たまに××したり。
INDEXこれまで。それから。


2003年07月16日(水) スイカ泥棒。

子どもを預けて働きに出ていると、あたしの知らない間に何かといろいろな事件が起きていたりする。
乗れない自転車で、坂道を暴走してケガをした、とか、遠くの家の友達と約束して、子ども2人で夕方歩いて20分ほどの道のりを帰って来た、とか、何もなかったからよかったようなものの、後から聞かされたあたしは気が遠くなる。
昨日もへろへろに疲れて帰宅すると、とんでもない話があたしを待ち受けていた。

我が家の家の前は住宅街では珍しく、空き地になっており、その空き地を近所の人が畑にして四季折々の収穫を楽しんでいる。
普段、子ども達はそこにはいることはあっても野菜を取るなどと言う悪さはしたことがなかった。
いわなくても分かるだろう、って言う気持ちがどこかになかったかと言えばウソになる。

昨日は同じバス停のミキちゃんのママが風邪で熱があると言うので、気を利かせたおばばが、うちに遊びに来るように誘ったらしい。
ゲームをしたり、外で自転車に乗ったりしていたようだが、学校から帰ってきた娘が、ミキちゃんの自転車のカゴに不審なものを見つける。

「それなあに?」

娘が尋ねると、ミキちゃんは

「誰にもナイショだよ」

とカゴの中を見せた。
カゴの中にはスイカが1つ。

「これ、どうしたの?」

「そこで取ってきた」

ミキちゃんが指差したのはうちの前の空き地。
びっくりした娘は息子のほうを見ると、息子は息子で虫かごにスイカを入れていた。

「ダメだよ、およそのもの勝手に取ってきちゃ。おいで、一緒に返しに行こう」

と大慌てで二人を連れて、その空き地を利用しているお宅に謝りに行ったらしい。

ところが娘が謝りに行ったのはスイカを植えた人の家ではなく、もう1件、畑を作っている家で、その家の人がスイカを預かり、代わりに謝っておいてあげるから、と言ってくれたらしい。

おばばは、と言うとミキちゃんのママにはその話を内緒にしようとするし、帰ってきた夫に娘が話そうとしてもものすごい剣幕でもみ消そうとしたらしい。
子ども達からそのことを報告されても、おばばからは一切その話題には触れない。

結局、やってしまったことは仕方ない、いくら幼いからと言って自分のしたことにはきちんと責任をとるべきだ、と思ったあたしは子どもを連れて謝りに行こうと思った。
今朝、ミキちゃんのママにあって、そう言う風に言ったら、一緒にいくと言う。

「じゃあ、子ども達が帰ってきてから一緒に連れて行こうか?」

と言うと、驚いたような顔をして、一瞬固まった。

「だって、やったのは子ども達じゃん?何で自分で謝らないの?」

と言うと、しぶしぶ納得したようだ。
降園後、ちょっとした菓子折りをもって謝りに行くことにしたが、あいにく昼は留守で、夕方にでももう一度、と言うことになった。

夕飯を終え、連れ立ってそのお宅に向かう。
息子はちっとも反省の色がない。

「あんた分かってるの?悪いことしたから謝りに行くんだよ?」

「知ってるよー」

ちっとも分かってない。
やれやれと、チャイムを鳴らし、名前を名乗ると、あからさまに嫌な感じで

「あ〜あ・・・」

と返事が返ってくる。
玄関先に出てきた奥さんは

「昨日、お向かいさんから話を伺いました。きつく叱っておいたから、と言うことでしたけど」

顔は笑っているが、明らかに怒っている。

「本当に申し訳ありませんでした。2度とこんなことのないよう、言い聞かせましたので」

笑うだけで返事はない。

「これ、つまらないものですが、お受け取りください」

差し出した菓子折りを一瞥し、なおも笑顔の奥さんは

「いいえ、あんまりお気を使われてもかえって困りますので。では」

とドアをぴしゃりと閉めてしまった。

「かなり怒ってるね」

行く前は半ばふざけていた息子も静かになり、一言もしゃべらずに家に向かう。
ミキちゃんたちと別れて家に入り、

「相当怒ってるみたい」

と夫たちに言った。
それを聞いて振り返った息子は真顔で、

「おばちゃん、怒ってた?」

と言うので、

「そうだね。怒ってたね。だって一生懸命育てていたスイカをとられちゃったんだもの。ゆうだって自分が育てていたスイカ取られたらどんな気持ちになる?」

あたしの問いかけに見る見る息子の表情が曇り、目からは大粒の涙がこぼれた。

「あんたはよく分かってなかったみたいだけど、すごくいけないことしたんだよ。勝手に人のモノとったら泥棒になっちゃうんだよ?ママもいやな気分です。だけどきちんと謝らないと」

息子は大声で泣きじゃくり、あたしもなんだか悲しい気持ちでいっぱいになった。
その気持ちは、昔、娘が3歳のとき、ひとりでお使いに行く、といってお金を払い損ね、お店のものを黙って持って来てしまったときに一緒に謝りにいったときと似ている。

泣きじゃくる息子を抱きしめながら、

「悪いことしたって分かった?もう2度とこういう事しちゃダメなんだよ」

と言った。



あたしがいない間に、何かが起き、そのたびにおばばは一体なにをしているんだろう、と言う気になる。
預かってくれてるだけありがたいことなのかもしれない。
それでも、今回のような人に迷惑をかけるようなことがあったなら、保護者として、とりあえず謝っておいてくれてもよいのに、と思う。
後日きちんとあたしが謝りに行く、それでいいのに、と思う。
が、夫は、

「ばあさんにそこまでやらせることはない」

と言う。
あたしは間違っているんだろうか?
年端も行かない子どもを預かるのだから、もう少し責任をもってもらいたい、と言うのは、甘えすぎなんだろうか?

何より許せないのは、今回のことをもみ消そうとしたことだ。
悪いことをしたらきちんと罰せられなくてはならない。そのことを幼い今だからこそ、きちんと教えておかなければならないのに、どうしてそれができないんだろう。

子ども達をしつけるのは親の責任かもしれないが、一緒に暮らしている以上、もう少し、責任をもってもらいたいと願うのはいけないことなのだろうか?

あたしは時々、子ども達を放置して仕事に出ている気になる。
保護されているはずの子ども達がきちんと守られていないから。


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うらら |あばら家足跡恋文

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