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2004年08月02日(月) 「キング・アーサー」のレビュー

今もHPが表示されるまで2分ほどかかりました。
本格的にさくらネットにサーバを移すべく、契約も済ませました。
徐々にデザインをこしらえてって、移そうと思っています。しばらくは
ベッコアメの方からジャンプできるようにしますので、お手数ではありますが、
ブクマとリンクの変更をよろしくお願いします。またお知らせします。
いろんなところが適当になってますので、整理したいです。

この下は、キング・アーサーのネタバレがあります

今日はやっと「キング・アーサー」を見てくることができましたよ〜。
個人的な感想は、何を隠そうすごく面白かったです。
当然ながら、「微妙だ」という大多数の意見には異論を挟む余地なく賛成で、
アーサー王の映画と名乗るのはまずいかと思いますが、思っていたほど
悲惨ではありませんでした。この映画を見て抱いた感想として、
私はアントワン・フークワー監督の映画スタイルが好きなようです。
鉄の頑強さや大気の匂いや、人肌のざらつき、馬の筋肉の躍動などなど、
撮影監督のアップやズームがとても上手で、重みのある、生々しい映像
になっていました。前作の「ティアーズ・オブ・ザ・サン」は戦争映画で、
こういう特質を持った映像にはうってつけの被写体だったし、
フークワー監督を一躍有名にした「トレーニング・デイ」でも、
ロスアンジェルスの腐敗した雰囲気が映像の中でちゃんと呼吸していて、
それゆえあの映画は説得力を持っていました。
中世という暗黒時代を描き出す人物として彼に白羽の矢を立てたのは、
さすがブラッカイマー、と思います。

ナイトレーはまた別の理由でキャスティングされたと考えて除外したと
しても(彼女とて悪くはない)、役者は皆、与えられた役割を演じ、
とってもよかった。特にアーサー王のクライヴ・オーウェンと
ボース(ボールス)とセルディクの役者が堅実に役をこなしていたという
感じがしました。

私の個人的な意見としては、やはりその名を借りて映画を作る場合、
いろんな解釈があっていいとは言え、行き過ぎた説得力のない自己解釈は
非難されてしかるべきだと思います。トロイなどでもいえたことですが、
著作権などの問題をクリアすれば、誰にだって自由に解釈し映画にする
ことが出来ますが、それは同時に批判を受けることも当然、という立場に
自分を置くリスクを受け入れることでもあります。だから見る側は、
いくらでも遠慮なく批判していいし、クリエーターはそのことを気にしても
気にしなくてもいいのです(それは基本姿勢に過ぎませんが)。
この映画がアーサー王という冠をかぶりながら、まったく伝説を
無視していることで、ファンが怒ったり、批評家が酷評するのは当然のこと
です。時にはラディカルすぎる批判は不快に感じられるけど、批判がまったく
出てこないことの方が異常なことです。

これを前提にしながら、私としてはこのペンドラゴンの息子ではない
ローマ人とブリトン人の庶子であるアルトリウスとしてのアーサーを、
とてもよいと思った。これはアーサー王としてではなく、ブレイブハート
のように「アルトリウスという男」の物語として描かれるべきでした。
この陰気で、真面目すぎ、アイデンティティを見出せず苦悩する男は、
主人公にしておくには趣き深すぎるほどです。
まず彼の信心深さ。この百年前にミラノ勅令によってローマ人は
キリスト教を受け入れ、彼らは占領地で布教の名目のもと異端を
迫害しましたが、ローマ人の庶子として育ったアーサーもキリストの
教えを信じています。でもランスロットや、彼の他の騎士たちは
小ばかにして逆にキリスト教を異教と思っているところなどが
面白いです(彼らは土着の神を信じていたと思いますが、映画の中の
ウォードのマーリンは、ドルイド僧なのでしょうか)。
中世を完全に支配していたキリスト教の実情は、映画に描かれていた
ように、妄信的で、独断的で、自覚を持って腐敗している者までおり、
これは堕ちるところまで堕ちたローマ社会となんら変わりません。

紀元後100年あたりから目に見えて退廃しまくっていったローマは、
映画の舞台となる400年頃には衰退の一途を辿っており、その頃
異民族に攻め入られ始め、ブリテン島の駐屯軍を撤退していきます。
でも、たぶんこれはアーサーが本国から遠く離れたブリテン島に
いることも大きいのでしょうが、彼は退廃したローマの真の姿を
が見えていません(それとも見たくないのか)。古代ローマ全盛時代の
尊い哲学を信念として貫こうとするあまり、映画の中で、
「お前が信じているようなローマなど実在しない」と
アーサーは何度か言われます。見ようによっては、アーサーは古代の
理想に取り付かれてるような感じです。

つまり映画の中のアーサー(アルトリウス)は、モラリストです。
その点が、他の騎士たち(ランスロットとさえ)と違うところです。
このモラリストとしての苦悩に加え、彼はローマ人でもブリトン人
でもない自分の不確かなアイデンティティにまで苦悩します。

ところがサクソン人の襲来によって、彼の中に郷土愛やアイデンティティ、
宗教に縛られないモラリズムが確立していくわけです。
これが、この映画の根底にあるテーマだったように思います。
そしてこの映画においては、これがもっとも見ごたえのある部分で、
アーサー王伝説とはまったく関係がありません。

彼が変わっていくところは、個人的には見る価値があったと思います。
でも、肝心のグイネヴィアやランスロット、騎士たちとの関係には、
ずいぶんと付け足したようなところがあります。萌え話はあとで
スパークするとして、ランスロットとアーサーでさえ、穿った見方を
しなければ、これといって魅力的なエピソードがあるわけではない。
台詞の上では「第一の友」などと言っているけど、では実際に
性格のまったく違う二人が、お互いのどんなところにそこまで友情を
感じているのか
ということは、はっきり描かれていません。
彼らはぶつかり合っているばかりです(無論萌え殺しではあります)。
ランスロットに、「苛々するが、お前の融通のきかない実直すぎる
ところが、俺には魅力的だ」というようなシーンが、ワンシーンでも
あれば違ったのでは、と思います。これは同人誌でやるしかない!

ランスロットはとても素敵だったし、ときめきましたが、映画の
シナリオにおいて担った点を考えると、なんらアーサーに累を及ぼして
いないところが残念です。騎士たちの代弁者として、アーサーとは
異なった性格、生立ちのキャラとしてぶつけていくだけです。
グイネヴィアとの関係なんて、うっひゃ〜ひどいもんだ。
ただし、スラッシャーとしては言いたい。完璧だ! ランスロット!
ランスロットの前後ナレーションも、彼が死ぬことを思えば矛盾してます。

グイネヴィアの使命は、アーサーに「どこへ帰るべきか」を問いかけ、彼を
誘導することだったようですが、このあたりは最後の婚礼に至るまで
イマイチ、グイネヴィアが打算的すぎるように見えて興ざめです。
私は彼女が現代的にか、当時そういうこともあったのかわかりませんが、
剣と弓もち戦うことには、それほど抵抗は感じませんでしたが、
最後までアーサー王の人間性に惹かれたわけでなく結びついた、という
見方は、きっと間違いではないと思います。この映画を見て、
二人が心から愛情を抱きあっていると解釈することが出来る親切な
観客は、きっと少ないはずです。そうなると、婚礼の際の、
あの「心から夫を愛している」というような笑顔は不釣合いです。
厳かな表情で、民族の融合を表現すべきだったように思います。
アーサーの方は政略結婚ぽいままでよかったです。
彼女が男っぽく戦うことに、それほど意味があったかは疑問です。
ブラッカイマー映画的には必要だと判断したのでしょうが、本当に
観客がこのようなヒロインを求めていたのかというと、たぶん違います。
そもそも、この映画をブラッカイマー映画と呼べるかというと、
明らかに別物です。興行成績も、ブラッカイマー映画としては最悪の
公開一週目で第三位という結果に終わったそうです。

フークワー監督は、トレーニング〜でも、ティアーズ〜でも、この映画でも、
男たちのタフネス、使命感、友情を描きましたが、どれを見ても
ヒロインはイマイチ。ないがいろにしてるというより、男と同じように
描くことでバランスを崩している気がします。
そして、これらのテーマは現代ではそろそろ受けるものではなくなって
きている気がします。女性を中心に見放しはじめています。
もちろん、私は好きだ!
また、民族と民族の戦いに名誉を求めることは、現代の風潮では西部劇に正義を見出す
ことと同じくらい難しくなっているのではないでしょうか。

戦闘シーンでも批判が出ていましたが、多くは指輪やトロイで見たから
飽きた、という雰囲気から出たものだったようです。でも、ここで監督は
描きたかったのは中世の戦い方であり、たとえばピッチを使っての火責め、
煮だった油をカタパルトで飛ばすなどは、いかにも中世らしい戦い方です。
私はなかなか楽しみましたが、確かに長すぎたし、映像が早すぎて目がついて
いかないとこも。キャラが多いだけに緩急をつけないと、何がなんだか
わからなくなります。

一番ひどいシーンは、ランスロットが死んだ時に、
「私がかわりに死ぬべきだった」の一言でアーサーが片付けてしまった
ところでした。また苦悩かよ! とツッコミです。

とはいえ、良いシーンもたくさんありました。サクソン人のセルディック
はすごくいいキャラですね。ボースもよかったです。

ここからは萌え話です。いや〜萌えた萌えた(笑)!
アーサー王が一番気に入りましたが、ランスロットは受けっぽい。
この映画では薄っぺらな男に思えましたが、だからこそ苦悩のアーサー
との対比がうまく出てました。アーサーの苦悩とこだわりに納得できない
ために、じれ続ける感じ! そこにグイネヴィアが現れ、彼を変えて
いくことに嫉妬しつつ、自分もグイネヴィアに惹かれかける……という
微妙な三角関係。アーサーって、堅物そうですね。私としては、
完全に童貞だったりしたら面白いと思います。まるでアレクサンダーだ。
だけど男との関係はけっこうある。ランスロットもそのひとり。
一方、ランスロットは女好きなのに、アーサーには抱かれたい。
最後は、アーサーが愛した女を守ろうとした、と考えるとおいしいです。

お次はガラハットとガウェイン! げっこいつらラブラブだ!
伝説においてもふたりはラヴラヴです。ガウェインはガラハットが
天に召されて後追い自殺みたいなことしちゃいますよね(よく覚えてない)。
そして男前なダゴネットとボース…! ボースがダゴネットに
stay with me! stay with me! と叫ぶとこが〜。
あとトリスタンと鷹。 もちろん鷹攻めで。

それと、あのローマ人の良家の息子とアーサーもおいしいです。
最後に、「お前は証人だ」と言いますけど、絶対アーサー、
大人の男としての手解きを施したはずだ。 若者は
蛮族の男への熱い思いを胸に、ローマへ。

あと、ダゴネットとルーベンとかいう少年。ひゃーー萌えたっ。
セックスなしで。指輪を取るシーンがいいですね〜。

萌えたといえば、セルディックの息子のシンリックにも萌えた。
踏みつけにされる男は萌えます。あと、間者のローマ人(ブリトン人?)
にも萌えました。きっとあの親子に酷い扱いを受けつつ、喜んでた
んですよ。

と、映画の隅々まで萌えを探して見ていました。なんとか
映画コンプレックス本に、イラストくらいは。


それでは、長くなりましたがキング・アーサーのレヴューでした。


コメントもこちらから。私が旅の途中で撮っただいたいが欧米の風景写真が表示されます(地味に交換してます)




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