイテブというてました)の混血児を強制連行して、ネイテブの母親から引き離し英語しか使わせないようにし、「教育」する。故郷には返さない。この政策の推進者であったネビル長官は時々施設を視察し色の黒さで頭がいいか悪いかを判断する。色が白かったらあたまがいいから町の学校、黒かったら施設・・・さらにはつかまえられた子は動物のおりで15ポンド8ペンスという「ブツ」を運ぶ値段で連れてこられるのだ・・・
毎朝、賛美歌を歌い、シスターが彼らを囚人のように管理する・・・またまたキリスト教の独善だあ。こうすることで幸せになるという・・
しかし、この施設から、母に会いたいと敢然と逃げ出した子どもたちがいる。
モリー、デイジー、グレイシー。
参人とも女の子。
追っ手がかかるが3人は逃げて隠れて時にはいろいろな人に助けられてついに母に再会する・・・1500マイルは1900キロ、彼女たちはそれを歩き通して母にあったのだった・・・(グレイシーはつかまったが、そして、ついに彼女は2度と故郷を見ずになくなったが)
この教化政策は基本的にナチスがやったことと同じだ。
これはオーストラリアの恥部でもある。
チベットの問題と同じく、オーストラリアはあんまり知られたくないことであろう。それが世に問われる・・21世紀はそうわるいほうに向かっていないのか・・とふっと映画の後に思ってしまった。でもブッシュの顔見たら、違う、破滅だと思うけど。
3人の子ども勇気とけなげさ・・★3ツ。

「アフガン戦場を行く」
これは東京新聞の名物記者吉岡逸夫氏が取材の時にとって来たドキュメンタリー。
感想は「新聞記者」(ジャーナリスト)って、究極の野次馬だねってこと。
★2つ

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期せずして、前の2つは「徒歩」はテーマになる映画であった。
夫と娘への愛のために100キロの険しい山と峠を越えて、母に会いたいために1900キロを子どもが追跡の手から逃れて歩く。
歩く・・それは何かに出会う、ため?と少しかっこいいことを考えてしまった私であった。

今日は、チベットモードがはいってしまって昨日買った「トレッカーのためのネパール」なんて本を読破してしまった。
やっぱり、エアーズロックよりヒマラヤが見える景色が好きだ。
チベットの山峰は見ているとなつかしい・・みたいな感覚さえある。





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