お茶の間 de 映画
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2004年12月01日(水) 「スリープレス」D・アルジェント、初期の作風に回帰。ゴブリンの音楽と鮮血で綴る伏線しっかりのサスペンスフルサイコスリラーの秀作!

『スリープレス』【NON HO SONNO(眠れない)】2001年・イタリア
監督:ダリオ・アルジェント
原案:ダリオ・アルジェント/フランコ・フェリーニ
脚本: ダリオ・アルジェント/フランコ・フェリーニ/カルロ・ルカレッリ
撮影:ロニー・テイラー
編集:アンナ・ローザ・ナポリ
特殊効果:セルジォ・スティヴァレッティ
音楽:ゴブリン 
子守歌(絵本「動物農場」)の作者:アーシア・アルジェント
 
俳優:マックス・フォン・シドー(元警部、モレッテイ)
ステファノ・ディオニジ(“雄牛”の被害者の息子、ジャコモ)
キアラ・カゼッリ(ハープ奏者、グロリア)
マッシモ・サルキエリ(浮浪者レオーネ)
ロベルト・ジベッティ(ジャコモの幼なじみ、ロレンツォ)
ガブリエレ・ラビア(ロレンツォの父、ベッティ氏)
ルーカ・ファッジオーリ(小人症の作家、ヴィンチェンゾ)
ロッセラ・ファルク(ヴィンチェンゾの母)
パオロ・マリア・スカロンドロ(マンニ警部)
ロベルト・アッコルネロ(グロリアの恋人、ファウスト)
バーバラ・レリッキ(娼婦、アンジェラ)
エレーナ・マルケシーニ(“猫”の被害者)
バルバラ・マウティーノ(“兎”の被害者)
 ロッセラ・ルーカ(“白鳥”の被害者)

ストーリー用ライン


1983年、古都トリノ。
口に楽器を繰り返し突き刺されるという残忍極まりない方法で
目の前で母親を惨殺された少年、ジャコモに、捜査官のモレッティは誓った。生涯かけても、必ず犯人を挙げると・・・。

ジャコモは納屋の地下室に閉じこめられており、隙間から見えたのは、犯人の妙に小さい足と、イタリアン・ホルンをザクザク突き刺され血まみれで息絶える母の変わり果てた姿だけ・・・。

トリノで立て続けに3件おきた女性惨殺事件は、いずれも断片的な目撃情報からトリノ在住の小人症の恐怖小説作家、ヴィンチェンゾと断定されたが、逮捕の直前に頭を撃ち抜かれた死体が川に浮かぶという結末で幕が下ろされた。だが銃は見つかっておらず、自殺なのか他殺なのか謎のまま・・・・。

17年後、トリノ。
遠距離で呼ばれた娼婦が客の変態行為に怯え家から逃げ出す際に、暗闇で慌て、客の持ち物を持ち出してしまう。
夜行列車で気づいた彼女がファイルの中身をみると、
彼女が子供の頃トリノを震撼させた“小人連続殺人事件”を示唆する写真や新聞記事の切り抜きが・・!
布団を頭からかぶり「いっぱい殺した、でも捕まらない」と唄うように繰り返す不気味な客の姿を思い出し、怯えて車掌に話すが、
車掌は殴られ虫の息、娼婦は車内で惨殺された。

娼婦の仲間が駅に迎えに来たが、短い停車時間では彼女を発見できず、携帯で彼女が喋っていた青いファイルだけを見つけ、警察に
駆け込もうとする。
だが、彼女も殺され過去の連続殺人の証拠は持ち去られた・・・。

殴られただけで済んだ車掌は、傷の手当てを受けながら、
娼婦が小人連続事件がどうのこうのとパニック状態だったことを
警察に話す。

まさか。
犯人は死んだはずだ。模倣犯なのか?呪いなのか?まさか幽霊の仕業だとでも・・・・?

事件の担当となった若い警部、マンニは、当時、小人連続殺人事件を捜査していたモレッティを訪ねる。
老いて物忘れも激しくなったモレッティ元警部から得るものはないと警察は諦めたが、モレッティの中でゆっくりと記憶が蘇りはじめる・・・。

過去から逃げるようにローマで1人暮らしているジャコモは、30歳の青年になっていたが、事件のトラウマは彼の人生に重くのしかかったまま・・・。

そんなジャコモに、トリノ時代の幼なじみのロレンツォから電話が。トリノが、また小人の影に怯えていると聞き、自らの過去と
決着をつける覚悟を決め、忌まわしい思い出しかないトリノを
訪れた。

警察で、やはり事件が気になっていてもたってもいられなくなったモレッティと再会するジャコモ。
警察は、トリノ中の小人症の男性を集めアリバイなどを
確認しているようだ。

果たされなかった犯人逮捕の約束を、今こそ、果たすとき。
モレッティとジャコモは、コンビを組んで独自に調査を進めてゆくが、警察やモレッティらを嘲笑うように犯行を重ねる犯人。

やがてジャコモは酒場で毒を盛られ、味見をしたロレンツォが犠牲になってしまう!
一命を取り留めたロレンツォだが、彼の父は激怒。
もう彼の家に居候はできない。孤独と恐怖にうちひしがれる
ジャコモの心を救ったのは、美しいハープ奏者のグロリアだった。
傲慢でリッチな恋人、ファウストの嫉妬も気にとめず、2人は
愛し合う仲に・・・。

ターゲットは女性のみ。殺し方もまちまちだが、死体の傍には
その女性のイメージと思われる動物の切り抜きが落ちていた・・・。

17年前と同じ。模倣犯か、幽霊か。
裁判所命令で、ヴィンチェンゾの遺体を再検査することに。
ところがなんと、棺の中は空だった・・・・!!!!


一連の事件の犯人の正体は、亡霊だとでもいうのか・・・・?


丹念に事件をさらっていたモレッティは、ベテランのカンで
事件の核心を掴みかけるが・・・・。


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コメント用ライン


う〜〜ん、“見立て殺人”のお手本ですね。
ラストが近づくにつれ、映画の冒頭からの様々な登場人物の何気ないセリフや動作がきちんと伏線になっていることに気づき、
2時間がフラッシュバックする。よくできているなぁ。

今回もダリオ的なオカルトっぽい味付けでわくわくさせてくれますが、オバケの仕業でしたぁ、とはならない。
(この程度のネタバレはいいでしょう)
ゴブリンの音楽の醸し出す美しい恐怖感、そして「エクソシスト」のマックス・フォン・シドーが主演だという一種の刷り込みで、
オカルトっぽい不安感をモワモワと醸し出すことに成功している。

同じ位置を繰り返し刺し、そこから血が噴出する、ダリオ・アルジェント独特の鮮血の美学も健在。
あー、一カ所を繰り返し刺す映像って痛そうなんだよねぇ。
一刺しで死ぬ急所ばっかなんで、犯人が粘着質ってことですね。

まぁ、初期の頃と比べれば、えらくおとなしいような気もするし、
ショッキングさが足りない気もするけれども。

青が強調された色彩とコントラストをなす鮮血の赤。
ダリオの特徴である、幾何学的な整い方は薄れているものの、
やっぱり記号性は健在。

あと、美少女とか美女がいない。
悲鳴も怯える表情も、やっぱ美女でないと。
恐怖の表情って、普通の顔立ちのひとがすると、醜いのですよ。
歪むので当然ですが。
相当に美しい方が怯えて絶叫しても、崩れないんですよね。
怯えた顔もイイねぇ、ってヤツです(変態)。

という不満はありましたが、ダリオ好きな方には勿論のこと、
イタリアン・ホラーはあまり知らないという方にも比較的
安心しておすすめできる、マニアック度の低い、きちんとした
脚本で堪能できるサイコ(まぁ要するに猟奇ものですが)・スリラーです。

廊下とか階段をちゃんと怖く撮れる監督、今減ってきてますよね。
このあたりはベテラ〜〜ン、とつくづく思うのですよw

ところで、被害者の6人の女性(映画に登場するのは4人)
ですが、後半の3人は見たまんまでわかりやすいのですが
(ネコのメーク、ウサギみたいな出っ歯、白鳥の扮装)
最初の3人は見た目ではわからないですね。
ヒヨコは少女の隠喩、1人目、2人目は苗字がそれぞれ、豚の暗喩、雄牛、です。
この被害者の人選からも、犯人像が浮かび上がってきますね。
なぜ17年前は苗字で殺し、17年後は見た目で殺したか。

アルジェントは自分が見た悪夢を映画のネタにすることが
多いようですが、本作もそうで、夢を娘のアーシア嬢に話し、
例の薄気味の悪い子守歌(こんなんで子供眠れるかぁぁぁぁ!!!まぁ、マザークーズもけっこう残酷なのありますしね)を
書いてもらったそうな・・・・。

エンドロールみてブっとびました。アーシアちゃんてば才能豊かw




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