まずはアルウェンとアラゴルンのラインです。エオウィンと アラゴルンもよかったのですが、画面から馳夫の愛が伝わって くるのは、やはりアルウェン相手でした。 以下ネタバレあるなし版に分かれていますが、原作の ネタバレはいずれにもあります。 圧巻は、PJの独自解釈映像。といってもほとんどすべて そうなわけですが、特にエルロンドが娘を連れてヴァリノオル へ渡ろうと説得するシーン。これにはやられた。 その前のエルロンドとアラゴルンの口論ともいえる 会話も哀しいです。 <ネタバレあり> 最初にアルウェンが登場するのは、エドラスから民を 引き連れてヘルム渓谷へ移動する最中です。春の朝陽の ように冷たく美しい(だったかの)エオウィンの笑顔に、 アラゴルンは愛する人を思い出すわけです。これは ボロミアやレゴラスではなくアルウェンです(当たり前だ)。 白いペンダントを渡された時のFotRの会話が蘇ってきます。 そして「もうおやすみなさい」という優しいアルウェンの 言葉。 裂け谷でカウチに寝そべりやすらかな表情のアラゴルン。 アラゴルン「眠っているよ」 うっすらと目をあけると、アルウェンが口づけます。 「夢だ……」思わず出る言葉。 そしてこの言葉が、アラゴルンにとっての、アルウェン との関係の全体なわけです。それがひどく哀しく感動的です。 追補版でも、映画の一部でも描写があるように、彼ははじめて アルウェンと森で出会った時、それはまるでベレンがルシエン と出会った時の如く、「夢の中に迷いこんだのかと思った」。 彼にとっては一生に二度とない、そして同時に決して許されない 愛なわけで、まだ、自分がこのひとの愛をいただけたことが 信じられないんですよね。深い罪の意識も感じているわけです。 するとアルウェンが、「ならばいい夢ね」と囁きます。 そして美しい枯れ葉に覆われる斜陽の東屋から遠くを眺め見ます。 アラゴルンは現実の痛みを顔に浮かべてエルフ語で言います。 「貴女はかつて、いつかこの日が来ると言った」 アルウェンは言います。 「貴方はフロドと共に行かなくてはならないわ」 これにより、ふたりが旅立つ直前だとわかります。 この時の会話が胸を打ちます。 私の行くべき道は隠されたままだ、とアラゴルンが言います。 貴方の道はずっと続いている。だから決して怯まないで。 もしも信じるものがなにもないなら、これを信じて。 彼女はペンダントに触れます。「そして私たちを」 密着して瞬きもせず見詰め合うふたり。 この時、エオウィンの「その女性はどこにいるのです? ペンダントをくれた女性は」という言葉で現実に引き戻される アラゴルン。新しい苦い現実の記憶が蘇ります。 裂け谷の夜(もしかするとギルラインの墓の前での続き)、 エルロンドとアラゴルンの口論シーン。 「我らエルフの時代は終わりだ。アルウェンの時間も残されて いない。彼女を行かせるのだ」 彼女はまだ希望を信じている、だから残るのだという アラゴルンに対し、エルロンドは言います。 「彼女が残るのはお前のためだ! 私は娘を死なせたりは しないぞ。彼女は我らの種族に属しているのだ」 この言い分を微塵も責める気になれない、むしろエルロンド にこそ同情してしまうあたりが、アルアラの偉大なところです。 そして、なんと今まさに旅の仲間たちが裂け谷を去ろうと いう間際に、アラゴルンはアルウェンにペンダントを返します。 「貴女は新たな人生を送ることができるのだ。戦争にも絶望にも 哀しみにも背を向けて」 アルウェンは傷つき、なせそんなことを言うのか尋ねます。 「私は定命の者で、貴女はエルフだ。すべては夢だったのだ」 ペンダントを返そうとするアラゴルンに、気丈に、誇り高く 微笑み、「持っていて。これは贈り物だから」というアルウェン。 これが、SE版の複雑な表情のふたりに繋がるわけですが、 つまり旅の間ずっと、アラゴルンはもう二度とアルウェン には会えないと覚悟を決めていたのだ。きっと待っていて くれるなどという希望すら、ほとんど彼は抱いていなかった ということになりますよね。 この深い感動に追い討ちをかけるアルウェンとエルロンドの シーン。 エルロンドは中つ国にはもう希望がないといい、アルウェン は心を決めたのだと言う。けれど、エルロンドのあまりに 説得力に富んだ言葉によって、彼女は灰色港を目指す 他のエルフたちと共に、裂け谷を後にします。 これがどのような説得かというと、 「もしアラゴルンが戻ってきても、もしサウロンが 討たれ彼が王となろうとも、お前は定命というさらなる 辛苦を味わうことになるのだ」 彼はアラゴルンが年をとり、死に、人間の世界が 変貌し、すべてが忘れられ、お前は哀しみに縛られて森を さ迷うだろうといい、そしてその映像が圧巻です。 エレスサール王の葬儀。喪服のアルウェン。まだ威厳が あり風格もあるヴィゴの老いた姿。私が感動したのは、 その手にアンドゥリルが握られ、ボロミアの篭手がされて いたこと。やがて喪服のまま佇むアルウェンだけが朽ち果てず、 王は石造に変わり、背景は廃墟とります。アルウェンだけが 時間の中で取り残される姿。 エルフと人間の愛の哀しさと美しさを完璧に表現した 映像だったと思います。これだ、これだから指輪物語は 人生を半分擲って夢中になる価値があるんだと思いました(あ…)。 続くアルウェンの表情。決め手はエルロンドの一言。 「お前には、もう私への愛は、残っていないのかな」 アルウェンが「いつも愛してるわ、お父様」といって 縋る演技がとてもいいです……。 TTTのアルアラはここで保留です。一部TTTにがっかり した、という人は、たぶんこういうラインにもう少し進展が あることを期待したのと、TTT自体の原作での結末まで 映画が到達せず終わったことが大きいのではないでしょうか。 というわけで、アルアラが胸を打つシーンの連続でした。 まあ少し、アルウェンにはリヴは若いなという気は するかもしれません。むしろ大人の恋として描く方が 素敵かもしれません、とふと思いました。 スラッシュ的には、アラゴルンはレゴラスとかなり凄い んですよ。エオメルとの接触がない分、アラレゴは濃いです! それはまた後日。
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