団長のお言葉
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2003年12月12日(金) 俺は今(浪漫シング調)

少し肌寒い。乗り場にうなだれた無言の数十人の男達が出迎えてくれた。彼らは船が来るのを待っているのだ。オレもそれに溶け込んだ。オレは今、尼崎にいる。船がやってきた。男達に紛れ船に乗った。やっぱり男達は座り込んで少しも会話を交わそうとはしなかった。ただ船が轟々と唸りをあげて我々の存在を滅していた。

 遠くの方に一本の線が見えた。船はそこに吸い込まれるように勢いを上げた。船が止まった。途轍もなくでかい防波堤だった。高ぶるエナジー。ワラワラとオヤジたちに紛れそこに降り立った。

 絶望的だった。力が尽きるとはこういうことなのか。朝、はまちのナブラに無視され昼には強風が吹き荒れた。不毛の昼間を過ごし水平線のずっと遠くを見ていた。

 大体3時ごろであろうか、隣の親父がテンヤ仕掛け(太刀魚釣りで使われるジグヘッド。ワームや生のドジョウをくくりつけ誘う方法。)で太刀魚を揚げた。この光景を目の当たりにしたオレは隣に習いテンヤ仕掛けをぶっ飛ばしたがバイトのみであった。

 バイトのみでも良かった。確かに太刀はヒットしている。何かが足りないのだ。テンヤをよく見ると頭にバイトが集中していることが歯型でわかった。

 俺は咄嗟に思った。アシストフック。これだ。オレはそれをテンヤの頭部にかました。そして一心不乱に投げまくる。次は掛かる。チューンされたテンヤには確かな自信があった。

 ある瞬間アドレナリンが身体に走った。のった。スィープフッキング。確かな手ごたえ。ドラグがキリキリと唸る。巻く巻く巻く。見事揚がったのは小ぶりながら美しい鏡のような太刀だった。

 太陽が傾き一日の終わりを告げようとしていた。しかしここから予想だにしなかったことが起こった。ワンキャストワンヒット。何が何だかわからない。オレは吼えまくった。

 私達、ダストは海は不毛だと言った。しかしこの一日でさらに海の雄大さに身をもって感じた。瞼を閉じればあのカツオのライズが蘇えった。



マグロ