墓場の夢を見る。だだっ広い荒地に、大きな顔面像がふたつ並んでいる。南の島の土産物によくあるような、どこか間の抜けた表情をした像で、それは「墓」だとなぜだかはっきりわかっているのに、悲しい感じも厳かさもなく、むしろあっけらかんと明るい。空をすごい速さで雲が流れていった。風が吹いて土埃が舞った。あれは、誰の、あるいは何の墓だったか。暖かい一日。夜道、桜が風に揺れる音がする。