日々雑感
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大学にてゼミ。夕方に始まって夜遅くまで続くため、途中で一回休憩が入る。
いつものようにコーヒーを飲むべく立ち上がると、「今日はいいものを持ってきた」と言って担当の先生が紙袋を取り出した。中身は、アルミホイルで丁寧に包まれたツナのパイとミートパイである。「奥様が作ったんですか」と皆して尋ねても、いやまあ、と言うばかりではっきりとは答えず。けれども、目と口元が笑っている。
数年前、20も年下の当時学生だった女性と結婚して研究室中を動転させた先生だが、私生活のことを決して話さないので、まるで都市伝説のようにいろんな噂が生まれ、ついには「あれは本当のことだったのだろうか」という空気まで流れてきていたところだ。参加者のひとりが「はじめて奥様の姿が見えて、何だか安心した」と、しみじみ言う。パイはものすごく美味。空きっ腹にしみる。
大学構内に人の気配も少なくなった頃にゼミ終わる。帰りがけ「ごちそうさまでした」と皆に言われて、先生、再び照れながら笑顔。パイを入れてきた紙袋を大事そうにたたんで、鞄に入れていた。
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