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見返しました「八つ墓村」 こうして見てみると、前回より見やすくなっているんではないかと。 「犬神家の一族」は稲垣金田一の第一作ということもあって、制作側も視聴者側にもある種の堅苦しさが あったように思います。 稲垣金田一のお披露目でもあったし。 八つ墓村は2回目なので、堅さがとれてなじんだ感じになっている。 横溝先生との語らいや、事件の本を持ち歩いているという「お約束」も定着している。 金田一自身の性格を(説明するように)描かなくても、殺害現場で這いずり回ったりとか 八つ墓村の因縁話を聞くうちに顔つきが変わってくるだけで、 犯罪に対する興味がある種マニアックである金田一像がすぐわかる。 その分事件がスピーディーに動いていたのも、見やすさに繋がっていたのでは?
冒頭で横溝先生と金田一が八つ墓村のいわれやら32人殺しのてん末を語るシーン。 かなり長く描いてましたな。さらっと流すのかと思ってたのでちょっとビックリ。 しかも冒頭から結構、陰湿・残虐なシーンが続いて(流血も多いし)TV的に大丈夫?と思うぐらいでしたから。 ここを省略してしまうと村人がなぜ「祟り」を恐れるのかが理解されにくいから きっちり描いていたんでしょう。 それに、これを横溝先生と金田一が語り合うシーンにもってきたのは上手かったですね。 辰弥に美也子が話して聞かせるシーンだけで済ませてしまうこともできたけど そうしなかったから、冒頭から金田一が出る事が可能になったわけで。 金田一の出番の少ない原作から、どんなふうに「金田一」作品へ持ってくるかが興味あったんですが、 このスタイルなら自然に金田一がメインポジションに座る事が出来る。 犬神家で横溝先生を出した時はそこまで計算していなかったと思うのですけど これは稲垣金田一の最大特徴でもあるし、すばらしいメリットだったのですな。 横溝先生のキャラクターも好感もてる。「耕さん」って呼び方がまたいいんですよ。 愛されてるなぁ、耕さん。
意外とわかりづらかったのが「祟り」に対して金田一がどう思っていたのか。 特に最初の頃(横溝先生と語り合うあたり)の考え方がよくわからない。 最後の手紙でも「不思議だな」と思っている程度なのか、「祟り」はあると信じているのか。 ちょっと曖昧な感じがします。 それから、慎太郎の影が薄い。もしかして台詞らしい台詞がなかったんじゃ…。 脚本の佐藤さんによると台本上はもっと美也子とのシーンがあったそうですが 編集でカットされたとか。 だから慎太郎は最初のほうで少し出てきたぐらいの印象しかないのに、 最後の謎解きで「美也子が慎太郎の為に手を下していた」とか 「美也子が慎太郎に好意を持っていた」とか言われても そこまで繋がりがあったとはあまり実感として感じられないんじゃないですかね。 原作を読んでいないと特に。
あと色々ツボがあるので以下羅列してみます。 ・八つ墓村の人々が方言だったのがよかった。 方言を話さない辰弥が村では異質な存在だと、よりわかりやすく浮かび上がっていた。 ・「犬神家の一族」の本。前回(本陣殺人事件)は文庫本でしたけど、今度は上装本。 トランク一杯持ってたらかなり重いよ(笑) ・屏風の前で辰弥と語り合うシーンの美しいこと。 逆光でシルエットになっているのがまたキレイなんですよねぇ…。 ・金田一のマントは風になびくと大きくなる(笑)なんか、ガッチャマンみたいだったな。 ・橘署長と二人で格子から顔を出してるシーンのかわいらしいこと。何やってんですかあなた方。 ・どうやら稲垣金田一では必ず幽霊がでてくるらしい(苦笑) 霊媒体質の金田一?さすが吾郎さん(ほん怖じゃないってば) ・それにしても落盤事故とはいえ、80人殺しちゃったのには驚いた。 やっぱり辰弥は村にとっては疫病神か。 ・ちゃっかり依頼人でもない辰也から礼金(しかも大金…らしい)受け取ってる金田一。 ・で、その大金を手にどこほっつき歩いてるんですか?横溝先生待ちぼうけ。 ・横溝先生、いや小日向さんの書き文字。ちょっと丸くてかわいらしい。
小日向さん@横溝先生のインタビューで「監督に「また来年」と言われた」そうですが ぜひぜひ、お願いしますよ。 今回はギリギリのスケジュールだったそうですから、今度は余裕もって。 年に1本でいいですよ。クオリティを落とさないためにも。
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