過失軽薄日記
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管理人は現在杭州にいますが、どこにいようとうすらオタク気味です。 2008年頭に帰国予定。大陸に至った経緯は2006年3月22日あたりをご覧ください。

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2004年03月13日(土)/第一印象に問題発生。

私が中学生の時分、ラブクラフトや稲垣足穂を読み渉っていた頃、彼らの著作の中でロード・ダンセイニという人の名をたびたび目にすることがありました。どうも彼らの作品に影響を与えた人物であるようでしたので、果たしていかなる作家なのであろうと興味を覚え、まずは当時本屋で容易に入手できた「妖精族のむすめ」を読んでみたところ、薄暮を思わせるような高遠にして幽玄な世界観にすっかり虜となりました。こうなったら、代表作として名高い「ぺガーナの神々」を是非とも読んでみなくてはと思いましたが、この作品はすでに絶版となっており入手することができない状態でした。爾来、たまに古本屋や図書館に行った折にはこの本を探してみたり、思い出した時にはネットで検索してみたりしても、ついに現物を目にすることは叶わず、「ぺガーナ」は、いつかは読んでみたい本として常に心の隅のほうで気になっている憧れの作品となり、十余年の歳月が流れました。

何と、最近その幻の「ぺガーナの神々」が復刊されたのです。復刊ドットコムで復刊情報を見たときはマジで興奮しましたよ。興奮したついでに3秒後には注文ボタンを押していましたよ。いや、ハヤカワ書房のアンコールフェアで復刊されたらしいので、待ってれば多分本屋でも手に入るんですが。やれやれ。この作品は、復刊ドットコムでも復刊投票が行われていたのですが、投票コメントは、長らく復刊を待ち望んでいた人らの熱き想いが伝わってくるようなものも多く、ますます興奮した次第であります。皆も探し回ったんですね…。ほんと、どこを探しても見つかりませんでしたとも。ああ、そんな「ぺガーナ」がまさしく自分の手元にやってくる日が訪れるというのがなんだか信じられないくらいですよ。

そんなにも密かに待ち望み続けていた「ぺガーナの神々」だというのに、宅配便で届けられた直後に、昂揚を覚えながらもどかしくも梱包を引き剥がし、かの本の表紙を目の当たりにした瞬間、
「素敵なアフロだなあ」
などと思ってしまった私をぺガーナの神はお許しくださるでしょうか。いや、表紙絵が。十数年来希求し続けていた作品に対する第一印象がこんなのでいいのだろうか。それはともかく、届いて一週間以上たつのになんだかもったいなくてまだ読むことができず、表紙(素敵アフロ)や挿画を眺める日々が続いています。アフロなどと言ってしまいましたが、挿画も実にすばらしいのですよ。ああ嬉しいなあ。夢のようだ。
ところで、投票コメントによると、私と同様ダンセイニ作品をラブクラフトやタルホ経由で知った人も多いようで、勝手に親近感を抱きました。彼らの本棚を是非拝見してみたいものですが、私と同様に、あまり見られたくない種類の蔵書も豊富にあったりしたらと思うと、やはり遠慮しておいたほうがいいのだろうか。いや、名も知らぬ人々なのでいらぬ心配ですが。

ぺガーナの神々(表紙)
復刊ドットコム
復刊ドットコム・ぺガーナ頁

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ヤケパチ |電信家頁

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