Opportunity knocks
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| 2004年03月19日(金) |
かつてあったものが今はもうないということ |
帰り際ポストの中を覗くとRさんからの葉書がきていた。 裏にはワイエスの「冬の水車小屋」の絵が描かれてある。 旅行先で立ち寄った美術館にワイエスの絵があったとのこと、偶然ワイエスの絵に出会えてとても嬉しかった、と書かれてあってそれを読んでわたしもとてもうれしくなった。
Rさんの葉書の中のワイエスの絵をみていたら無性に本物をみたくなった。今まで2回、展覧会に足を運んでワイエスの絵をみにいったのだけど、ワイエスの絵ほど、魅入った絵は後にも先にもたぶんないとおもう。ほんとうにはじめてみたその瞬間からどうしようもなく吸引されてしまった。 不在の写実、という言葉がワイエスの絵に対してよく使われるのだけど、かつてそこにあったものが今はもう失われているというその事実を、ワイエスはとても忠実に表現する。主人のいなくなった家、使われなくなった桶、納屋などなど。そして失われたものを描くことによって、かつてそこに存在していたものをかえって強烈に喚起させる。ワイエスの絵をみているとほんとうにいろんなイメージがあとからあとからわいてくる。余計なものを一切排除することによってその対象の本質が静かに静かに浮かび上がってくる。 ワイエスの絵をみたときのそういう感覚がたまらなくてわたしはワイエスの絵にひかれているのだとおもう。
久しぶりに画集をとりだして眺めてみる(画集なんてものをお金をだしてわざわざ買ったのもワイエスがはじめてだし)オルソンの家や白く輝く空を眺めながら、もう一度実物を目にしたいと思う、そしていつかこの絵が描かれた場所へいきたいとおもう。いつか、きっと。
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