月の輪通信 日々の想い
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2004年05月05日(水) 連休最終日の憂鬱

連休最終日。
お出かけ続きで家事がたまり、どよんとした朝を迎えた。
とりあえずお寝坊の男の子達をたたき起こし、剣道の朝稽古に送っていく。
家を出る直前になって、ゲンが竹刀の不備をちゃんと処理していなかった事がわかり、一発目のお目玉を喰らう。
GWということで、出席している子どもも少なめ。
オニイも、今日は後半の大人の稽古まで残るというので、ゲンはオニイの稽古が終わる頃に一緒に迎えることにする。
行きの車中で、今日は資源ごみの回収日であったことに気づき、子ども達を下ろしてから慌てて取って返したが、やはり収集車の到着には間に合わなかった。
「ゴミ出しを忘れる」のと「好天気にお布団が干せない」のは、些細なことだけれど、主婦失格というような苦い自己嫌悪を運んでくる。
ああ、今朝は出だし失敗。

ガツガツ空腹を訴えるワンコにドックフードをやろうとしていると、父さんが、
「剣道の迎え、みんなで出かけてビデオ屋へ行くから」
という。
予定外だなぁ、とちょっとうっとうしく感じた。
今日はたまった家事を片付けて、庭仕事や気がかりな内職仕事に取り掛かるつもりだった。
休み中、かけらも勉強していない子ども達にもそろそろはっぱをかけなければ・・・。
昼時にみんなで出かけたら、どこかで外食という羽目にもなりかねない。
数日前に買って食べる機会を失っている食パンを昼食にするつもりだったのに・・・
そんなばかばかしいことがいっぱい集まって、父さんの提案に「行こう行こう!」と賛成する気持ちになれなかった。そんな気持ちが表情にでたのか、父さんのご機嫌も悪くなった。
「せっかく子どもの日だから、子ども達にサービスしてやろうと思ったのに・・・」
子どもの日って・・・連休中、加古川へも行ったし、京都へも遊びに行ったじゃない。アユコとアプコは昨日もお出かけしていたし、男の子達は留守番で一日中PC、ゲームやり放題だったはず。
もうお子様サービスは十分よ。
それより、ホントは遊びに行きたいのは父さんじゃないの?

ホントにくだらない口争いだった。
なんだかなぁ。
ぷいと仕事場に戻っていった父さんが、しばらくして再び帰ってきた。
お互いに自分が考えていたことを、冷静に言い合う。
休みの最終日にもっとたっぷり遊ばせてやりたいと考える父さんと明日からの毎日に備えて気持ちを学校モードに切り替えてやりたい私。
その微妙なずれに、お互いが自分自身がやりたいと思っていることの違いが重なり、衝突する。
長いお休みの終わりに、夫婦に時々やってくる小さな嵐。
またやっちゃったなぁ。
本当にくだらない。

子どもの頃、実家の父は連休の最終日の夜、大概ご機嫌が悪かった。
一日楽しく遊んで、大河ドラマやらおバカなバラエティー番組を見ながら夕食を食べて・・・そんな時間にたいてい嵐が起こる。
お漬物の塩味が足りないとか、お皿を扱う音がガチャガチャうるさいとか、呼ばれた子どもの返事の仕方がまずいとか、些細な事を発端に父の延々と続くお説教が始まる。
時にはそれは夜中まで続き、子ども達が解放されたあとでも、夫婦の寝室からは、父の低い話し声が続いていたこともある。こんこんと続く父の雄弁に母はいつもしゅんとうなだれて頷いていた。
あとから考えると、なんであんなに叱られたかなぁと思う時もあって、母に不満を言うこともあったけれど、母は、笑って、
「あれはお父さんが、自分自身のお休みの気分を振り払って、明日からのお仕事に向けて、気持ちを切り替えるという意味もあるのよ。」
と舌を出した。
仕事のことをまったく家庭には持ち込まなかった父にとって、連休中のリラックスした気分を翌日からの仕事に混じらせないようにするためには、家族のゆるゆるしたお休み気分をチェックして叱ることが必要だったのかもしれない。
それにしてもかなわんなぁと、お休み最終日の夜はなんとなく憂鬱なものだった。

自営業の夫と結婚して、「毎日がお仕事」「毎日がお休み」というような家族の生活に入って、連休最後の日の憂鬱からは解放されたはずだった。
なのに、今度はなんとなくカリカリと連休最終日にイラつく自分がいる。
いやだなぁ。

結局、父さんが折れてくれてビデオ屋行きは延期になった。
私は疾風のような勢いで洗濯物を干し、掃除機をかけ、懸案の庭仕事を片付ける。男の子達を迎えに行き、帰りにスーパーでサラダとハムを買い、買い置きの食パンで昼食を済ませることにする。
「実はね、父さんが今日はビデオ屋へ連れてってやろうかって言ってくれてたんだけどね・・・」
帰りの車の中で、オニイに言いかけたら、
「わかってるって。さすがに今日は遊んでたらまずいなって、僕も思ってた。」
と、物分りのよい返事が返ってきた。
ううう、こいつには夫婦の行動パターンがすっかり読まれておるなぁ。
きっと「こんなあほな喧嘩は、オレはやらぬ」と考えているに違いない。
そして、きっと歴史は繰り返す。
連休最終日にイライラと、お説教するオニイの姿が目に浮かぶ。
13歳の現在ですらあれだけ説教魔のオニイのことだ。
さぞかしパワフルな頑固ジジイになることだろう。
ああ、くだらない。
本当にいやんなっちゃう。


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