ある大学院生の日記

2006年01月09日(月) 理想は美しいか。

ぼやぼやと見るともなしにテレビを見ていたら(こんなことじゃいかんのですが)、昨今の株式市場の好況をうけてかどうか、「株を購入したいですか」というアンケートをやってみた、という話をしていて、スタジオでも芸人さんたちがしたいのしたくないの、と盛り上がっておりました。聞いていたらある芸人さんが「株なんてやらない。株買うってことは馬券買うようなもんだろ。それよりは騎手になったほうがいい」という喩えとしてあってるんだかどうだか(馬主になる、が正解かと)な主張を展開しておりました。このひと、正月番組の中で「自衛隊を廃止する」という話をして「だって平和主義は大事じゃないですかっ」と激昂していたのですが、なんつーか、修身の時間じゃあるまいし、何を言っておるのか、と思いましたね。

そりゃまあ、株を買って投資するよりは起業家になったほうがおもしろいだろうし、軍隊があるよりはどこの国も戦争をしないほうが望ましいわけですから、その意味では彼の芸人さんは正しいのですが、100%正しいからこそなんの役にも立たない(100%正しくて役に立たなくても楽しいものはあるでしょう。学問とか。)し、話の設定からしてそもそもずれとんちゃうか、との感を禁じ得ません。こういう純朴で幼稚な発想を忘れてはいかんと思いますが、だからといって大上段に振りかぶるのは困ったちゃんでしょう。自衛隊の一件については、共演者のほうがまともなことを言ってたので安心したんですが、株についてはなんとなくうやむやのあいだにCFに移っちゃったのでどうなんでしょうか。

「資産運用として株式を購入する」ということは、大なり小なり世の中の起業家や企業に金を融通して、彼らがやりたいことを手助けする一環となるわけだし、それを通じて個人と社会を結びつける重要な経路のひとつ(税金だってそういう経路のひとつだ、と私淑する佐藤先生がおっしゃってましたが)である、という観点がなんだかすっぽりおっこちていて、「経済学は役に立たん」だのなんだの言う前に、基本的な経済教育(経済学教育でなくても)がやっぱりないのかしらねえ、と思いました(←何様?)。

いやだからって、バーチャル株式投資を小中学生にやらせばいいんだって話じゃ、全然ないんですけど。でもだいたい素朴な理想論を振りかざすひとってそういう極論に走っちゃうんだろうなあ。どうなんだろうなあ。


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