お茶の間 de 映画
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2004年11月27日(土) 「サタデー・ナイト・フィーバー」お気楽ダンス映画だと思ってました。めちゃめちゃ正当派の苦悩と鬱屈と闘いながら成長する青春映画。

『サタデー・ナイト・フィーバー』【SATURDAY NIGHT FEVER】1977年・米
監督:ジョン・バダム 
原作:ニック・コーン “Tribal Rites of the New Saturday Night"
脚本:ノーマン・ウェクスラー
撮影:ラルフ・D・ボード
音楽:ビー・ジーズ/デビッド・シャイア
振り付け師:レスター・ウィルソン

出演:ジョン・トラヴォルタ(トニー)
カレン・リン・ゴーニイ(ステファニー)
バリー・ミラー(ボビー)
ジョセフ・カリ(ジョーイ)
ドナ・ペスコウ(アネット)
ジュリー・ボヴァッソ(フロー)
ポール・ペイプ(ダブルJ)
マーティン・シェイカー(トニーの兄)

ストーリー用ライン


70年代、ブルックリン。
川を1本隔て、リッチなインテリたちが住まうマンハッタンが見えるが、ブルックリン生まれはブルックリンで育ち、そこで朽ちる。
貧民街からの脱出は簡単じゃない・・・。
そんな時代と場所。

イタリア系移民の一家に育った青年トニーは二十歳。
月〜土曜の昼まで小さな金物店で真面目に働いている。
商品の知識も豊富で、常連や雇い主からも信頼されているが、
別にこの仕事が好きだとは思わない。
稼ぐためにやってるだけのこと・・・。

彼の家族は、父は失業しており、母が生計を立てている。
トニーの給料なんぞ、わずかばかりの食費を入れたら、週末使っておしまいだ。
兄は家族の・・・正確に言えば母の・・・誇り。
神父になり、今は家を離れている。

優秀な兄と比較され嫌みを垂れ流され、夕食の時間も刺々しい空気。そんな家にトニーの居場所はなかった。

さぁ、一週間分のストレスを発散し、生きている実感を味わう時が来た!土曜の夜だ。

ハデハデな柄物のボディシャツ、ピッタピタのギャバンのパンツ、
ごっつ厚底のプラットフォームシューズ。
髪だって1本も乱れてないぜ!
ビシィィィッとキメたトニーは、いざ町のディスコへ繰り出す。

この町はカオの連中と合流、ディスコへ到着すると、
仲間たちはまず酒とオンナだ。

でもトニーはどっちも興味ない。呑むと足がもつれるじゃないか。
女なんて漁らなくても、しつこいファンはいっぱいいる。
いっぺん寝てやったアネットはもうステディのつもりで
つきまとう。
でもヤってる時間があったら踊りたい。

もうじき、このディスコでコンクールがあるのだ。
賞金もデカい、プライドだってある、絶対優勝したい。
とりあえず、まぁまぁ踊りの巧いアネットをパートナーに
練習することに。

颯爽とフロアに降りると、“キング”の登場にサっと道をあける
若者、彼に当たるスポットライト。
誰も真似できないめちゃイカした振り付けで皆を魅了する。
この瞬間だけ、トニーは全身の細胞が生き返る気がする。

今夜は見慣れない娘がいる。ステファニーというらしい。
なんだかこの辺のブルックリン娘と違う・・・。
ソフィスケートされた身のこなしと卓越したダンスのセンスに
驚愕するトニー。

なんとかして彼女をパートナーにコンテストに出場したい!
ステファニーに頼み込むが、いかにもブルックリン男な貧乏くさいトニーに、ステファニーは嫌悪感を示す。

彼女はマンハッタンのオフィスで働いており、毎日有名な文化人と
あうのだと自慢話ばかりで、なんともいけすかない、高慢ちきな娘だ。

だが、トニーはどことなく気づいていた。
気取った態度の影の孤独に。攻撃的で高飛車な言動の根底にある、
自分をより高めたいと必死な向上心に・・・。

利発なステファニーも気づいていた。トニーが下心で女に声を
かけるようなつまらない男じゃないことを。真剣に踊りを愛する
ことを・・・。

反目しあいながらも少しずつ、近づいてゆく2人。

近づいてくるコンクール。
だが・・・・。

神父だった兄が聖職を棄ててしまったのだ。
一家の危うかった絆は脆くも崩壊する。
兄もまた、無償に親に愛されない孤独な存在だった・・。

親友が愛しているわけでもないただのGFを孕ませてしまった。
カトリック信者に中絶は許される時代ではない。
でも、結婚なんて気が重すぎて・・・。
苦悩して必死に相談をもちかける友に、トニーは冷たかった。

・・・自分のことだけで、精一杯だった。

コンクールの夜、トニーは自分の生き方の薄っぺらさと直面することになる・・・・。


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コメント用ライン


つい最近、デジタルリマスターされて映画館で上映されたようですね。パパイヤ鈴木おぢさまの影響力もあろうし、最近、また人気沸騰中のジョン・トラヴォルタの出世作を見直そうという動きもあろうし。
そういえば、ケツメイシのPV「君にBUMP」がどっかで
観た景色だよな〜と懐かしく思っていたら、コレだ(笑)

BUMPだもんねぇ、モロですよ。リマスター記念の公式サイトを見たら、“パクってごめんねw”てなノリのケツメイシからのメッセージが(≧∇≦)/  いやいや、リスペクトめちゃ伝わってきますから。

踊りのことは、詳しくないです。見るのは好きだけど、
踊ったことがございません。
ディスコにもクラブにも行ったことないですから。
箱入り娘でしたんで、学校と自宅の往復の日々でございました。
くそ、もっと遊んでおくんだった(激しく後悔)。

本題からズレましたね。

じゃこれは延々、ダンスしている映画か?
いやいや、とんでもない。
あまりにも、ダンスシーンが鮮烈だったから、そして今まで
なかったから(当時ね、無論)、衝撃的だったんでしょう。

映画全体の割合からいって、さほど、ディスコでフィーバーしている時間の割合は多くないです。逆に「エ?これだけ?」という気すら・・・。

それだけ、ちゃんとした青春映画なんですよ。
アメリカが当時抱えていた貧富の差、地域格差の問題。失業。
人種の問題。家族の崩壊。信仰の問題。かなり網羅しています。

コミカルなところで「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」、
シリアスなところで「ミスティック・リバー」。
嫌だ嫌だ思いつつ、ツラい思い出を抱えつつなぜにブルックリンから脱出できないか。
現代の日本人が、「気分をかえて引っ越しゃいいじゃん?田舎から東京出るようなもんだろ?」なんて思ったら大間違いです。
70年代ブルックリンはスキッド・ロウだもの。

その状況下だからこそ、ステファニーの藻掻きがトニーの
ハートを打つのです。

井の中の蛙だった自分を知り、大海の恐ろしさを覚悟しつつ、
跳び発たんとする青年と娘。

ラストシーンの2人の白い衣装は、これからなんだ、という
白紙をイメージさせて爽快な後味を残す。

実に賞味期限の長い、普遍的なテーマを扱った愛される映画だ。




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