日々雑感
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外でとんびが鳴いている。潮の匂いのする日。
今日の海は静かだ。波頭だけ鈍く光りながら、とろとろと寄せてくる。水平線の向こうには、ぼんやりと浮かぶ山影。その頂はまだ雪で白い。
『わが家の人びと』セルゲイ・ドヴラートフ(成文社)読む。「ドヴラートフ家年代記」というサブタイトルがついているように、作者であるドヴラートフが、自分の家族や親族について(虚実とりまぜつつ)書き記したもの。
父方はユダヤ系、母方はグルジアに暮らすアルメニア系で、作者本人はロシア生まれ。家族全員にとって20世紀ロシアは生きやすい環境ではなかったはずであるが、決して悲壮になることなく、ドヴラートフは飄々と語る。見栄っ張り、大食漢、健康マニア、犯罪的頑固者。描き出される家族の肖像は、どうしようもなく、しかし憎めず、本を閉じたあとに、しんとした気持ちになるような人ばかり。
夕方、西の空に三日月。
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