■好き■ - 2002年04月26日(金) 「結婚しよっか」 「やだ」 鈴の言葉に僕は即答する。 …だって彼女はそんな事、微塵も思ってないって 僕は重々知っていたから。 「全くそんなに即答しなくてもいいじゃない。 かわいくないわね。」 男にかわいさを求める方が間違っている。 そう思いながら、僕は顔を上に向けた。 すっかり気分を害している鈴の顔が上に見える。 鈴は膝枕がとても好きで 「人とか犬とか猫とかあったかいものを 撫でていると安心するのよ。 そしてまた、適度な重みが気持ちいいの。」 と、いつも僕の頭を太ももに乗せる。 僕の頭は犬猫と同レベルに扱われてるのだなー と感じながら。 鈴はいつも愛情を表そうとしないから 僕はすっかりこんな感じでひねくれて 考えるようになってしまった。 「思ってもいないこと言うなよ。 鈴が結婚に向いているわけ無いじゃないか。」 「何よ。どうしてそう思うの?」 鈴は人差し指を僕の頭の髪の毛に絡ませてグリグリと回す。 僕を見ないで、髪の毛だけを見ている。 「僕が居ない時に、誰か連れこみそう。」 鈴は僕を見ないままにっこりと笑った。 「そうね。」 その笑顔には僕に対して 悪いと思う気持ちも後悔の念も無い。 鈴はいつも自分に正直で、欲望に真っ直ぐだ。 「…僕の他にまだ誰かと付き合ってるんだろ?」 「2人とね。」 僕はため息をつきながら目を閉じた。 鈴にドップリと感染している以上 これくらいで怒ったらいけない。 これくらいで怒るくらいなら即、別れてる。 …でも別れても、僕を失っても 鈴は何も変わらないことも分かっていた。 「そいつらの事、好きなの?」 「良く分からない。」 「僕の事、好きなの?」 「言葉なんか要らないでしょ?」 そんな事、無い。 言葉が欲しい時だってあるのに。 僕はいつもそう言うけど 鈴は何も言わない。 いつも、微笑むだけ。 僕は手を伸ばして鈴の髪に触れた。 悔し紛れにキスしたいと思った。 そっと、鈴の頭を引き寄せる。 「だめ。」 がぼ。 鈴の両手が僕の口を塞いだ。 「ぬわんでだよ。」 モゴモゴと動く 僕の唇の感触を楽しむかの様に 鈴はくすくす笑い出しながら言った。 「今日は女の子の日なの。だからダメ。」 「キス位いいじゃないかよ。」 「だめ、止まらないから。」 そう言って僕の口から手を離し 鈴はまた僕の髪をゆったりと撫でる。 撫でられる感触が心地良い。 ほっそりした長くて白い指の感触。 鈴の指。 「僕の欲望はどうすれば。」 「ひとりでしなさい。」 鈴は突っぱねるように言ってから おかしそうに笑い出した。 なんて可愛くないんだろう。 そう思いながら目を閉じる。 それでも鈴が好きな自分が悔しかった。 指の感触があまりにも心地良くて ついついウトウトとなりながら 僕はぼんやりと思った。 今度、誰かを好きになる時は 青空と笑顔と白い服が似合う 素直な可愛い子がいい、と。 …鈴みたいに 夜と欲望と黒い服が似合うような そんな子じゃなくて。 そう思いながらも でも、きっと…。 そんな事を思いながら 僕は、眠りに落ちた。 :::::::::::::::::::::: 携帯HPに載せてた短編の改訂版。 やる気出てきました。 いーやッほゥー!(悪ノリ) 暫くこんな日々続くかと思われます。 カラ元気って言うな〜!(涙) -
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