おひさまの日記
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2010年06月23日(水) 幸せでいちゃいけない

近所の人達と話していて思うことがある。
幸せでいちゃいけないのかなぁ、って。

ウチでは、朝と夕方、庭木に水をやる。
もっぱらabuの仕事なんだけど、
見ているのが面白くて、私はそばにいることが多い。

いつもの時間、いつもの近所の人達が通る。
引っ越してすぐは挨拶をする程度だったけど、
しょっちゅう顔を合わせるうちに、時には立ち話をするようになった。

少し前、その中のひとりに言われた。

「お宅はずいぶん夫婦仲がいいのね」

「ダンナに恵まれました」

と、私が答えると、

「ウチなんかダンナはひどいのよ」

と、ご主人の愚痴が始まった。
ひとしきり愚痴が終わると、彼女は立ち去った。

数日後、また夕方の同じ時間、彼女に会った。
その時、もうひとりの人も一緒になった。
そして、その彼女がもうひとりの人に言った。

「ねぇ、ねぇ、ここんちダンナさんと仲いいんだよ。
 この前なんて、ダンナに恵まれたとか言ってんの。
 聞いてらんないよね。
 ウチのダンナなんかひどいのに、
 おー、やだ、これから話聞かないんだ」

それを聞いたもうひとりの人が、

「えーっ、そうなの?
 やだーっ、そういう話は聞かないことにしてんのよ」

ふたりはこそこそと肩を寄せて、
冗談も混じってはいるのだろうけれど、
手で私を、しっし、とやった。

その様子を見聞きしていて、
私はなんだか自分がいけないことをしているような気がしてしまった。

ダンナに恵まれた自分、夫婦仲のいい自分、
それに感謝し喜びを感じる自分、幸せな自分が。

もちろんわかる。
自分がつらい時、いい環境の中にいない時、
周りの誰かが自分の持っていないものを持っていて、
恵まれて幸せだと、妬ましくなる。
さびしく悲しく悔しく腹立たしくなることもある。
泣けてしまうこともある。
だから、すごくわかる。
彼女達がそういうふうに言うこと。

そして、それがいいとか悪いとかじゃない。

思ったんだ。

私達は、そうした中にいて、
自分が幸せであり続ける選択を、
手放してしまうことがあるんじゃないだろうか、と。
幸せでいるとよくないことが起こる、
幸せでいちゃいけない、
不遇の中にいないと、周りと上手くやっていけないような、
そんな錯覚に陥ることがあるんじゃないだろうか、と。
無意識にそんな観念を持ってしまっているんじゃないだろうか、と。

もし、そうだとしたら、幸せになりたいのに、
幸せにならない現実を引き寄せてしまうよなぁ…って。

不平不満や、いかに自分に何かが足りないということによって、
誰かとつながるというのはよくあることだ。
同じような不平不満のある人と、
同じような何かが足りない人と、
愚痴や悪口を言ったり、いかに大変か、いかにつらいかを話したり、
そこでシンパシーを感じてたりして仲間意識を持つ。

そうしてできたコミュニティーの中では、
そこでの共通の状況や想い、そうしたものから外れることイコール、
仲間はずれの対象になるということだ。
もっとエスカレートすれば、攻撃の対象になる。
そこにはいられなくなるのだ。

人は常に変わり続けるものだし、
誰もが自分が今まで身を置いていた環境に違和感を感じた体験はあるだろう。
それまで仲間だった人達が、なんか違う、そう感じたことが。
私達は自分が持っているものと同じものを持つ人達とつながる。
だから、自分が変わって持っているものが変わると、
それまでいた場所にいづらくなることがよくある。

その時、潔く感謝を持ってそこから離れてゆけたらいちばんいい。
けれど、人間関係がしっくりこないという決して心地いいものではない状況の中、
たとえば、みんなとスムーズにやっていた自分でいることに執着してしまうことがある。

今日書いたことで言えば、
一緒になってダンナの愚痴や悪口を言ったり、
いかに自分が恵まれてないかということを話したり、
たとえそれが本心でなかったとしても、迎合してまったり。

それは、時に、無意識のうちに心の奥でしてしまうこと。

幸せを望みながら、幸せにならない場所に留まり続ける。
自分でもそれに気づいていないこと、実はみんなよくあるんじゃないだろうか、
そんなことを考えた。

そうそう、幸せでいちゃいけないなんてことない。
幸せになっていい。
幸せでいていい。

私達が無意識のうちに持ってしまう観念、
幸せになっちゃいけない…
自分だけ幸せになったら申し訳ない…
幸せになるとよくないことが起こる…
幸せになれるわけがない…

そんな呪縛、私も持ってた、無意識のうちに。
そんなものに振り回されてた、無意識のうちに。
でも、もう、卒業しよう、自分の意志で。


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