ある大学院生の日記

2005年05月30日(月) VAT tax refund

不勉強なもので全然知らなかったのですが、消費税の還付という制度があります。消費税が付加価値税だということを思い出せばどうということはありません。いまの日本の場合、5%の消費税がかかっており、消費者は普通は(というか単純な場合には)小売店に購入額の5%分を支払います。小売店はこの5%分を単純に税務署に納めるわけではなく、卸売業者に支払った消費税5%分を控除して納税します。こうすることで、消費税は取引税ではなく付加価値税としての性格を保持できることになります。小売店が消費者から受け取るぶんをoutput tax、卸売業者に払ったぶんをinput taxと呼ぶこともあります。普通に考えれば、仕入価格は販売価格より低いので、output taxはinput taxより多くなりますが、そうならないときもあります。そういうとき、消費税の還付を受けることができます。しかし、時と場合によっては、output taxがinput taxよりも少なくなるときがあります。ある年度だけとってみればinput taxが膨大になる場合や、output taxが受け取れない場合です。前者の例は設備投資を行った場合、後者の例は取引がゼロ税率(免税とは異なる)になっている場合です。たとえば輸出業者の場合、売上がゼロ税率であれば、output taxを受け取ることができないので、消費税の還付を受け取ることができます。このような還付のことを、VAT tax refundともいいます。

というような話をあんまり理解しないままに、某国からやってきた人と話をしていたところ、彼が「VAT tax refundは汚職の温床になっていて困っているのだ」言うので、「はあ」とまことにもって日本人らしい返事をしていたのですが、やっと要領を得ることができました。で、その「汚職の温床」なのですが、VAT tax refundの手続きの際に「Feeを払わないとrefundしてあげないよ」と脅すんだそうです。この「fee」が賄賂に相当するのですが、これを払わないとrefundの手続きが遅れたり、難癖をつけられてrefundされなかったりするんだそうです。日本の例を見てもわかるように、課税をめぐる係争ではたいがいが政府が勝っちゃいますし、書類にいちゃもんをつけるのも簡単です。ということで、大概の業者はめんどうなのでfeeを支払ってしまうのだそうです。この話をしてくれた彼は「こりゃVATの制度の問題だからどうにかせんといかん」というのですが、僕は「監査とかモラールとか教育研修の話ちゃうんか」と思っております。日本の税務研修というのはよくできているのですなあ。

開発経済学の分野では汚職というのはひとつのトピックですが、こんなところで出会うとは。「捕まる確率pを所与とした最適化問題」とかいう問題じゃありませんなあ。


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