『ガスコインは何よりも、ガッザという、大衆におもねんばかりにデザインされたショウビズキャラであることに病んでいた。プロフェッショナル・フットボールは巨万の金を動かし、哀しくも未熟な人間を輩出し続けるばかりだ。これら、高給取りにして社会不適合者たちは、彼らのエージェントが手取り足取り教えてでもやらない限り、トイレの正しい使い方さえままならない。ガスコインの物語はまだ終わりを見ていない。浮かれている場合ではない。そこにハッピーエンドなどありはしない』 -マイクル・ヘンダソン(『スペクテイター』2003年1月25日)- 「ガッザの涙」を読み終えました。怒涛のユーモア満載の前半から一転、後半とくに最後の数章は悲哀に満ちていました。“背筋が凍るほど正直”とはよくいったもので、この天才に幸せな余生、引退後の生活が残されているのだろうかととっくり考えてしまいました。90年代も後半になるとベッカムも頻出、レンジャーズ時代のガットゥーゾなどもちらっと出てきます。ラツィオ時代にイタリア語をマスターしたガッザが、ガットゥーゾの面倒をよく見てやったとのこと。同世代の現役(当時)の中からベストプレイヤーを選ぶならロイ・キーンで決まりだそう。後半「アイ・ラブ・ユー・ベッカム」の章はなかなか心温まります。ベッカムも自伝の中でガッザを誉めちぎっているとのこと。最近の選手としては、ルーニーに関する記述が面白い。ガッザがルーニーのプレーをはじめて見たのは、ルーニーが14歳の時。思わず、ユース・アカデミーの責任者に「こいつはモノになるんじゃないか?」と言ったそう。でも何より面白いのは、06年ドイツW杯よりずっと前に書かれたこの本の中で、ガッザがルーニーに対して、自分の経験を踏まえて気をつけろよと警告を発している点です。 『この世には、持ち上げておいてからこき下ろそうとするスナイパーどもがうようよしている』とは、彼が散々悩まされたプレスのことで、クリス・ロナウド事件後のこと、そして98年のベッカムの退場劇を思うと、歴史は繰り返すんだと改めて思いました。 ガッザ自身に注目して読むだけでも最高に面白いのですが、“脇役”として登場する数々のプレーヤー、監督、セレブリティとの関わり方が、リアルで、それでいて別世界のようで、夢中にさせられます。エリック・クラプトン、ノエル・ギャラガー、エルトン・ジョン、フィル・コリンズ、ロッド・スチュアートとのエピソード、トニー・ブレアとメイジャー元首相とは初対面から名前で呼び合い、ダイアナ妃に「キスしていい?」と尋ね、ローマ法王と電話で話し……そんな有名人もいかすのですが、断続的に登場する元イングランド代表の同僚ブライアン・ロブソンとの関係が特にいい。ヴェナブルズ、サー・ボビー・ロブソン、ウォルター・スミス、現在もVIP席でお目にかかることも多いサッカー界お歴々が、辛抱強く、時に突き放しながら、このフットボール界の寵児を正しい方へ導こうと努力する様子が微笑ましく、痛ましいほどです。 最初の引用ですが、悪い癖で、何かに夢中になるとその汚い部分こそを覗き見したくなります。自然界の理に反しているホモにぞくぞくするというのは、結局そういうことなのかも。哀しくも未熟な人間、高給取りの社会不適合者とまで言われるフットボールプレーヤー(全員でないにしろ)、では彼らに夢中になるほどの価値はないのか。フットボーラーにせよ、コリンのような俳優にせよ、ただ球を蹴っ飛ばしたり、ちょっと顔がよくて演技が巧いだけで富を築き、人間性は未熟なまま、社会で問題行動に走る人物に強く惹かれるのはどうしてなのでしょうか。理由のひとつに私自身が未熟だから、というのは確実に入ると思いますが。私は「核心に迫る」だとか「真実を追求する」だとかに目がありません。汚い事実が明るみに出れば出るほど「こんなことを知れてよかった」と思います。そして自分が“一歩先に進んだ”ような錯覚に陥ります。世のダークサイドをのぞいては「やっぱり現実はこんなもんだ」と思って安心しているとしたら、これは一種の脅迫観念なのかもしれません。 ところでリバプールに着実にやりこめられていますが、FA杯決勝はFA会長のウィリアム王子が会場に。王子にまでブーイングの雨を降らすイングランドサポーター、やる〜。ジェラードがやりにくそうに美形王子にチームメートをひとりずつ紹介していくのですが、王子はジェラードのことなんて少しも気にしてないし、ジェラードはジェラードで紹介し終わるとさっさと持ち場に戻る。王子と握手する選手の反応は個人によりけりですが、笑顔で謝意を述べる選手もいれば、仏頂面(試合に集中してるのか)でやり過ごす選手も。王子は王子でブーイングになんて慣れっこなんでしょうね。こういうとこ、イギリス人は成熟してるなと思います。彼らにとってウィリアム王子なんて、素直にどうでもいい存在なんですよね。 ジェラードが王子にシャビを紹介してる場面は妄想が膨らみました。 ジェラード「このスペ公はシャビ・アロンソといって、ぼくのホモの恋人です」 ウィリアム王子「アルマダの海戦ではあなたの国に申し訳ないことを」 ジェラード「あ?」 シャビ・アロンソ「バスク人なんで関係ないでつ」 ……という具合に今気づいたんだけど、シャビ・アロンソってバスク人なんですね。萌えるわ〜っ。曲がりなりにもスカウスを喋るバスク人ってどういうことよ! 私は彼がむっつりスケベだとすっかり信じ込んでしまってますが(けっこう賛同を頂いた)、「実はかなり熱烈なオナニスト」「浣腸は見るのもやるのも好き」「臭いフェチ」などなど、いい加減な設定を楽しんでいます。ガールフレンドとのセックスよりオナニーの方が好き。ガールフレンドのマニキュアを塗った手を太股の裏に通しシコるのが好き、そしてガールフレンドが突然訪問すると大慌てでマニキュアを落とす、とかそんな感じのむっつり。ジェラードの裸を見て毎度鼻血を垂らす、とかもベタでいい。彼の私服は無難の中にほのかにダサさが漂っています。また安っぽいジーンズ履いてるんだ(若い頃ですけど)。 ![]() このシャツも微妙な感じ。 ![]() ちなみにヒーピアのレフェリー(特に線審)への抗議態度、悪すぎ(笑)。しょっちゅう言ってますが、時々ほんとにオラオラですよね。 現在NHKのBS1でW杯を再放送してくれており、うれしい。さきほどオーストラリアvsクロアチア戦見ましたが、この試合荒れ捲ってほんと、面白かったですよね。キューウェルの同点ゴール(事実上の勝ち越しゴール)も見てて爽快。ただし、私はクロアチア(とくにニコ・コヴァチ)も好きなので、彼らのぬか喜びは見てて少し辛いものがありました。 ところで最近「王子が○○を強制買収」などの見出しが新聞の一面を飾ったりしてましたが、これが王子製紙じゃなくてどっかの王子だったら面白いなと思い出して以来たまらなくなり、「王子、〜〜する」なんて見出しが来るとひとりで笑ってます。「王子、相変わらずやりたい放題だな! 王子の日本侵略の日も近いぞ!」。
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