日々雑感
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2005年10月29日(土)

渋谷にて井の頭線へと向かうエスカレーターに乗りながら、通り沿いの看板に大きく「博」という字が書かれているのが目に入る。「博」というのは父親の名前だ。

父方の祖父母に会ったことはない。祖母は、父がまだ小さい頃に亡くなった。間もなく再婚した祖父は、父を親戚のもとに置いて遠いところへ行ってしまった。

けれども、「博」という名前をつけたのは、そのふたりである。何を願ってその名を選んだのか。写真でしか知らない祖母は、物心つかない父に向かって、どんな声でその名前を呼んだのだろう。彼女と同窓だったという母方の祖母は言っていた。「とても静かで、やさしい人だった。」

ぼんやりとした祖父母の姿だけれども、「博」という父親の名前に込められた思いだけは、今でも確かに残っている。父も名前で呼ばれることは、もうそんなに多くないが、その度に、今は揃ってこの世にはいない、祖父母の思いが、そこにあるのがわかる。

そんなふうに、つながっている。

夜、冬から海外赴任する友人の壮行会。久々にたくさん飲んで、盛大に気分よく酔っ払った。参加していた友人夫妻は、来春に子どもが産まれる予定という。

こんなふうに、つながってゆくのだろう。


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