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2004年11月26日(金) 「アレキサンダー」レビュー1(ほぼネタバレなし)

アレクサンダーレビュー その1


相変わらずの私のくだらない感想を読んでやってください。

アレクサンダーを見てきました。
今は、これまで日記でも紹介してきた(しきれなかった分も含め)
ネガティヴ、ポジティヴ問わず、すべてのレビューが理解できます。
うん、みんな言ってたことその通りだわ!
中でも、「オリバー・ストーンはこの映画を自分のために作った」という
のは、素直に、この映画の存在そのものを言い当てた表現だ、と思えます。
レヴューがここまで割れた理由も納得がいきます。

実のところ、私は映画を見る前、凄くナーバスでした。これだけ期待
していたのに酷いものになってたらどうしよう。休日ともあり、座席は
ほとんど埋まっていたので、絶対笑い声や野次が飛ぶに違いない、明日は
平日なので朝見ようか…と逃げ出しそうにすらなってたんですが、
開始20分ですべてを諦めました。周囲の反応はまったく気にならなく
なりました。なぜなら私はこの映画がオリバー・ストーンという鬼才が
手がけた奇抜な作品であり、その奇抜な作品に、私の心が服従してしまう
だろうということがわかったからです。

事実、私はいろいろな理由で完敗しました(まず間違いなく大王は受だ)。

そもそもこの映画は批評など必要としていません。すべての映画にそれは
言えますが、この映画はとりわけ、すべてが欠点なのか斬新なのか、よく
練られてるのか適当に繋げたのか、目的はあるのかそれともないのか、
あんまりいかれすぎてて判断が難しい。
おそらく、この映画を見る前に目的や教訓といった建設的に人生と向き合う
ための何かしらのヒントを期待していた人は、この映画に最低の評価を与えるでしょう。
暗いとかヨーロッパ的だと言われてますが、そういわけでもない。
路線としてはキング・アーサーに近いながら、キング・アーサーが
ヒロイズムと娯楽要素でなんとか方向性を見出すことが出来ているのに
比べ、この映画からはそれすら感じられず、トロイのシナリオの方が三倍は
シェイプアップされていて、敵対する者同士でさえキャラクターが
愛すべき美点を備えていて観客を魅了するのに対し、この映画は最後まで
誰にも感情移入できません(これは監督も失敗だったと認めるかもしれない)。
観客を満足させるドラマ性やテーマという点では、ヴァンヘルシングの
「簡潔さ」にすら劣るかもしれません。

でも、これらの映画は「アレキサンダー」ほど人の心を打ちはしません。
「アレキサンダー」は間違いなく映画史に一石を投じた、小さな傑作と
なったでしょう。五年後にトロイはタイタニックと同じ棚に押し込まれる
かもしれませんが、「アレキサンダー」はストーン監督の「プラトーン」同様、
棚の片隅である種の敬意を勝ち得ながら異彩を放ち続けるはずです
(もし私たちが監督が期待していたほど寛大なら)。

この映画そのものを物語っているといえる象徴的なシーンは、
ガウガメラの合戦だと言えます。多くのネガティヴなレビューにて、
カメラがぶれたり、瞬間的なカットが連続したり、砂嵐の中で撮影されて
いるため何がどうなっているのかわからず、また音声すら剣戟や音楽に
掻き消されよくわからない。まったくひどい、粗雑な合戦シーンだ、と
いうのを読みましたが、これは大間違いです。
ガウガメラは映画史を塗り替えるほどの最高の合戦シーンです。
ガウガメラの合戦シーンは芸術の域に達しています。
たとえば阿鼻叫喚の渦中を離れ、冷静に指揮を執るダレイオス王の顔を
正面から捉える、単純で捻りのないカットの挿入などは、明らかに監督が
意図した効果をもたらします。この感性は、プラトーン時代からストーン監督が
備え持っている才能と言えるでしょう。
多くの映画の戦闘シーンでは、戦いの中の主役たちの英雄的行為を
切り取って観客に見せますが、ストーン監督は意図的に「人間同士の屠殺」
を全面に押し出しています。もちろん、マケドニアが誇るファランクス
の動き、アレクサンダーの指揮能力の高さ、そして個人的な目的
(ダレイオスを追うことなど)を素晴らしい演出で見せてくれます。
これはほとんど息をのむほどの完成度です。すべてが計算されています。
粗雑なショットなどひとつもありません。登場人物の声が聞こえないのも、
砂嵐で何が起きているかわからないのも、目的を失った結果ではありません。
アレクサンダーも、ヘパイスティオンも、兵士たちは皆
単なる殺人鬼、それも、どんなに美化したところで征服という目的のため
に殺し合う者たちです。何度かアレクサンダーに、「世界をひとつに
団結させ、秩序をもたらす」云々と語らせてはいても、監督は最後まで
この事実から眼を背けはしません。
アレクサンダーの征服に、観客が納得できる目的を持たせることなど、
出来るはずがありません。彼は当時西洋で知られていたほとんどの世界を
征服した、ただそれだけが私たちの誰もが一致して納得する事実なのです。

「アレキサンダー」は、そんな映画です。感情移入もほとんどなく、
共感できる個人的な経験もひじょうに少ない。ですが、現代人とは
かけ離れたまったく無関係とも思える彼らが、ふとした場面で、
二千年以上の時間を経てなお私たちが共感(少なくとも理解)できる
愛や友情、嫉妬、憎しみといった感情や、人間関係の軋轢を垣間見せて
くれる、前回日記に載せたレビューにもあるように、人間の本質的な部分は
何も変わらないということを教えてくれる、そのことはおそらく、
あまり大勢ではない人々の心を打つのではないかと思います。

いろいろと書きましたが、この映画に関する率直な気持ちはこうです。
この映画を長らく待っていたよかった。欠点も失望もあったけれど、同じくらい
期待も上回りました。とにかく、想像もしてなかった映画だったことは確かです。

しかしながら、この映画のつくりや演出には致命的な失敗や欠点が多々あります。
まず、話に聞いていた通り、冒頭はブケファラスと少年アレクサンダー
の感動的なシーンの挿入さえなければ、致命的でした。
なんとかブケファラスのシーンで間を繋いだかと思います。
私は過去や現在を行き来すること自体にはそれほど違和感を感じません
でしたが、アンソニー・ホプキンスはやはり喋りすぎです。
特に最後ま言い過ぎました。面白いことは言っていますが。

展開は練られていて、大王史を知っていれば唸るような
演出も多々見せてくれます。しかし、最初は唐突すぎるし、
ヘパイスティオンの死後は短すぎます。このあたりはもっと書きたい
のですが、ネタバレをいったん避けて、また明日見てから別枠で。
ガウガメラに突然飛ぶシーンなどは、斬新で面白いと思いました。
ガウガメラは何度も言いますが、あのシーンのために1800円を
払ってもいいくらいです。戦闘に入る前の大王のスピーチなども
演出がうまいんだ〜。アレクサンダーの声を聞こえなくしてみたり、
一人一人の部下に話しかけたり。

あるいはこれも監督の意図したことか、と思える欠陥のひとつは、
人物の動機付けや立場というものを、観客の想像に任せすぎです。
私がこの映画でまったく失望させられたのは、何を隠そうアレクサンダー
とヘパイスティオンの関係でした。キスやセックスがないことなど、
問題ではありません。問題は、なぜ彼らがそんなにもお互いを
必要としているのかが、最後までわからないことにあります。

ネタバレになりますが、最初にプトレマイオスが回想の中で、この
有名な名句を口にします。「アレクサンダーはたった一度だけだが負けた
ことがある。ヘパイスティオンの腿に」。
残念なことに、映画ではアレクサンダーはヘパイスティオンの人となりや、
自分への理解といったものをこよなく愛したというよりは、本当に単純に
「腿」にでも夢中になっているかのようです。それほどまでに、
アレクサンダーがヘパイスティオンのどこに夢中なのかが
描かれていません。
これは「キング・アーサー」のアーサーとランスロットや、「トロイ」の
アキレスとパトロクロスにも言えたことでした。
彼らはお互いを大切に思っている。けれども果たして、
何故? 映画のどこにもそれに対する答えはない(もちろん、
アキレスの愛は家族愛に摩り替えられてしまった)。
当然ながら、私たちは実体験と照らし合わせ容易に想像することはできます。
ですが映画においては、良い物語においては、それではいけません。
腐女子つながりでいえば、マスター&コマンダーのジャックとスティーブン
は、その描写がちゃんと盛り込まれていました。二人はどこでどう出会ったか
など口にはしないのに、大事なことはちゃんと観客に伝わりました。
スティーブンは、軍人としての義務や、あるいは狩人の本能に従って
アケロン号に固執するジャックを、ふと立ち止まらせてくれ、ジャックの
陽気で愛情深い人間性を取り戻してくれる大切な友であり、厳しくも常に
支えてくれる人物として、見事に(やや美化しつつ)描かれていました。
サムとフロドなども、その良い例でした。
だからこそ、これらは素晴らしい映画となり得たし、人を感動させることができたはずです。

男同士が男女の関係よりも時に感動的なのは、男女間では「恋に落ちる」
という説明不要な関係の構築が、男同士では容易に成り立たないために、
「何故?」の部分をどうしても必要とするからかもしれません。
そう考えると、当時のマケドニアでは容易に男同士が恋に落ちていた
わけだから、確かにアレクサンダーとヘパイスティオンの愛は分析の
必要がないのかもしれません。
でも繰り返しになるけれど、良い映画においてはそれでは駄目です。
映画では二人のシーンのひとつひとつに感動したし、最後には涙を流し
ましたが、子どもの頃の思い出として、もうひとつくらいシーンを入れる
べきでした。たとえば父と母の不和、二人の偏った愛に少年アレクサンダー
はいつも傷つけれていた。子どもの世界はひじょうに小さく、その大半を
占める両親は心の拠り所であるべきなのに、彼には安らげるゆとりがない。
そんな中で、ヘパイスティオンだけが幼い頃から彼を勇気付け、いつも
味方になってくれた。彼が泣いていると、幼いながらなんとか笑わそうと
努力してくれた……そんなシーンや、せめて回想する会話があれば、
誰もが「アレクサンダーが大人になって尚、ヘパイスティオンにかなわない」、
ということに納得できたはずです。

対照的に、父と息子、母と息子のシーンには余計な動機付けや説明が
なくてひじょうによかった。このテーマは誰もが理解できるものなので、
特にフィリッポスとアレクサンダーの関係はとてもよかったです。


部下たちに関して言えば、これも想像に任せすぎです。特にカサンドロス
の中途半端さはいかがなものか。ジョナカサは文句のつけようがないほど
素敵でしたが、もっと精神的にアレクサンダーやヘパイスティオンと
絡んでよかったんじゃないだろうか。惜しいなあ。いいシーンはたくさん
あったのに。
若いプトレマイオスは信じられんことに、すごい萌えてしまったのですが、
彼も、もうあと二言くらい台詞があれば、より立場を明確にできたのでは
ないでしょうか。

バゴアスは中途半端だった! 微妙だったな〜。

でも一番残念だったのはヘパイスティオンです。ただ、彼に関しては
期待しすぎていたファンが悪いので、オリバーのせいでもジャレのせい
でもないのでしょう。実際、ジャレは最高でした〜。
スラッシャーも、「ヘパはOkっていうくらいだ」と言っていますが、
確かに、これでは何も知らないファンは「あの、アレクサンダーの男」
とうような言い方しかしないです。彼がちらっと個性を覗かせていた
といえるシーンは、ロクサネの結婚式の夜くらいでした。あの時の彼は
アレクサンダーじゃなくてもよろっといっちゃう。
ああしかし、ヘパはその死以外では、たいしてアレクサンダーに影響を
与えていません。悲しいかな、それが映画のふたりです。
もともと、オリバーは大王が好きでこの映画を作ったので、大王以外の
キャラが個性を欠くことは仕方ないことですね。

もちろん、補完は同人誌にて。
映画の大王は、想像よりも受でした。これは、間違いなくオリバーが
彼を受として考えているためでした。コンセプトが受ならしょうがない。
ヘパが受っぽいとこは滅多になかったのは悲しかったんですが、
コリン大王にはすっかりハートを射抜かれたので、大王受の路線に
やや軌道修正か。うーん、でも映画のヘパは攻めでも、たいして萌えない。
ただ、大王がヘパのことをさして言う「彼は大勢に憎まれていた」
という発言は掘り下げるとおいしいか。
どちらにせよ、私はリバでいきそうです。大王は総受っぽいけど、
私としてはそう単純にしたくはありません。特にバゴアスやロクサネ
に対しては攻でちゃんとやりたい。クレイトスは大王には攻だけど
フィリッポスには受であって欲しい。

それと、「こんなシーンがある」と書いたもののにけっこうデマも多かった
ので、その話もまた。


でも、スラッシャー的には大ブレークは間違いなし。
アレ&ヘパが霞むほど、美形ホモでこの映画を埋め尽くしたオリバーは凄い。

明日は、男同士のキスの数を数えてみます。バゴアスと大王のキスは、
想像してたよりはるかに濃厚でした。
バゴアスのダンスは…ありゃ本人も役者たちも絶対赤面したろう!

あ、そうそう!! トレイラーなどにああった大変な台詞がいくつか
入っていませんでした。そのひとつは、大王がヘパに言うという
「今夜はそばにいてくれ」です。他にも、私が感動したはずの台詞が
かなりありませんでした。オリバーは最近のインタビューにて、
SEEのようなものは作らない、と言ってるので、どうなるんでしょう…。

では、次回は単なる萌え話を書き散らしたいと思います。
フィリッポスの婚礼の宴はまるきり台詞が聞けません
でした。あんなに男同士でそこら中でキスしたり触りあったりしてる映像
見せられちゃ、頭真っ白で台詞なんて聞いてられません。

カサンドロスの大王への軽いキスなんかを思い出すと、カサンドロスは
やっぱり大王に横恋慕してる設定なのか…。クレイトスは大王に
「愛してるぜ」と言ってキスし、するとヘパが後ろからクレイトスを
嫉妬してか羽交い絞めのようにして、今度は二人でキスを……。
いや頭がまっしろで、頬にか額にか唇にか、そのへんはまた明日チェックして
きます……。ぺルディッカスが想像よりハンサムで素敵でした。
彼も誰かとしてたっけ。フィリッポスも男とキスしますよー。
じゃれあい、パウサニアスの蹂躙シーン(ほんのちょっとだけど)などは
もう、萌映画史に残る金玉字塔です。
オリバーはアレとヘパをキスさせず、シャイ・アウェイしたとか書かれて
ましたが、そんなんじゃねーよ! おっさん、やりすぎだよ!
腐女子の私すら動揺させるとは、おのれ〜。

ゲイリー・ステッチのクレイトスがすごいいいと聞いてはいましたが、
なんかもクレイトスが頭から離れない……。大王が「女と楽しめ!」
みたいに言ったら、クレイトスが男を腕に抱き「男もな!」と言うシーン
があり、観客からは微妙な笑いがあがってたけど、ぞっとしてる観客は
もっといたことでしょう(笑)。でも案外、ホモシーンのギャグ?は
うまく出来てて、笑いがあがってました。でもアレ&ヘパのシーンは
ほとんど笑いなかったです。あっても、スラッシャーぽかったです。
クラテロスやレオンナトスもよかった〜っ。伏兵はプトレミー。
出番少ない割りにかっこよすぎです。
フィロタスとパルメニオンもよか〜っ。

いつまでも寝れそうにない……早くまた明日(もう今日)の朝
二回目を見てきたいです。


コメントもこちらから。私が旅の途中で撮っただいたいが欧米の風景写真が表示されます(地味に交換してます)




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