たまに××したり。
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2003年04月28日(月) 潮干狩り。

家族そろっての休日。
とは言え、給料前でひっ迫する家計状況から、お金のかからないレジャーということで、海の公園に潮干狩りに行くことにする。
八景島シーパラダイスを見ながらのんびりと潮干狩り、、、と思ったら、なにやらすごい状況になっている。
夏の海水浴シーズンには閑散とした田舎の海、といった趣なのに、駐車場に入るのに長蛇の列なのだ。しかもシーサイドラインの駅やら、近所に住む人たちまで、ビーサンや、長靴、手にはバケツやアミを持ち、海に向かっていく。
みんなやる気満々ですね。

クルマ止めるのに、10分くらい待ち、海に向かうと、ものすごい人。天気がいいとは言え、まだまだ風は冷たいというのに、水着の人もいる。
うーん…出遅れたか。
とりあえず、強風の中、砂浜にシートを敷き、荷物で押さえ込み、海に向かう。
波打ち際で砂を掘る人もいるのだが、たいていの大人がTシャツに短パンで海の中に入り、さながら田植えのように貝をあさっている。
よくテレビで見かけたり、潮干狩りと聞いて思い浮かべるイメージとはかけ離れた光景に思わず笑う。

朝から憂鬱な気分だったが、少し楽しくなってきた。
子ども達は波打ち際や、浅瀬で貝を探し、あたしも一緒に砂を掘っていたのだが、気が付くと夫は、ずいぶんと沖のほうまで出ており、Tシャツと短パンをびしょぬれにして一心不乱に貝をあさっていた。
おいおい。。。と思いながら、子ども達と貝を探していると、

「こらあッ!なにするんだ!」

近くにいた男の人が怒鳴った。
見ると側にいた親子連れが、顔をぬぐっており、その側で息子が立ち尽くしていた。
とっさのことであたしは状況が飲み込めず、しばらくして、ああ、うちの子が波をよけようとして水をかけてしまったんだ、と気が付いた。
それにしてもその怒鳴りようはまるで自分の子どもが悪さをしたかのようで、いくらこちらに非があるとしても納得行かない気もしたが、とりあえず、

「すみませんでした」

と謝った。

するとその人は驚いたようにあたしを見、

「ああ・・・いえ・・・どーも・・・」

と口篭もった。
どうやら、息子だけしかいないと思ったらしい。

「ほら、優も近くに人がいる時は気をつけないとね」

とも言ったが、内心穏やかならないのは言うまでもなく。
わざと水をかけたのなら仕方ないが、たまたまはねた水がかかったくらいでなんでそんなに怒られないかんのよ?と、段々腹がたってきた。
まあ、突然水がかかってびっくりしたにしても、幼い子がうっかりかけてしまったのだと分かった時点で怒らなくってもいいんじゃん?
とあたしの中でブルーモードは一気に怒りモードにシフトチェンジして、

「ああ!もーつまんない。なんかやる気なくした!もうおしまいおしまい!」

とその人に聞こえよがしに言い残し、砂浜に上がった。
その間、その人は全くこちらに目を向けず、そのことが余計にあたしの気に触る。

「だいたいさー水がかかるのが嫌なら海になんてくるなっちゅーのよ!」

事情を知らない夫が

「何?何?何があったの?」

と聞くが、事情を知ったらこの男のことだからひと悶着起こしかねないと思い、

「あんたは余計なことしそうだから教えない」

と相手にせず、

「とっとと帰れよー!バーカ」

といいたい放題である。
しばらくしてその親子連れは荷物をまとめて帰っていった。

「全く。悪気がなくてやったのに、何であんな風に言われないといかんのよ?シンジランナイ。あのオヤジ」

クダを巻くあたしにいつも先にぶちきれる夫はおとなしくしている。
息子は、というとすっかりおとなしくなって、しかも海水でびしょぬれになったため、体が冷えてがたがた震えている。
とりあえず、今晩の味噌汁に入れるくらいの貝が取れたので、満足し、帰ることにした。

「今日は楽しかったね」

帰りのクルマの中で娘が言う。

「また今度行こうね」

「そんなに楽しかったんだ。よかったね」

息子はよほど、知らない人に怒鳴られたのが嫌だったのか、

「楽しかったけど、またあのオジサンいないかな」

などと言い、

「今度はあのオジサンがいないところに行こうね」

とまで言う。なんだか少し不憫になった。

翌日になって

「昨日は楽しかったね」

と話していると、息子が急にいじけだした。

「どうしたの?」

「昨日はごめんね。優があんなことしちゃったから・・・」

息子にとってはよほどつらい体験だったらしい。

こんなことなら、あのオヤジに、後ろからたっぷりと水ぶっ掛けてやればよかった。

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