たまに××したり。
INDEXこれまで。それから。


2002年07月10日(水) やってはいけないこと。

娘の幼稚園からの友達のお母さんから、夜遅くに電話がかかってきた。
「ごめん、こんな時間に。実は相談があるんだけど」
夜遅くにかけてくる相談なんてろくな話じゃないな、と正直思い、話を聞くと、子どもが見慣れない消しゴムを持っているという。どうしたのか、と聞くと、急に顔色が変わって、さらに問いただすと、お店から黙って持って来てしまった、と言う。しかも、そのとき一緒にいた妹に「誰にも言っちゃダメだよ」と口止めまでしたと言う。ついては、その消しゴムを持って、親子でお店に謝りに行こうと思うのだけれど、どうだろうか、と言う相談だった。

彼女にしてみれば、子どもが黙ってお店のものを持って来てしまい、さらにそれを妹に口止めした、とすると、悪いことをしている、と言う意識がある確信犯であると言うことが相当にショックだったらしく、同じ親としてみれば、その気持ちは察するに余りある。






実は私にも似たような経験がある。とはいえ、それはまだ娘が3歳の頃の話。
娘は3歳になると、テレビでよく見ていた、「はじめてのおつかい」にあこがれ、一人で三輪車に乗っては近所にあるデイリーストア、って言うんでしょうか?そう言ったお店に毎日のようにお買い物に行っていた。たいていは「ママに」といってブリックパックのお茶、とか、20円くらいのゼリーとか、なんてことのないものを買ってくる。お店の人とも顔見知りだし、実は一人で行く、と言っても、まさにテレビと同じように、陰でこっそり、娘には気付かれないように、ついて行っていた。
その日は、いつもと違うお店に行くと言って聞かず、少し遠いこともあって、心配だったが、例によって物陰からこっそりとウォッチング。そのお店は個人の商店がいくつか集まっているところで、入り口に近いところに、お菓子屋さんと薬局がある。娘は最初お菓子屋さんでお菓子を見ていたのだが、何を思ったのか、薬局のほうに行った。離れているので、店内の様子までは良く見えない。いつもより時間がかかっているなあ、と思っていると、娘が、むき出しの商品を持って半ば固まった表情のまま戻ってきた。私がそこにいることを娘は知らなかったから、私の姿を見た瞬間に、驚いて立ち止まる。
いつもなら、
「何でママここにいるの?おうちで待っててって言ったじゃない」
などと怒るはずの娘が、無言のまま立ち尽くしている。もしや、と思ったが、しゃがんで娘の目を見ながら問い掛けた。
「どうしたの?今日はそれ買ったの?」
娘の手にはアンパンマンのお風呂用スポンジ。それを買うだけのお金は持たせていない。
娘は無言のままかぶりを振り、涙ぐむ。
「もしかして、お金払わないで持ってきちゃった?」
そう言うと、堰を切ったように泣き出す。
「お金をね、はらおうと思ったんだけどね、お店の人がいなくてね、どうしていいかわかんなくて持ってきちゃったの」
泣きじゃくりながら事情を話す。
どうしたらいいのか。
まだ小さいから仕方ないねえ、とあとで私だけが謝りに行き、お金を払ってお詫びすればすむのだろうか、それとも、娘も一緒に行き、謝らせるのがいいのか。
当然、後者を選んだ私は娘の手を取り、お店に向かう。
「お店のものをお金払わないで持って来たらどろぼうになっちゃうんだよ。どうしていいかわからないときは近くにいる大人の人に聞いていいんだよ」
と、道々話しながら行く。
娘は泣きじゃくってはいたが、うなずきながら話を聞いていた。なんとなくでも自分がしたのはいけないことだとわかったのだろう。
お店につき、事情を説明し、娘と一緒に謝ってお金を払う。
家にもって帰ってきたアンパンマン。しばらくそれを見るたびに、胸が痛んだものだ。






娘の場合と、その子の場合とは明らかに状況や、事情が違うと思うが、やったことは同じだ。
今回は結局、電話で連絡してからお店に行って謝ることになった。
そのほうが話が通っていて、いやな思いも最小限ですむだろうと思ったからだ。
心配なのは、なぜ、その子がそう言うことをしてしまったのか、と言うことだ。魔がさした、とか、好奇心から、と言うにしても、原因がわからないと、またいつか同じ事をすることになるかもしれない。そして、それはうちの娘にもありえることなのだから。

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