日々雑感
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理論社から、梨木香歩の絵本シリーズが刊行されている。
これまでに出たのは『ペンキや』『蟹塚縁起』『マジョモリ』の3冊。ひとりのペンキ屋の生涯であったり、「蟹塚」の縁起を語る民話風のお話であったり、小さな女の子のある一日を描いたり、それぞれに手触りは異なるのだけれども、どこか深いところが共通している。何だろうと思ったが、たぶんそれは「時間」というモチーフだ。時代とか、今ここに「人」という形をとって存在することとか、そういった枠組をとりあえず傍らに置き、いろんなものが時間をも越えてつながってゆくということが、3作の通奏低音となっている。
絵がまたよい。それぞれに「この人の絵でなければダメだろう」と思わされるような組み合わせ。『蟹塚縁起』の木内達朗も『マジョモリ』の早川司寿乃もよいけれども、自分がいちばん好きなのは『ペンキや』の出久根育。特に最後のページの絵は、手を止めて見入ってしまった。
小さい頃、こんな本が毎月一冊届いていたら、きっと夢中になって読んだだろう。もちろん、今でも。この絵本シリーズはもう少し続くようで、次作も楽しみ。
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