一週間ぶりのエピソードレビューです。ドラマは最後まで見終わりましたが、私の中で二人は永遠の男夫婦です(●´ω`●) ------------------------------------------- Rome[Ep.4] Stealing from Saturn(休戦の使者) ------------------------------------------- ![]() 4話はギリシアまで逃げたポンペイウス側の陣営場面から始まる。ポンペイウスの息子クイントゥス登場。国庫の金を横取りして持ち去ろうとした兵士を拷問し、金の所在を吐かせようとするクイントゥス。 史料によると、ポンペイウスはローマを捨てる時、国庫の金を持ち出すように配下の者に命じていたが、皆、私物を持ち出すことに夢中で、結局金は残されたままだったとのこと。 このエピソードで、すでにカエサルはローマ市内にいるけどこれは創作。以前にも書いた通り、ローマ軍を指揮する執政官はルビコン河の北側で軍を解散しなければならなかったし、ましてや元老院の許可なくローマ市内に入るなどもっての他だったので、ルビコン渡河で国賊となり、また元老院議員たちの大半がローマを捨てポンペイウスと共にギリシアへ去った後でさえ、カエサルは民衆を敵に回さないために不可侵とされたローマには戻らなかった。だが彼が国庫金を使ったのは事実らしく、いかにして彼が市内に入らずにこの金を手に入れたのかは謎だそうです。Ep.3で、プッロ&ヴォレヌスが、国庫金を横領したローマ正規軍兵士と一戦を交えるエピソードは、この「謎」を利用して描かれたもの。 オクタヴィアヌスはまだ成人を迎えていない、というくだりがあるので、彼はこの時16才手前という設定なんでしょう。 前回、ローマ軍を上官に断りもなく辞め民間人となったヴォレヌスは家族のもとに帰り、戒厳令が敷かれたローマで、新たな商売を始める。だが人々はカエサル軍の報復を恐れて自宅に閉じこもっているため、街は不気味な雰囲気。ヴォレヌスは、吉日に祝宴を開き、始まりと終わりの神ヤヌスに捧げものをし、、、相変わらず呆れてしまうくらい信心深い(´Д`;)ヴォレヌスと町の女(呪い師?)の会話に、スッラとカエサルの比較が出てくる。 ルキウス・コルネリウス・スッラもまた、元老院と対立し、軍団をローマへ向けた反逆者。ローマ市街に侵入し抵抗する者を虐殺、敵対するマリウス側に加担した者を粛清しまくった人物。状況としては、カエサルの行為はスッラのそれと似ていなくもないが、スッラが共和制存続のために行動を起こしたのに対し、カエサルは旧態依然とした共和制をぶっ潰すために行動したという点で大きな違いがあることは、後世の私たちにはわかるけれども、渦中にいる人々(とりわけ平民)にはわからなかったに違いない。 ちなみに、私はスッラファンなんですが、それは彼が優秀な政治家でありながら私生活では酒色を好み、当時の貴族らしく性別はどーでもよく晩年はギリシア人男娼を男妾にしたという素敵な逸話のある人物だからってだけではありません ![]() ヴォレヌスの父親はスッラ側について戦ったと本人談。彼の父親も一度は賊軍の兵士に身を窶したわけだ。それでも、祖父も父も共和制存続のために戦ったという名誉はヴォレヌスの人格形成にすごーく影響を与えている。ちなみに、カエサルはこのスッラの粛清リストに名前が乗っていた人物で(マリウスが伯父だったため)、十代の頃にあやうく殺されかけています。 このエピソード最大の見せ場は、もちろんアントニウスがヴォレヌスを私邸に呼びだす場面ヽ(`Д´*)ノ わざわざ呼び出しといて、ヴォレヌスが到着するとマッパで迎えるアントニウス閣下。ヴォレヌスはもはや彼のトレードマークともいうべきどっちらけの表情で淡々と閣下の相手をします。 ![]() 奴隷が ドラマを最後まで見終わり、アントニウス/ヴォレヌスにドハマりした私としては、このシーンは二人の関係においてBest 5に入る萌場面ですヽ(;`Д´)ノ アントニウス「血塗られた剣を手にしていないとおまえだとほとんど判別できんな」(Barely recognize you w/o a bloody sword in your hand)…と言う自分はマッパ。若手芸人のような捨て身のウケ狙い(違)もツンツン(デレの部分一切なし)隊長にはさっぱり通用せず、残念、閣下。 閣下「(低身長症の奴隷のことを)面白いだろ?」 隊長「(無表情で)さようで」 閣下「面白くないようだナァ」 閣下の隊長いじりの典型。アントニウスがヴォレヌスにムラムラしちゃうのは、優秀な部下だからというだけじゃなく、たやすく支配も買収もできない男だから。彼にとって女や美しい若者を追いかけ回すのは狩りみたいなもの。相手が奴隷じゃなくたって、立場上どんな相手も苦もなく組み敷ける。そんな彼を楽しませてくれる相手は、アティアやクレオパトラ、ヴォレヌスみたいな簡単には支配できない反抗的なタイプ(^曲^)命令には絶対服従だけど心までは支配させないヴォレヌスを、アントニウスは弄ぶのが大好き ![]() おまえを逃亡兵として磔にもできる、と言われ、思わず「逃亡ではありません。任務は果たしました。そちらが――」と口を滑らせるヴォレヌス。 アントニウス「おれがどうしたって?」 ヴォレヌス「ルビコン河を越えたら軍人ではいられません。私は法に従うしかありません」 アントニウス「馬鹿者。おまえは僧侶か。世の中をよく見てみろ」 ヴォレヌス「ローマの建国以来――」←始まったよ アントニウス「おおい、よせ(Oh please)。ローマの建国なんてどうだっていいんだヴォレヌス。物事は変わる。わからないのか? 共和国はとっくに死んだ。カエサルはその破滅から救おうとしている」 ヴォレヌス「そーは思えません」 ![]() あったま固い! とイライラしている閣下。言葉いびりは続く。「それで、どんなつまらない仕事を始めるつもりだ?」 ヴォレヌス「ガリアの品々を売ります。奴隷やトルフや葡萄酒など」 アントニウス「商人か(´∀`)ノ おまえのような正直な軍人が売り物を数えて、帳簿をつけるのか? 気が狂うぞ」 ヴォレヌス「そうですねー」 するとアントニウス、おもむろに表情を引き締め部下に近づき、 アントニウス「おれにはお前が必要だ。カエサルもだ。軍団にお前以上の男はいない。お前以上に兵士たちに尊敬されている男は(There is no better man in the legion, none more respected by the men.)。厳しい戦いが待ち受けている」 ヴォレヌス「ローマ人相手の厳しい戦いっすね」 自分たちが賊軍だという自覚がある隊長にとって、正規軍の同胞と戦うことにも抵抗があったわけですね。実際、カエサル軍がポンペイウス軍と川を挟んで睨み合いを続けていたスペインでの戦いなどでは、川の両岸でかつての戦友と談笑する兵士たちの姿が多くみられた、という逸話も残っています。 アントニウス「戦いは戦いだ(blood is blood)。本当に第十三軍団をお前なしで戦わせる気か? 軍団に戻って来い。再び戻ってきた古参兵として優遇するぞ」 ![]() この時、アントニウスは最上位の位階を与え特別報酬として1万セスティルティウスやる、と言ってるんですが、これは破格も破格。閣下はずみすぎ。報酬額はちょっとあり得ない額です。最上位、というのは彼が首席百人隊長だったことを考えれば大隊長のことでしょうか? 大隊長は貴族の子弟などが任命され平民がなるのは難しかったようです。 ちなみに、Ep.3で書いたことの訂正をここで。一個軍団6千人、千人隊長(大隊長)は5人と書きましたが、一大隊は600人から成るので、千人隊長は10人でした。おのずと中隊長である百人隊長の数も変わってきます。しかし、首席百人隊長が第一大隊の第一中隊を指揮する下士官のトップクラスということに変更はありません。 そんな気前の良い昇進話を提示されたものの、ヴォレヌス@石頭は断る。 アントニウス「失望したぞヴォレヌス。思いっきり☆」 踵を返すヴォレヌスに、閣下は気になる一言。 アントニウス「ヴォレヌス、次に会う時は、こんなに優しくないぞ」 一方妻ニオベは、義弟との不貞によってできた子ルキウスのことで思い悩んでいる。少しずつ夫婦関係が改善されてきているので、余計に気になる。ニオベの、平民のべっぴん妻っぷりが素敵です。 店開きのパーティにやってくるのは地区の有力者エラステス。この男は後にヴォレヌスの運命を狂わせることになる。ニオベの妹リュデは夫とともに現れる。リュデは美しい姉に夫を奪われた屈辱感と絶望をひた隠しにして生きている。 皆が楽しそうにダンスしている時に、小さな女の子と手を合わせて身体を揺すってるだけで、全然馴染めていない隊長がカワイイ。生まれ変わってもエピキュリアン(享楽主義者)にはなれそうもない(´Д`;)実姉と夫の不貞をまだ許せないリュデは酔っ払い、自暴自棄な空気満載。醜態を晒しそうな妻リュデと夫のもみ合いの末、ヤヌス神へ捧げ物をした祭壇を倒してしまう。 場面変わって、祝宴が終わり招待客が帰ったところで、クイントゥス・ポンペイウスが部下を連れて現れる。目的は国庫金の奪還。何の話かさっぱりわからないヴォレヌス。妻を人質に取られ、自分も剣先を向けられヤヴァイところに、豪華な衣装と装飾品を身に纏ったプッロが、輿に乗って登場ヽ(´∀`)ノ 羽振りよく沿道に金をばらまきつつやってくるプッロを一目見るなり、瞬時に「犯人コイツだ」と悟ったようなどっちらけ顔の隊長がいい感じです。 それにしても、大金持ちになって贅沢三昧の生活を始めておきながら、目的地その1は隊長の家だっていうプッロかわいい(●´∀`●) 「ね? だからあの時言ったでしょ? 荷車見に行った方がいいって♪」 と自慢しに来たのかもしれないけど、単純に隊長に会いたかったんだね。たぶん隊長の方はまだプッロを友達とは認めてないけど、プッロは隊長大好き。荷車と一緒に見つけた奴隷娘にもきれいなカッコをさせてあげてみたり↓ ![]() クイントゥスらをシバキ上げる二人。国庫金を横領した容疑をかけられれば極刑間違いなし、ということで考え込んでいるヴォレヌスに、プッロは自分のおばか計画を話す。us(おれたち)という表現を用いて勝手に計画にヴォレヌスも巻き込んでますけど? プッロ「クイントゥスをテヴェレ川に沈めて、荷車を手に入れ、こっそり金を掘り出し、海岸まで出て、一気にスペインに向かうんです」 ヴォレヌス「黙ってろ、考えてんだ」 プッロ「マズいですか(´∀`;)」 ヴォレヌス「マズいだあ?」 頭ごなしに叱られるプッロ。毎度隊長に迷惑かけ倒してます。ドラマ前半の、おバカをやるプッロの尻拭いに追われるヴォレヌス。でもプッロは隊長が大好きだから役に立つために頑張る、という二人の関係がカワイくてたまりません。 「ポンペイウスの息子を手土産に金をカエサルに返しに行け」と言われ、せっかく金持ちになったのに冗談じゃない、とプッロ。 ヴォレヌス「助言ぢゃないぞ、命令だ!」 出た、必殺技。プッロは最終回まで、隊長の「命令だ」発言には何だかんだ言って逆らえません。「あんたはもう上官じゃないっ」と反発しても何年も躾けられたんで身体の方はちゃんと命令に従います。 プッロ「でも神からの授かりものですよ!」 ヴォレヌス「命令だあー!」 プッロ「アイッ(´∀`;)ノ」 ![]() 背筋ぴしっ。その上、おまえのせいで妻が殺されかけたんだぞ、と言われ事の重大さを理解したプッロ。大好きな隊長にまたまた迷惑をかけてしまったことに、ようやく気付く(遅い)。 「一緒に来てくれるでしょ」と言うプッロに「自分で蒔いた種だ。自分で何とかしろ」と突っぱねる隊長。この頃はまだ冷たいですね。いや、後半でもずっと冷たいままだけど。 プッロ「けっこうです。行きますよ。失礼します(Good luck to you sir)」 プッロの到着を知るカエサルが、パーティで席をはずす際、アントニウスにちょっと顎で合図を送り、アントニウスがすぐに立ち上がってついていく、さりげない感じが好きです。たぶんビジュアルの問題で、この二人は全然萌えないんですが。 アントニウスが自分の部下とあって、カエサルのかわりにプッロを尋問し始めるのがまたいい(´∀`) このドラマのよさはびみょーな匙加減なんだよなあ。 アントニウス「プッロ、この悪党め。今度は何をした?」 テンパりまくってるプッロ、「いえあのその将軍、ルキウス・ヴォレヌスに行けって言われまして〜……」 隊長が隣にいたら、振り向いて怖い顔で睨んだんでしょうね。この頃のプッロは何も考えてなくて、自分が何をすれば正解なのか、どう振る舞えばうまくいくのかよくわかってない。だから、頭が良くて身の処し方をわかってる隊長のことをスゲーなあと尊敬し始めてる。金が見つかって隊長の元を訪れたのは相談したかったってこともあるんでしょうね。2話でもバレバレだった通り、プッロはその日暮らししかできない荒くれ者で、彼のwikiのキャラクター説明にはdevil-may-care(結果を考えず衝動的に、あるいは欲望のままに行動する)人物、とある笑 そんな彼にとって、隊長は「この人について行けば、きっとおれ、なんかもーちょっとマシになれる」って思える人。おっかないけど ![]() 国庫金の話は初耳だったので目の色が変わるカエサルとアントニウス。彼らにとっては、プッロは金を見つけ出しポンペイウスの息子を捕まえたことを報告しに来たことになるわけで、叱責だけで許されるプッロ。 カエサル「おまえはアホだけど幸運の女神に気に入られてるみたいだから許してやる!」 パーティを抜け出したオクタヴィウスが、一連のやり取りを眺めている。このように子供の頃からカエサルを観察していたわけだ。意見するオクタヴィウスの話を聞いてやり、彼に指導者の才能を見るカエサルの会話がいいです。 ところで、発作を起こしたカエサルを奴隷ポスカと介護するオクタヴィウス。二人が倉庫にいるところを使用人が目撃し、それ以降「二人はデキている」と噂されるようになる……という味付けは、slasherとしては噂通り二人がデキていた関係として描いて欲しい気持ちもあったけど、これはこれで面白い。 さて無罪放免となったプッロが我が家と勘違いして隊長の家に戻ってくると、ニオベと間男が親密そうに話している。疑いを抱くプッロ。 隊長がニオベを愛してることはよく知ってるから、「おれの大事な隊長を裏切ってるとしたらもう間違いなく許せん。だって隊長あんなにカワイイのにヽ(`曲´;)ノ」 裏設定として、隊長のかわりに気が気じゃなくなるプッロは、きっとこの時「なんでおれがこんな気持ちに? あーおれ隊長のこと本気で好きなんだナァ(´Д`)」と自覚に至ったと解釈。その頃隊長は、プッロが死んだかもしれないってのに、ヤヌス神に昨日の非礼を詫びるため祭壇に祈ったりしてます。たぶん、二階に座ってるプッロの顔見るなり、「あ、生きてたのか」と言っただけだったに違いない。 ところで、このエピ中、ずっとプッロの所有物として奴隷娘エイレネが置物のように画面の端に映ってるんですが、セリフはひとつもありません。異国(おそらくゲルマン人)の言葉もしゃべれない奴隷娘なんて、どーでもいい存在として扱われていたんですね。主人たちは夫婦で、または恋人同士、奴隷に見られながらセックスをする。主人たちは気にしない。奴隷は家具やなんかの物と同じですから。アティアの傍仕えの奴隷が男色好きだというのも説得力がありますね。女主人にイチイチ反応するようじゃもちません。 カエサルはポンペイウス側に休戦を呼び掛けるが、カエサルと敵対しても、まだ彼を父のように慕っているブルータスだけはその申し出を受けたがるも、ポンペイウス側は無視するのでした。 ![]() --------------------------------- 今回はなんだかやたらとアントニウスの裸ばかり紹介してしまいました。このアントニウスの中の人、ジェームズ・ピュアフォイは、ヒース・レジャーの『ロック・ユー』にエドワード王として登場した、あの人です。ヒースだけじゃなくポール・ベタニーも出てるので、この映画が好きなslasherは多いはず。ちなみに、プッロの中の人、レイ・スティーブンソンは『キング・アーサー』のダゴネット役、ヴォレヌスの中の人ケヴィン・マクキッドはオーリの『キングダム・オブ・ヘブン』に端役で出てますが、彼は『グレイズ・アナトミー』でレギュラーロールを演じています。オクタヴィウス役のマックス・パーキスはM&Cに出てたと考えると、わりとそういう面子揃ってたんですね(どういう面子…orz)
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