さきほど入浴中、娘が浴槽内側の段差に足をかけ、なにやら自力で洗い場に出ようとする仕草。なんでも一人でしたいお年頃全開だわ。
段差は浅いし、余りにもゆるやかなアールだし、無理無理。危ないよ、と娘に注意すると「ばーばがこうやってって」と満面の笑み。
ははあ、そうですか、大阪義母とお風呂に入ったときに、そうしたらいいよって教わったのね。
娘うんうんと頷く。
娘を浴槽から引き上げ、体を洗い始めたら「じーじ、ここにうかちゃんすわったの」。あ、そう。大阪義父と入ったときには、今カーサンが座ってる椅子に、あなたが座ったのね。
娘うんうんと頷く。
入院するまでは、週末はオトーサンと、平日はカーサンとお風呂に入るのが日常だった娘、入退院してからというものきっぱりとカーサン限定になってしまっていた。週末、足を伸ばしてゆったりお湯に浸かるのが極楽だったのにさー(鬼母)。 ※本気で拒否されるオトーサンもかなり悲しそうだったが。
それがアータ、義父が「じいじと入るか?入ろう!」と力強く娘に働きかけ、そのときは娘無言で曖昧な笑みを浮かべてカーサンの膝にひっつき、恥ずかしそうにするばかり。
いざお風呂が沸いた、の音楽が流れ(流れるんですよ)「どうする?」とカーサンが小声で尋ねると「じーじと入る」と殊勝な(?)答えをこれまた小声で口にする娘。
退院してから、まだオトーサンとも入ってないんですよ、と義父に説明すると、そりゃ息子に済まんなと、ちっとも済まないかんじではなくむしろ勝ち誇った顔つきで娘とうきうきお風呂へ向かった。
翌日は義母と、やはり同様のやりとりがあって、娘が「ばーばと入る」と宣言してその通りになった。義母の喜びようときたらそりゃもうアータ。
お風呂に入っている間もきゃっきゃと楽しそうな娘の歓声が聞こえてきたし、夜中にうなされるようなこともなく、娘自身も楽しかったにちがいない。 でも同時に娘に無理させてしまったかな、いい子を強制してしまったかな、と案じてもいた。夫にそのように心配している、と告白したら、考えすぎ、とあきれられた。
そうかしら。考えすぎかしら。
カーサンが娘をそう仕向け、娘もそれに応えたような気がしてならなかったのよ。
でも今夜、ちょっとすっきりしたよ。娘はじじばばとの入浴を楽しんだのだね。嬉しいよ。髪を洗いながらほっと安堵するカーサンであった。
ええ、私のことを過保護と、或いは取り越し苦労とでも、お好きに呼んでいただいて結構ですわ。
追記:娘との会話。
「じいじとお風呂、楽しかった?」 うん、たのちかった。 「ばあばとも、楽しかった?」 うん、たのちかった。
「じゃ、オトーサンとは?」 オトーサンは、ハダカンボ。
そらそうだ。正解。
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