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2012年07月15日(日) 『つぐない』『ジェーン・オースティン』など

マカヴォイ映画&TVシリーズを見てます。State of Playは面白い! でもまだ最終話を見ていないので、その話は後回し。
『ジェーン・オースティン』『ペネロピ』『つぐない』見ました。

『ジェーン・オースティン』(Becoming Jane、以下BJ)はアン・ハサウェイと恋に落ちる役。ジェーン・オースティンもアン・ハサウェイも好きなので(英国へ行った時、ジェーンが育った森を通りました)、珍しく感情移入して見てしまい、二人がキスした場面では胸キュンでした(つ`Д´;)つ ラブシーンまで至らなかったのが物足りなかったくらいだぜ。特に一度破局した後、駆け落ちするために戻ってきたトムがジェーンを木に押し付けてキスをするシーンにはどきどきしました。マカヴォイはキスする時の表情とか、キスへもっていく時の間がエロくて繊細でさいこうですっ。あの童顔&センシティブな雰囲気で攻める姿も萌えるので、彼は攻でもokです。もちろん基本、彼を組み敷きたいんですけど、最近攻を組み敷くという、誰もがちょっとずつ損をする設定にハマってるのです。誰得なんでしょうか……(オレ得です)。

男女の恋愛がメインテーマの作品をわざわざ劇場に見に行ったりDVDを借りて見ることは少ないんですが、『ペネロピ』でも感じたんだけど、男女が惹かれあうようになる過程って、こんなもんですか? いつもホモばっか見てるから、ちょっとしたきっかけで二人が恋愛感情を抱いていくことが新鮮でした。特に、今回見た男女の恋愛ものは3本とも、「第一印象/話の冒頭」は最悪なんだけど、やがて、、、という定番の流れなので、それが180度ベクトルが変わっていくのは、やっぱり男女ならではだなあ、と妙なところに感心しました。男と女は基本、互いに惹かれ合いたがっているものなんですね。

……というわけで、私には二人がどーしてそんなに惹かれ合うようになったのかイマイチわからなかったんですが、でも女ならマカヴォイと出会って一緒に過ごし、男ならアン・ハサウェイと出会って一緒に過ごしたら、そりゃ好きになりますよね笑 そう見る側に納得させるのが男優&女優の才能ってもんです。
この映画でのベストシーンは、トムが手摺を滑り降りるところ。子どもみたいな純真さとエレガンスが共存してるトムの性格、ジェーンとの久しぶりの再会に沸き立つ心、若者の軽やかさが伝わってくる、100点満点のシーンでした。

6:20くらいにその場面があります。



と、同時に、彼は男らしいですよね。前にも書きましたがマッチョではないけど、男らしい。彼の美貌とは言えないが確かに美しさはある絶妙なバランスの顔立ちと同じく、femininityとmasculinityのバランスが絶妙(彼、アレクサンドロスを演じたらぴったりじゃないかな? 顔立ちも伝え聞いてる大王像に似てる。童顔だし、髪色もいい。何より、大王は虚ろに見える大きな眼だったというから、ぴったりだ)。

ラストではトムには大勢の兄弟がいて、彼が一人稼ぎ頭として生計を担っている、でもそれを周囲には漏らさず遊び人を演じているという事実が発覚しますが、キャラクターとしてたまらないですね。『State of play』のダン、『つぐない』のロビーあたりはキャラクターが魅力的なうえに、マカヴォイの個性にぴしゃっとはまってる。

彼お得意? の粉々になりそうなハートを必死でつなぎ止めている時の、青い眼を涙に濡らしている表情もキマってました笑 『XMFC』のチャールズもエリックの腕の中で見せてましたが、アレが出ないと物足りない笑


これだ、これ


実はBJは、数ヶ月前に駆け落ちシーンの少し手前からケーブルTVで見てしまっていたのですが、通して見ると「まぬけ」呼ばわりされてる退屈な恋敵、ウェスリー(だっけ?)がいいキャラクタでした。


『ペネロピ』はかわいいロマンティック・ファンタジー。内容的にはティーン向けで特筆すべきはありません笑 映像はきれいだったし、コミックリリーフもテンポがよかったです。そう! 『Rome』のオクタヴィアヌス役(大人)の人が出てましたが、Romeの印象が強く彼は大根役者だとばかり思ってましたが笑 コミカルな役を演じていてなかなかよかったです。マカヴォイは、オクタヴィアヌス、オクタヴィア(@『トルストイ〜最後の旅〜』)、アティア(@SoP)というあのド変態一家と共演してるんですね笑

マカヴォイは不良の役。『ラスト・キング・オブ・スコットランド』と同年に公開されていますが、ギャリガン先生とは真逆のキャラで、世間知らずでポジティブで朗らかなギャリガン役の裏側で、こんなやけっぱちでdepressedな若者を演じていたということには驚きました。SoPのダンやBJのトムはギャリガン先生に近いキャラですが、マカヴォイ本人はこちら側の人かと思っていたので(インタビューなど読む限り)、『ペネロピ』の役は新鮮でした。

ところで、マカヴォイはオンチですか? 以前、ファスと一緒のインタビューで彼と一緒に歌ってましたが、、あんまり声を出していなかったので歌唱力に自信がないのかなと思いました。で、この映画でオンチなキャラとして歌ってましたが、オンチ特有の音のはずし方だなと思いました笑 あれも演技だったらすごいけど。



さて、ここまで見てきた中で、マカヴォイ映画で一番のお気に入りは『つぐない』です。『ラスト・キング〜』も好きですが、『つぐない』はダントツによかったです。
BJも『ペネロピ』も映像がきれいでうっとりしましたが、『つぐない』の前にはひれ伏します。私がこれまで見た中でもっとも美しい映画のひとつ。この映画は家のでかいプラズマテレビでブルーレイで見れてよかったと思う作品のひとつです。
正直、この映画を見た後はaffectされて絶望的な気分を味わったほど。マカヴォイもインタビューで「正直この映画にはいまだaffectされている」と言っていましたが、こうも美しいものを見せられると、絶望しちゃう。『シングルマン』でもそう感じました。

内容もいい。原作はさらにいいと聞くので読んでみようと思います。キーラ・ナイトレイのファンではないけど、彼女の美貌は、思わずマカヴォイよりそっちを見てしまう瞬間があったほどです。キスシーンはアングル的に女性に眼がいくように撮られてるのが普通ですが、それでも頑固にマカヴォイを見ている私も、さすがにキーラには眼がいっちゃいました。横顔が完璧じゃないのが惜しいところ。

『ラブリーボーン』の主演の子が出てましたが、彼女もよかった。カンバーバッチは最低のロリコンとして登場笑 彼自身もプレゼンスが格調高いからぴったりはまってました。
マカヴォイ演じるロビーは悲劇の主人公ですが、これまたとてもセクシーな役でした。これまで見た彼の役はたいていセックスと切り離せないキャラクターですが、ロビーもそうでした。童顔でソフトな雰囲気を持っているけど、実はとてもセックスの匂いのする男優だと思います。なんか隠微なんだよね。『トルストイ〜』でも童貞を捨てる若者だったし、SoPのああ見えて所帯持ちのダンは、議員の妻アンと二人で作中のセックスシンボルを担ってたし(あれはそういう役どころだ)、XMFCのチャールズも女好きで、レイヴン@ミスティークとの兄妹のような関係が妙に色っぽかった。他の男優であの場面(二人がプラトニックにソファで身を寄せ合っている)を想像するとしっくり来ないけど、彼だと、そのシーンに何か眼を凝らしたくなるものをもうひとつ加味してくる。もしかすると、彼に妹がいて父親がいない母子家庭で育ったことと関係があるのかも(=女だけの環境に溶け込む)。



話はずれましたが、ロビーはとても魅力的なキャラ。顛末も含め刹那的。俗に言うワイフビーターを着ていても攻撃的に感じさせない。彼の役はたいていそうだけど、フェミニンな表情で油断させておいて、次の瞬間には所作や表情で男を感じさせるところが稀有な素質。妹役のブライオニーには無害な頼りになるお兄さんの顔を見せながら、その姉の前では男になる。レイヴンの前では無害なお兄さんなのに、エリックの前では男になる……あれ? そういう話だった!? アンビバレンスがたまりません。

そして、そんな賢く道義心がある彼が、身分が低いゆえに転落し兵卒として戦場へ行く。監督自身が、彼が転落することになる運命の一日を、非の打ち所のない完璧な一日として描くつもりだった、と話していましたが、自分に待ち受ける悲運をまだ知らず、上流階級に属する人々の会食に出席するために、夏の陽射しを浴びながら正装姿で歩くロビーの美しさ。BJにおける階段の手摺のシーンと同様に、ロビーが身軽に柵を飛び越える場面は、夏の空のように澄み切った彼の心境を表していて素晴らしい。

刑務所で壮絶な体験をし、戦場で死に向かっていくロビーが、「帰ることができたら、また最高の正装をして堂々と道を歩くぼくに戻る」と願うシーンは胸を打ちます。何が悲しいかといえば、使用人の息子でしかなかったロビーにとって、正装で会食へ行った出来事は非日常であり、若者の人生における晴れ舞台のひとつだったわけです。上流階級の(キーラ演じる)シーやブライオニーとは住む世界が違う。あの日を境に一気に破滅へ向かっていったにもかかわらず、ロビーにとっては人生最高の一日だった。はじめて愛する娘を抱いた日に、彼はもう一度帰りたい。その願いがあまりにもちっぽけなので、胸を打つ。brightestな思い出としては慎まし過ぎる。

とはいえこれらもすべて、ブライオニーの罪の意識から生まれたものであり想像の産物かもしれない、というところがまた興味深いわけです。ロビーを純粋で美しい悲劇の若者として描けば描くほど、彼女自身の心は責め苛まれる。つまりそれは、裏を返すとそのまま彼女の罪悪感の深さの表れです。姉の方は想像の中でも、冷たい美しさを体現しているに過ぎない、というところも興味深い。

なんというか、このブライオニーという少女の深層心理に潜むものは、は げ し く 腐 女 子 的 笑。愛する美しい男が、自分の美しい姉に男として欲望を覚えているとわかった時の失望。そこで13才の少女は「コンチクショーゆるせねー」と思い彼を刑務所へ送るわけだよ。ケダモノが大勢待っている刑務所へな! で、その後の彼の人生を妄想して同人誌を書きまくった、と。これが、『つぐない』というタイトルだけは反省したふりの物語です。

マカヴォイにはもっとこういう映画に出て欲しいですね。明るくてもいから欧州的な。あとはもうちょっと男優と絡む萌えるのも欲しい。

ところで、『つぐない』には5分間にも及ぶワンテイクのトラベル・ショットが登場します。これが素晴らしいんだ。撮影メイキングを見たところ、ドリーも使わず、台車みたいのに乗って定点カメラで撮ってました。無数のエレメントを丁寧に積み重ねた傑作シーンです。戦場の混沌と不条理(帰国に際し馬を銃殺する場面の裏側で、兵士たちがメリーゴーランドに乗って大騒ぎしている)、ロビーの混乱を見事に表現しています。

貼りつけはできないようですが、ここに、そのトラベル・ショットがあります。

ワンテイクの長回しといえば、有名なのはChildren of Menのこのシーン。圧巻です。時間のある方はどうぞ。このシーン以外にも10分に及ぶトラッキング・ショットもあるらしいです。


いろいろ書きましたが、たぶん伝わったのはいかに私がマカヴォイにやられちまっているかという一点に違いない。
『つぐない』の関係は『嵐が丘』のキャサリンとヒースクリフに似ていますが、先日紹介した昨年放送の『嵐が丘』に寄せたMumford and Sonsのthe enemyは、『つぐない』のロビー&シーで想像してもしっくりきます。「なのになぜきみは、その男に寄りかかることを選んだのか。彼が転落するとわかっていながら(So why did you choose to lean on a man that you knew was falling)」という歌詞がとてもロビー的です。

コメントもこちらから。私が旅の途中で撮っただいたいが欧米の風景写真が表示されます(地味に交換してます)




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