日々雑感
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2002年05月15日(水) 「地球交響曲第四番」

阿佐ヶ谷で映画「地球交響曲第四番」を観る。今回登場するのは、生物物理学者ジェームズ・ラブロック、野生チンパンジーの研究家ジェーン・グドール、サーファーであるジェリー・ロペス、版画家名嘉睦稔の4人。

中でも、7〜8メートルもあるという大きな波に乗るジェリー・ロペスの姿が圧巻である。正直、サーフィンってどこが面白いのだろうと思っていたのだが、考えを改める。あれはすごい。サーフィンというのは、波との対話なのだ。ひたすらに海の、波の声を聞き、それに自分の身体ひとつでもって応えてゆく。

ロペスは言う。「ダンスを踊るときのように波の力の良いパートナーになるんです。サーフボードはダンスパートナー、波は音楽、その音楽に乗って共に踊る、それが私の実感です。」

「対話」というのは、登場する4人に共通するキーワードだ。樹と、波と、チンパンジーと、「場所」と、そして人と、対話する。また、その対象を深く愛し、全身全霊をかけて向き合うということ。ほんとうに対話するためには、きっと自分の100パーセントで向き合うことが必要なのだ。

チンパンジー研究家であるジェーン・グドールの自伝。その巻頭ページには星野道夫が撮影した写真が使われている。映画の途中、星野道夫がグドールを訪ねたときの写真が画面に映し出された。二人とも笑っている。なぜかそれだけで涙が出そうになって、自分で自分にうろたえる。

ジェリー・ロペスはサーフボード、星野道夫はカメラが、世界と向き合い、対話するときのパートナーだった。自分はどうだろう。何を携えてゆくのだろう。

帰り、新宿で本屋に寄り道。ついでに渋谷まで歩く。夕方の風が気持ちいい。ビルの向こうに見える木々もざわざわ揺れている。坂をゆっくり下りながら、どんどん歩く。渋谷は谷の底。


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