- Daily *萌* -
DiaryINDEX|past|will


2004年10月14日(木) 叙事詩の中の同性愛描写の欠如と、トロイ王家の受性

今日は凄いニュースをたくさん携えてやって参りました。
17時までちょっと原稿の手を休めて(切羽詰った雰囲気がリアルだ)。

まず、数日前に登場したアレクサンダーとヘファイスティオンの
幼少時代のツーショットです。かわいすぎる……。
ヘファイスティオンの髪型がイマイチという人もいますが、
私はこのくらい男の子らしいのもまたよいです。



二人とも、綺麗だなあ。ギリシア男の不埒な妄想が乗り移ります。
ヘファもアレクサンダーとの対比ということであんまり綺麗な子は
使わないかと思っていたのですが、とっても綺麗な子でありがたい。


アリストテレスらと少年たち。

武将たちに戦術について話すアレクサンダー。

他にもまだまだ出てきましたが、このへんで。

今回の目玉はこれですとも!
ガウガメラの戦いのシーン50秒

出てきました、大王の合戦スピーチです。最近の萌え映画にはつきもの(笑)
の将軍が味方の兵士を鼓舞するシーンです。一瞬カッサンダーなども。
ダレイオスとベッソスも登場します。ぶるぶるっと痺れがきました。
だいたいこんな感じでしょうか。

Alexander:(?) when i ask you why you fought so bravely, you will
answer with all these strength and your great, great hearts.
I was here this day in Gaugamela,for the freedom
and groly of greece.

ギリシアの自由と栄光というあたりが巧妙な大王。

アレクサンダー、鷲(ゼウスの化身と言われる)を見上げ、
Alexander: Zeus be with us!

うーんかっこいい。この前後を見れば、アレクサンダーと一緒に馬を
走らせているのが誰かもわかるのでしょう。一人はカッサンダーの
ようだけど、もう一人はヘファイスティオンだったらいいな。

Darius :Where does he go?
Bessos :I don't know, majesty
Darius :envelop him, bessos.

この会話がいいですね。ダレイオス「あいつどこ行く気?」
ベッソス「あ〜知りません、陛下」
ダレイオス「あのチビを包囲しろ」

それから、前にタイトルを紹介したサウンドトラックの試聴が可能に
なりました。出てきたクリップを見たところなんの問題もなさそうな
ヴァンゲリスですが、最初は少し「やりすぎ」感がありかも、と心配
していました。
こちらで試聴

The Drums of GaugamelaとRoxane's Veilがお気に入り。
Eternal Alexanderは続きが聴きたい。やっぱり、雰囲気的には
ヘファイスティオンが死ぬのはImmortalityかな。

ところで、また新しい本がアマゾンから届きました。いくつかは
19世紀の本なのですが、一つは相変わらずギリシアのホモセクシュアリティ
の本(洋書)、日本語でも「古代ギリシアの性と幻想」という本を
買ったのですが、面白いんだこれが!!
原稿中だし、ちょっとだけよv と油断したら半分まで読んでしまった。

中には衝撃的な話もあり、その糞食い昆虫に乗ってゼウスのもとまで
天高く飛んでいく物凄い話はまた今度にして、今日はアレクサンダーにも
イリアスにも共通する面白い話が書かれていたので、ご紹介。

なかなか要約が難しい話なのですが、トロイの公開、大王映画の同性愛
に関する噂で一部で議論が紛糾した「彼らは果たして恋人同士だったのか」
という疑問に対するひとつの見方です。大王映画においては、
アレクサンダーとヘファイスティオン、イリアスにおいては
アキレウスとパトロクロスなどが有名ですが、ほかにもゼウスと
ガニュメデス、ヘラクレスとヒュラスなど、
現代に至るまで「連中はホモだったのか」と私たちにどうでもいいが
放ってはおけない疑問を抱かせる素敵なペアが古代ギリシアには
存在します。その半分は、ギリシア神話の領域の人物たちです。

ゼウスとガニュメデスの話は以前日記に書きましたが、
地上でもっとも美しいトロイ王家のガニュメデスに欲情したゼウスは、
鷲になりすまし(一陣の風とも言われている)彼をさらってきて、
自分のお酌をする愛童にしてしまった、という話です。ガニュメデスが
いなくなり嘆いた父親を慰めるためにゼウスが空に上げたのが、
水瓶を持った少年の姿をした星座、私の星座である(いらんミニ知識)
みずがめ座です。

誕生星座で、比較的由来を語る機会が多いということもあるのでしょう、
現在この物語は、色魔ゼウスの肉欲にまみれたハァハァする物語として
語られることは少なく、その性的なニュアンスは切り捨てられがちです。
学者の中にも、「美しい少年をさらったとはいえ、はっきりと二人の
同性愛関係を書き記したものはないので、両者間にセックスが
あったかはわからない」という人もいます。
これは、アレクサンダーとヘファイスティオン、アキレスとパトロクロス
においても同じように言われていることです。

そうした研究家は、とりわけ偉大なホメロスの叙事詩をあげて、
イリアスの中には一度もそうした赤裸々な記述は登場しない、と主張します。
確かに、アキレスとパトロクロスは「二人で身を横たえる」だの
「身を投げかけあった」だのという非常に回りくどい言い方こそすれ、
「愛し合った」とまでは言明されていないし、イリアスに二度登場する
ゼウスとガニュメデスも、「美しさのあまりさらった」などと描写されるに
とどまり、性的な関係を匂わせるものはないといいます。

けれど、ホメロスが偉大な叙事詩に彼らのセックスのことを言明しなかった
からといって、ホメロス自身が彼らの同性愛関係を認めていなかった、
ということには決してならない、ということが、ここには書かれています。


「ゼウスとガニュメデスとの肉交を伴う同性愛を物語る話素が、この神話
に紀元前6世紀になってから付け加わったもので、それよりも前のより
古い神話にはまだ含まれていなかったとする、錚々たる
専門家たちの主張には、首肯することができない。なぜならまず、
名著「クロイたちとクレテスたち」の中でジャンメールが、この問題と
関連付けながら、「もっともこの種の関係のことは、叙事詩の中では
明らかにことさらに、無視されることが知られている」といみじくも
述べているまさにその通りに、古代ギリシアの叙事詩の中では、一般に
同性愛のことに露骨に触れるのを忌避する原則が、ヘレニズム時代の
作品でも、なおはっきりと墨守され続けている。


たとえばアポロニオスの叙事詩「アルゴナウティカ」において、
ヘラクレスに伴われてアルゴ船の遠征に参加した美少年のヒュラスが
水を汲みに行っていなくなり、彼をヘラクレスが夢中になって
探している間に、アルゴ号の乗組員たちに置き去りにされたという
なんとも間抜けなそれでいいのか英雄ヘラクレスなエピソードが
語られているけれども、当時ヘラクレスとヒュラスの間にあったと
一般的によく知られていた同性愛関係のことは、叙事詩ではその
長い叙述のどこにも、はっきりと歌われてはいないそうです。

また、ホメロスも「(詩人たちは)暗黙のうちに、ゼウスとガニュメデス
の間にはやはり、肉交まで含む同性愛の関係があると見なしていたことが、
強く示唆されていると思われる」そうです。

この話は長くなるので割愛しますが、アフロディテがトロイの絶世の
美男子(人間)を誘惑してセックスをした後で、神と交わったことで
恐れおののくこの美男子アンキセスを、彼女は
「大丈夫、曙の女神エオスも同じように絶世の美男子を攫ったし、
ゼウスだってガニュメデスを攫ったんだから」と気まぐれに慰めます。
ここで、ふたつの人間と神のペアを併記していることを思えば、
ホメロスがはっきりと叙述しないまでも、
「ゼウスがガニュメデスを自分の愛童にすべくさらって、
同性愛の関係を結んでいる」という伝承に則り、作詩したという
ふうに考えるのは、自然だ、とのことです。

そもそも、ゼウスとガニュメデスが愛人関係だったというのも、
一般的に考えられていたことだといいます。
たとえば、メレアグロスの短詩は、「自分が今熱愛している
少年の非常な美しさに目をとめたゼウスが、昔ガニュメデスを
攫った時のように、また再び鷲に化身をして、その美少年を
攫いに繰るのではないかという懸念を表明している」そうです。

そのメレアグロスとかいう変態の詩↓

「もしもゼウスが今もなお、ガニュメデスを、若さの花の盛りのときに、
 ネクタル(神の酒)を注ぐ、酌童にするため、攫っていかれた、
 その同じ神であらせられるのならば、
 それならばこの私とて、美しいミュシコスを、胸の内にしっかりと
 抱きしめて、隠しておかねばならない。
 私が気づかずにいるあいだいに、彼が翼を、あの少年の上に
 投げかけることが、けっしてないように」

というわけで、メレアグロスはハエが飛んできても、「なぬ!? ゼウスか!?」と
じたばた焦ったらしいですよ。
そういうくだらない詩も書き残しています。


当時、同性愛は(少年愛ととどまるものですが)男の嗜みとして
普及しており、男女の関係よりも男同士の方がすばらしいもの、とされて
いたと言います。それでもなお、叙事詩の中では同性愛関係を忌避する
傾向にあったというのは、やはり自然の摂理に反していると、どこかで
感じていたのかもしれないですね。

アレクサンダーまでいくと飛躍しすぎかもしれません。彼らは実在の人間
だし、こうした叙事詩全盛の時代より後世の人間です。また、マケドニア
というお国柄も考慮すべきところです。

ですが、アキレスとパトロクロスを、ホメロスがその関係を明言しなかった
という理由で「愛人同士ではなかった」とするのは、やはり不自然に
思えてきます。

ところで、イリアスのトロイ王家は神話学者のディメジルによって、
「三機能体系」と名づけられた、インド・ヨーロッパ語族の神話に
共通する世界観を反映した構造を持っているそうです。
「その中でトロイの王家の人々は、デュメジルの言う
『第一機能(宗教・主権・正義など)』と「第二機能(戦闘、武勇、暴力など)』
を代表するアカイア軍の英雄たち(アキレスら)に対抗しながら、
「第三機能(豊穣・富・愛欲など)』の担当者の役割を果たしていると思われる」
とのこと。
「彼らの間にもしかし、ヘクトルのようなきわめて気高い戦士が、
いないわけでもないが、その彼は本質においては平和的で、止むを得ない
場合にしか戦いをしない。じっさいのところトロヤ人はたちは、一方で
富と多くの娘たちの美しさのおかげで、他国の勇士たちの献身を購い、
それによって富者たちである彼らのもとでは、欠如が実は深刻な
第二機能を補填しながら、敵と戦っている」

ようするに、我々腐女子が「トロイ王家って受だよね〜」
「父も子もメスっぽいよね〜」と言っていたのは大正解だったということ
ですね。こういうイメージを決定してくれたと言う意味では、ペーター腺
は実によくやってくれたのかもしれません。

ファラミア漫画もこの調子だといけるかもしれません。
がんばって描いてます。


コメントもこちらから。私が旅の途中で撮っただいたいが欧米の風景写真が表示されます(地味に交換してます)




WEB拍手のレスはこちらから DiaryINDEX|back|new

RPSのきわどいのはマイピクに上げてます。気軽に申請してください。

変態の本性を晒しているアカ。slash ficレビューなども。Follow me now!

Not His Day (footballのID&PW制同人サイト)
RPS小説のページ。ID&パスがわからなくなったらこちらから再入室をどうぞ
ジン |MAIL |HomePage