TOI,TOI,TOI!


2001年08月28日(火) 郊外へ

ロンドンから長距離電車に4時間ぐらい乗って、ヨークに行った。
映画「嵐が丘」の舞台になったという丘に向かう。

まず小さな町があって、店も学校も白っぽい古い煉瓦でできているのが、のどかですごくいい。
町を通り抜け、丘を登る。
運動不足のため、息切れしながら登る。
先生は、すたすた余裕で登っていく・・・。

途中、すすきのような草がたくさん生えているところがあって、そこにキラキラ陽がさしているのを見たとき、なぜかふと、
「今幸せ」
と思った。
いろんなこと考えた日もあったけど、とりあえず今日は幸せ。と思った。
自然の中にいると、不思議な力を自然から与えられるものなんだなあ。こんな感覚忘れていた。こんな大自然の中にいるのは、本当に久しぶりだもん。

そろそろ、足が限界!と思って下ばかり見て歩いてたら、急に目の前が開けて・・・・!!思わず、うわ〜!!と声が出る。

ハイジを見てイメージしてたそのままの世界がそこにあった。ハイジ&ぺ−ターが、思いっきり駆け回っては、ごろんと大の字になって空を見る・・・・よく出てくるその場面が好きで、今でもすぐに思い出せるのだけど、アニメではなく本物がそこに、あった。
360度、丘と山と空が広がっている。
白っぽい煉瓦が、遥か彼方で山になじんでいる。
真っ黒い犬が、別の遠くの丘でうれしそうに走り回っていて、子供が2人、後を追いかけている。
地味な紫色の花が一面に咲いている。近くで見ると地味な花だけど、一面を見渡すと、すごくきれい。

先生たちがカメラを手に、“360度撮り”に挑戦している間、カメラを持ってない私は、その花畑の中で、風にあたりながら、しばらく突っ立っていた。現実を忘れさせてくれる時間だった。
芝生のきれいなところを見つけて、大の字に寝転んでもみた。
こんな「上には空しかないところ」で、雲がゆっくり流れていくのを見るのはいつ以来だ・・・。子供にかえったような気分になった。

また来たい、と思いながら、丘を降りた。

鉄道博物館へ。のりのりの男性陣(元SL少年?)に比べ、それほど鉄道に興味のない私だが、それでもじゅうぶん面白かった。大昔の、貴族が乗っていた、馬車のような汽車から、つい最近まで走っていたという、でかくてかっこいい機関車まで、かなりの数の汽車が展示してあった。日本の新幹線も。

そして、生まれて初めて汽車に乗った!さすがに興奮。
(汽笛が)ボォ―――――――ッ!!
しゅ、しゅ、ポ、ポ、しゅしゅポポ・・・・ 
本物!テレビでしか聞いたことなかった、この音!

中でおとなしく座ってても意味ないから、みんな窓から顔を突き出して、前を見る。煙が凄いいきおいで噴きだして、凄いいきおいで広がっている・・・。顔に灰がビシビシあたる。「おりたら、きっと顔じゅうアイラインになってるよ〜」せめてこすらないように気を付けつつ、「もういいや!今日は!」という気分になる。だんだん加速してきて、草木が生い茂る中を、かなりのスピードで走り抜けて行く!!カッコイイ!キモチイ!!サイコ―!!!

そのあとは、セントポール大聖堂へ。
今まで私が見てきた教会の中で、一番大きかった。チャールズ皇太子とダイアナ妃がここで結婚式を挙げたらしい。きらびやかで、盛りだくさんな感じ。
好みの問題になってしまうと、私はもうすこし素朴な味わいのある教会の方が好き。
いつも、教会で考えてしまうことがある。あの天井壁画、天使像などの彫刻。あの高い場所で、毎日毎日仕事をしていた人がいるということ。その人たちはもしかしたら、一生をその教会のために捧げたかもしれない。
この大聖堂は西暦604年から存在しているという。そのあと火事で焼失したりしたが、何度も再建されているらしい。
それにしても・・・天井の絵!細かいこと!!時間、かけたいだけかけて、描いてる感じ。そういうものが、人の心を打つ。


  
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