生まれてこのかた、居住地を市内から一歩も出ることなく、はや数十年。あたしの行動半径は実に狭いのだが、そんな狭い中にあっても、時折懐かしい顔に遭遇することがある。
その昔、長いスカート引き摺って、ヤンチャしていた女の子が、子連れでごく普通のお母さんをしている所を見たりすると、時は流れたんだなあ、と思ったり。

レジでの会計の際に、どうもどこかで見覚えがあるんだけどなあ。。。と言う人がやってきて、レジを打つ間にあーでもないこーでもないと記憶をたどり、提示されたポイントカードの署名を見て、あー、中学のときの同級生だ、と気が付いた。
ところが、である。どうやら結婚しているらしく、苗字が全く記憶にないものに変わっている。当時、特別親しかったわけではないし、旧姓がどうしても思い出せない。
レジを打ち、商品を渡す短時間の間に、あれこれ考えたが思い出せず、向こうは全く気付かず、家族とともに帰っていった。子ども２人とごく普通のだんなさん。
彼女が現在にいたるまでの道のりは全く知らないが、中学のときはメガネをかけていて、ちょっとドジだったりしたことから、男子からからかわれてはよく泣いていた。その彼女が傍目からみてごく普通の家庭を築いている。
当時の面影と今の様子を重ね合わせて、なんだか不思議な気持ちになった。

ちなみにあたしは今まで向こうから気付かれたことって全くない。それって一体どういうことなのか。あまり目立たなかったから存在そのものが忘れられてしまっているのか、当時とあまりにも外見が変わってしまったのか。

深く追求するのはやめておきます。

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