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2006年09月22日(金) パワフルな反体制的映画『Xmen』!


Xmen TLSを見てきました。予想以上! エンジェルは私が想像してたより控え目な立場で、見せ場も少なかったのですが、サイクロプスよりはましだろう! スコット・サマーズ可哀想すぎる〜。これより先は軽いネタバレがあります。

社会力学の上に成り立つ見事なシナリオ。ラブ&ヘイトな関係で結ばれたキャラクターたちのそれぞれの立場に、うまいこと共感できます。おいしいフィクになりそうな具材がごろごろ転がっていました。アメコミの面白いところは、きっちりとシンボル化された社会像が基盤にあるところです。コミックの極端な世界の中での出来事ながら、そこから現実の社会像を感じ取ることができます。
これは社会と社会不適合者がどう向き合っていくか、という話です。社会のはずれ者たちを主人公にしたこの物語が、こんなに支持を得たというのは、「ぼくはこの社会のクズ。でも今は社会に認められていなくても、ぼくにだって取り得があるんだ」と思ってる連中がたくさんいるってことなのかもしれないですね(特にマンガを読むような層に)。彼らは自分たちが本当の人生をまだ生きていない、と思っている……それはそれで問題だとフォン・フランツは言っていますが、もちろん私もそういう人間だから、Xmenやバットマンが好きなわけです。
Xmanもバットマンも、一番感動的な部分は、そういう社会不適合者たちが冷たい社会への逆恨みに走らずに、ぐっと堪えて、自分たちを社会の端に追いやった連中を救うために、社会を敵に回した“悪い社会不適合者たち”と戦うというところです。単純に政府を悪者にしてるわけじゃない(もちろん、政府を悪者にした風刺色の強い名作もアメコミにはたくさんある)。エンジェルが助けた父親と飛んでるシーンで浮かべてる表情なんかに、宥恕の念が満ち溢れています。
ぐっと堪えられず途中で悪い社会不適合者になるキャラはけっこういます。パイロやローグ、エンジェルもそうですよね。マットに「エンジェルとアークエンジェルって同じなのか」ときいたところ、「後にエンジェルがアークエンジェルになるんだ」と教えられ、やっと混乱していた部分がクリアになりました。こういう善から悪に転じちゃうキャラは色っぽいですよね〜。

あくまでコミックベースのアクション映画なので社会風刺とまではいわないけど、寓話的にみせてくれる分、直接的な反体制、社会風刺映画よりも潜在的な影響力があるのではとさえ思いました。Xmenが内包する深甚なテーマを浮き彫りにした、パワフルな反体制的映画! というのは言いすぎかな。
ローグの人生の展開は、とても寛大な視点で描かれていました。彼女にああいう選択ができたこと、それが本当の自由であり、個人が尊重されているということなんだ、というメッセージが伝わってくる。社会不適合者にして非(反)社会的存在のローガン@ウルヴァリンが(そんな彼だからこそ)、彼女を引き止めず行かせたことの重要性。

エンジェルが空を飛んでいる姿をキュアの能力を持つ少年が、狭い窓から憧れの表情を浮かべて眺めているシーンや、ボビーが指先ひとつで噴水を凍らせるシーン、人間になったマグニートがチェス盤と向き合ってるシーンなど、詩的で素敵な場面も。そしてふんだんにちりばめられているユーモア。ユーモアは大事ですね〜。

アイスマンとパイロにも萌えましたが、やっぱウルヴァリン! すでに彼はヒューではなくウルヴァリンになってしまっています。戦ってる姿もカッコいいのですが、葬儀に出ないところや、ローグを気遣ってるところがおいしい。そしてジーン・グレイとの顛末。強いぞ、ウルヴァリン。なんて強い男なんだ。
ヒロインでいえばキティが可愛かったけど、結局一番カッコよかったのはストーム。ジーンは今までで一番遠い存在でした。コミックを読んでても「遠い」と思っていますけどね〜。

ヴィジュアル・エフェクトなど絵的にイマイチだなと思う場面もありました。特に浮遊と、人間離れした跳躍をして着地、みたいな絵って、どうやっても不自然になるもんなんでしょうかね。これはどのアメコミ映画でも、指輪でさえ思いました。跳躍する前の脚腰の動きが不十分に見える。もっと走り幅跳びとか棒高跳びのアスリートの動きや筋肉を見て忠実に作って欲しいな。一昔前、CGといえば「炎」がイマイチでしたが、最近はよくなりましたよね。

スタッフロールの後のおまけ、あれは別に次作があるってことではないんですよね? でも続きを作って欲しいな。ガンビットとジュビリーを出して。ヒロインじゃジュビリーが一番かわいいと思うんだな。


公の誕生日にdrabbleを書きました。今後もドラブルという言葉を使っていきます(短いフィクのことです)。



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Eleven Minutes
Karl/David(David's POV) G
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 しおりの場所を差し換えて、ページを右から左へめくった。未踏の領域の最初の一行に眼を通す前に、サイドテーブルのデジタル時計を視野に入れないではいられなかった。頬杖をつき、健康的な姿勢を維持したまま、俺は一時間前からダイニングに座っている。あと十分。
 テーブルにはふたつのグラスと口を切っていないシャンパンのボトルが置かれているだけ。記念日の料理はなし。だがそこには腹を空かせた男が座っている。最後の食事は昼の十二時だったので、俺という男はほとんど飢えている。ヴーヴ・クリコが眼の前にあるというのに、咽喉の渇きを癒すこともできずにいる。今日は夕方のうちに帰宅したが、料理するどころか、冷蔵庫だって一度も開けていない。当然だ、九月二十一日は俺のための記念日なのだから。
 外で食事でもどうだ、と言い出したのは彼の方だった。予定では、四時間前に帰宅しているはずの彼とシャンパンを一杯やった後で、夜の街へ繰り出すはずだった。いいムードになっていれば、キスのひとつやふたつ交わしていたことだろう。だが、あの男は電話一本寄越さない。
 俺は新しい章の始まりを歓迎する。物語はますます面白くなっているが、ページをめくる虚しい音が部屋壁に響くと、どんな興味も失せていく。俺はもう一度、置時計を見る。あと五分。長い溜息。
「おめでとう、デイヴィッド」
 日付が変わる前に、忘れないうちに言っておくべきだった。残りわずかとなった『ホテル・ニューハンプシャー』をとじ、立ち上がる。トイレ休憩だ。まさかあの男、一日の終わりにさえ間に合わないつもりだろうか。確かに今朝、今日は予定外の仕事が入ったので遅く帰るかもしれない、とは言っていた。もし遅れたらすまない、とも。
 俺は時計の赤い数字を確認し、もう一度本の世界に戻る。『23:59』。次回顔を上げた時には厳密な意味で新しい一日が始まっているだろう。それでも彼は一向に現れる気配がない。
 俺はページをめくり、印刷された文字をゆっくり眼で追っていく。四行目まで差し掛かった時、ふと夢を見る。残り十秒という段になって電話が鳴り響くのではないか。それは間違いなく彼からの電話だ。そして彼は俺にこうささやく。「おめでとう、デイヴィッド」。その瞬間、俺は許してしまう。起死回生のKOパンチ。カール・アーバンのノックアウト勝ち。ジェームズ・ボンドのようなカール・アーバン。
 俺は本から顔を上げ、時計を見る。俺の直視を受けている間に、『0』ばかり四つ並んだ数字の一桁目が『1』に変わった。最終ラウンド終了。今日はもう俺にとって、他のどうってことない一日と同じだ。
 本をテーブルにおき、立ち上がる。ヴーヴ・クリコの口を切ると、コルクが気持ちのいい音を立てて飛び出した。並んだシャンパングラスの両方に注ぎ、ひとつ手に取った。
「お前の正体がわかったぞ。ゴッサム・シティの悪党を退治するのに忙しいってわけだ」
 まったくとんでもない奴だ。
 俺は一口目に口をつけようとして、やめる。待ち惚けを食っているグラスの片割れとそっと乾杯してから、もう一度口に運ぶ。
 だが、今更驚かない。お前のことは、よく知っているさ。
  
                               end

コメントもこちらから。私が旅の途中で撮っただいたいが欧米の風景写真が表示されます(地味に交換してます)




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