Opportunity knocks
DiaryINDEXpastwill


2003年05月27日(火) 無題

おとつい三重県の津市にある競艇場で、一人の女性選手がレース中の事故で亡くなった。なんでこんなことを書くかというと、実は、うちの連れ合いはつい5年ほど前まで競艇の選手をしていて、今回亡くなった女性とは同期で親しい間柄だったからだ。

亡くなった方は木村厚子さんといって、デビューから15年目のベテラン選手だった。連れ合いが選手生活に見切りをつけて引退を決意した後も、彼女は選手生活を続けた。結婚もして子供も産んで、尚且つプロのスポーツ選手だった。それがどんなにすごいことか、普通の人にはたぶんわからないだろうと思う。
競艇選手はほかのスポーツと違って決して華やかなものじゃない。あくまでギャンブルの対象である。ひどい野次も飛ぶ。女性でありながら男子選手と一緒のレースもこなさなければならない。一方プライベートでは、ごく普通の女性として家事をこなし、母として子供に接する。そんな両極端の生活を彼女は続けてきた。

連れ合いは結婚してから5年後に武蔵野美大の通信学部に入学し、勉強をはじめた。連れ合いは競艇の仕事を自分は長く続けられないだろうということを知っていたのだ。大学卒業後、連れ合いは競艇選手を引退した。

彼女もいろんなことを考えていたと思う。もしかして、選手を続けるのもあと少しの間と思っていたかもしれない。あと少し、もうあと少しがんばろうって思っていたのかもしれない。でも事故は起こってしまった。

連れ合いは運が良かった。連れ合いが死亡事故に遭う可能性は彼女と同じくらいあった。でも、連れ合いは今も生きている。運が良かったのだ。
でも。でも、何ていえばいいんだろう・・・

何かをやめる、別の道を選択するというのはかなり大変なことだと思うのだ。今までやってきたことに区切りをつけ、新しく何かをはじめるというのは。

だからわたしは、連れ合いが選手をやめて別の道を探してくれたことを今でも感謝している。無事に暮らせていることを感謝している。

連れ合いと彼女の差はごくごく小さいものだったと思う。でも、そのささいなことが人生を変えてしまったのだ。そう考えると、人生はなんて困難で先のみえないものなんだろうと思う。

昨日は眠れずにずっとそんなことを考えていた。


n |MAIL