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2002年12月31日(火) TTTのよい批評と、指輪の魔力のこと

やはり、今後日記を書くうえでいつもTTTのことばかりだと
普段普通に読んでくださっててTTTネタバレはいや、という方
に申し訳ないと思い、TTTの具体的なことは別のテキストを
用意することにしました。
というのも、とてもありがたいことにこの日記を読んで
くださる方がなかなか多く、実はサイト訪問の目的の
大部分はこれ、ではないかと最近思うようになったからです。
TTT観賞直後にサイトのカウンタが一日で500以上も
回ったのもこれのためなのではないかと思います。
今は平常通りに戻りましたが。

……とはいえ、TTT中心ネタになってしまいます。
具体的なネタバレのないTTTばなし。

最近出てきた批評家(ファンではない)のレヴューにとても
共感できるものがありました。
こちら

TTTを批判するファンの多くは、原作と違うという理由に縛られて
いるからです。映画と本は違うということでaccepting sttitude
(柔軟な姿勢、寛大に受け止める態度)が必要だということが
どこかの掲示板にありましたがその通りだと思います。
そして、レヴューはファンもここにきてひとつ上のレベルで
議論するようになってきました。

そこでこのレヴューがいっていることは、
「PJはトールキンの原作で述べられていることを、
よりドラマチックにするために1,2段階高いレベルに
押し上げたのだ」ということです。
ここに例があげられていますが、ライトなネタバレ
をあげるなら
原作ではエントは自分たちがこの争いに属しているのか
確信がもてないが、PJはその姿勢をはっきりさせて
エントに実際にノーといわせています。原作で
セオデンはグリマによって誑かされていますが、PJは
これを直接的にサルマンに支配させています。
これらはすべて原作で曖昧に述べられていた点を
よりドラマチックにするためでした。

これはトールキンへのロイヤリティを疑われても仕方ない
発言ですが、私はひとつのイデア、理想形というものがあり、
トールキンがそれを目指して指輪物語を書いたとして、
時代的限界や小説という手法の限界、あるいは能力的限界によって
その7割しか達成していないということはあると思うんですよ。
残り3割を映画で補ったとすれば、原作に忠実でない
ということになるかもしれません。教授は自分の書いたもの
をいじられるのが嫌いだったというから映画を観たら袖にする
可能性は大ですね。でも、理想形に近づけて観客に提供
することが間違ってるとは言えないようにも思います。
PJはおおよそは他の誰が監督するより原作に敬意を
払っていることは明らかなので、私は原作を補うことには
賛成です。

しかし!!!
補充は認めても、それが逸脱であってはいけない!
このレヴュアーが大事なことを言ってるのは後半。
多くの変更に肯定的で、その上でクリティシズムを持って
書いている彼女?も、どうしても許せないのがファラミア
だと言っています。
たしかにドラマティックにするためのPJのより
高い段階に物事を持っていく手腕は認めたが、
ファラミアに関しては一段階ところがいきすぎだと書いて
います。

私にも言わせてもらうと、冷たい、厳しい、打算的なファラミア
には賛成です。そしてPJが映画として、「FotRで築き上げた
大前提(指輪がいかに強力か)を、突然現われたキャラがいとも
たやすく否定するのはおかしい」もいかにもだと思う。

そこで問題になるのが、「指輪の魔力には本当に誰も逆らえ
ないのか」ということで、そのうえで「逆らえたファラミア
の設定はトールキンのミスなのか」ということです。

私の意見はこう。実は意外と指輪の魔力はたいしたことない!
…ではなくて(笑)、指輪に即効性がない! ということ!
ビルボといい、ガンダルフといい、アラゴルンといい、確かに
面子はホビット、イスタリ、王様、と凄いには凄いが、実は
映画でもちゃんと指輪を拒否してるんですよね。つまり手に取った
瞬間持ち主が豹変する類のものではないわけです。
ボロミアだって長らく平気で旅してたわけです。そこへもってくると
ファラミアなんてフロドとサムといたのはほんのわずかな間です。

「指輪の魔力に逆らえないのか」という問いにはイエスでしょう。
でも充分な知識と時間がなければ、人によっては誘惑されるまで
時間がかかるのです。ガラドリエルが直ぐにとんでもないことになった
のは、彼女があまりに多くを理解していたからですが、ファラミア
は指輪に関してほとんど正確なことは知らないんですよね。
こういう点から考えると、トールキンのファラミアの経緯は
浅慮が生み出したものではないことははっきりしてます。

戻りますが、このレヴュアーは最後にこういっています。
「ボロミアとファラミアの違うところは、ファラミアが
堕ちないところだ。恐らく脚本家は、誰もが強い欲望に
抗えないとして、また抗えることを"私たち"が信じないだろう
と考えたのだろう。だが、私たちは信じられる。
もっとも大事なひとつであるこの物語の心理的要素を
こうして貶めてしまうとはなんと恥ずべきことか」

一方でPJは、「ファラミアが指輪を欲したのは権力欲
からではなく、父親の愛情欲しさゆえだ」という伏線も
ばりばり張っています。間違いなくRotKでファラミアは報われない
ゆえに愛されるキャラに成長するでしょうが、ファンとしては
それではどうも釈然としない。
なぜならば、TTTから愛されるキャラとして描き、
RotKに期待させているその成長過程にまで、うまく繋げることは
可能だったと思うからです。SEEではかっこいいファラミアが
拝めるでしょうが、多少柔軟になっても指輪を奪おうと
してる時点でアウト
というのが大方の見方です。
私は父の愛ほしさゆえならまあいいとして、少なくとも
劇場版でそれをほとんどの人に伝え切れなかった、また
同じ指輪を奪うにしてもああいうアプローチ以外の手だてが
あったはずだ、という時点で賛成できない点が多いです。
と、いうわけで今度自分ならどう描いたか考えてみよう。
言うは易しですね。



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