Opportunity knocks
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BSで(東京大学の駒場キャンパスで行われた)村上春樹さんのフォーラムがやっていたので見てみた。 フランス、アメリカ、台湾、中国、韓国、ロシア、それぞれの国で村上さんの小説を翻訳している方々を交えて、村上文学について論じ合うというもの。 はじめはふーんとおもいながら見始めたのだけど、翻訳者という視点、ただ純粋な村上さんの読者としての視点が率直に語られているのをきいているうちに、とてもあたたかい気持ちになった。 台湾、中国などでは歴史的背景、フランス、アメリカ、ロシアでは東洋人の書く物に対する敬遠などがあって、日本人の書いた小説がベストセラーになることは極めて稀なことなのだそう。
村上さんの作品にはかなり余白のようなものが残っている。読者と作者の遊び場みたいに、黒いトンネルの中でそれぞれが自由に遊んでいるような、そういう雰囲気を感じる。
常に境界をやぶりたいという精神を持っているように見受けられる。 意識と無意識、人間と動物、文字と数字、現実と非現実、など枠に囚われない自由な物の捉え方が村上作品の魅力。
翻訳者の方々が言われたことを少し書き出してみたのだけど、フォーラムでそれらをきいているうちになにかとても懐かしい気持ちになってきた。 たぶんそれはわたしが村上さんの小説をはじめて読んだ時に感じたことと同じだったからだと思う。そしてそれは万国共通の感覚であり、国境を越えて持ち得ることのできるものなのだということもしみじみうれしかった。
アメリカの人の翻訳者であるジェイ・ルービンさんはしばしば村上さんの文章に名前が上がってくる方だけれど、今回はじめて見ることができた。とてもきちんとした、しかも親しみの持てる雰囲気を持った人だなあというのが印象。
永久保存版のとてもすばらしいフォーラムだったと思う。その場にじかにいた人達にはさぞかし貴重な時間だっただろうなあ。ちょっと(というかかなり)うらやましい。
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